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  No.15 作者:有菜
月(前編)
月は強い。傷を隠して輝き続けているのだから。

傷を受けても輝きを失うことのない月。

その強さの理由は何だ・・・?

今宵もまた、月は絶えることなく輝いていた。



早朝。

「一護、先に行くぞ」

いつものように私は小島が来る前に学校に向かった。

今日は授業が早く終わったので、いつもよりも少しばかり早く家に着いた。

「お前最近、妙に静かだな。昼飯のときも屋上に来ないし。啓吾が泣いてたぞ」

「妙に静か、とは無礼にも程があるな。別にたまには他の場所で昼食をとっても良いではないか。それに私はいつもと変わらぬ」

自分的にはいつもと変わっていないと思う。

今日はただ、気のうえで昼食をとっていただけのこと。

どこも変わってなどおらぬわ。

そう言って、窓の外を眺めた。

外はもう、真っ暗になっていた。

一護から夜食を受け取り、食べ終えようとしていた。

「・・・!!」

一瞬、虚の気配がした。

数秒遅れて指令が届いた。

「一護、行くぞ!」

「本っ当いつでもどこでもお構い無しに出てきやがるな・・・」

一護を死神化させて、虚のところへ向かっった。

データによると、今回の虚は過去に死神を二人倒した奴だった。

長期戦に持ち込まれたが、それでもなお、一護は虚を倒した。

「さて、虚も倒したことだし、帰るか・・・って、ルキア、どうかしたか?」

「・・・いや、貴様は強くなったな」

「そうか?とりあえず家に帰るぞ」

部屋に戻り、一護はベッドに倒れこんだ。

まあ、当然だろう。

連日出現する虚を倒すのに毎晩寝不足だものな。

よほど疲れがたまっているのか、気が付くと一護は眠っていた。

ふと窓の外から月光が差し込んでくる。

今宵も月は輝いていた。

私はまだ、その傷を受け続けても輝いていられる強さが分からない。

私にも、理由が分かれば強くなれるか・・・?

そのときが、くるといいな・・・。

いつか・・・。



理由を突き止める為、今日は井上達と昼食をとった。

というより、誘われたといった方が合っているだろう。

「月って、どうしてあんなに輝くことが出来るのでしょう」

「月かー。何かに一生懸命になっているからじゃないの?」

一生懸命、か。

まだ何を意味するか分からないけど、少しは手がかりがつかめたような気がした―――。


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