第一章:敵戦力把握
入学式が終わり外は星がまたたき丸い月が優しく照らす時間となった。
「うう…なんで私がこんな事を…」
来栖に敗北し来栖革命軍の第一の手下となった円はピンク色のエプロンを着てグラタンを運んでいた、そのグラタンの行きつく先には難しい顔で学校案内を見ている、いつになく険しい顔だ。
「ほら、出来たぞ…って学校案内はもういいだろう?ランクバトルは5人そろわないと出来ないんだ、今考えたって始まらないだろ?」
円は呆れ顔でグラタンを静かにちゃぶ台に置いた、来栖は学校案内を疲れた顔でしまいため息をふかぶかと吐いた。
来栖が問題にしているのはまずこの学校の行事を決めれる生徒会のメンバーだ、1~10までの最強ナンバーが揃っているのだ、それにランクバトルは下から勝ちあがらないとダメであり今制作中のチームは二人しかいない、円のランクは1002番、来栖のランクは50番である。
ちなみに一年で二桁台に食い込んだのは来栖が初めてだ。
「まぁそうなんだけどよ、俺を除く一年で円のランクを超える奴は存在しないからな…それについて悩んでるんだ、少なくともお前と互角の異能者じゃねーとダメなんだ」
来栖はフォークでグラタンをつつきながら語る、円はそれを黙って聞いている。
「だいたいランクが10離れたらまず勝負にならないんだ、異能者の特性を使っていくとして俺がリーダーじゃ円の上ランクにランクバトルを挑む事はできない」
異能者の特性とは戦えば戦うほど強くなる、だ。
おそらく円も本来のランクより二つほど高くなってるはずだ、死にかけるほどの激闘だったら爆発的に強くなるのだが俺がそれを再現しても俺は円の敵ではないため無理なのだ、案外めんどくさい特性で敵意と殺意を持って攻撃してくる相手ではないと無理なのだ。
…俺はこいつに結構愛着を持っている、よく考えれば可愛らしい少女がおっかけて来るのだ悪い気はしない。
「だからチームを立ち上げる時はお前をまずリーダーとする、円、頼むぞ」
円の肩を掴みしっかり円の瞳を見つめる。
「わ、わかったよう…」
あれ?なんだこいつこんなに女らしかったけ?…うん大丈夫だ。
「よし、それじゃ明日は戦力集めだな。ランクが低くても構わんぞ、無理やり引っ張ってこい!」
景気付けに円の尻を思い切り叩く、犬みたいな悲鳴を上げる円、こっちを唸りながらにらんでドアに身を隠しながら吠えた。
「とっととくたばってしまえすけべ!」
ものすごい勢いでドアが閉まる、部屋が揺れたじゃまいかちくしょうめ。
そして次の日、今日は学校説明と部活動の勧誘演説だけで今日の行事は終わり、部活見学に行こうとする生徒、下の街に降りて遊ぼうとする生徒などいろいろな奴らがいた。
俺達と同じくチームを作る者もだ。
「…ん?あいつは…ランク1003のクライブ…だめだ、生徒会のエンブレムつけてやがる」
敵に入った者も多数いた、高ランカーは全滅…生徒会の手腕がここまで早いとは予想できなかったな、伸びそうな奴全てに目をつけていたらしいな、そして俺は目をつけられてると…そりゃそうか。
「おーい!来栖!2人見つけてきたぞ!」
円がこちらに土煙を上げながら走ってきている、あれ止まれんのか?…両手に未来のチームメイトを抱えている、あいつらは…ランク2300番愛華とランク3000ジャストのジャックじゃないか。
「ぐっはぁ!」
「あう!」
円が止まったと同時に二人がなんかの法則で飛んでいく、校舎の壁にぶつかり悲鳴を上げている。
「ぐ、っつぅ~いててて…」
先にジャックがこちら向かって来た、ダストジャック―――――カリフォルニア州で有名な異能者だ、空気中の塵を集めて戦うことができる不思議なタイプの異能者だ。
「ああう…頭くらくらしますぅ~」
次に間抜けなセリフで頭を回しながら現れた黒髪の少女、死に歌愛華――――彼女の歌は幻を魅せる、典型的な遠距離タイプ異能者だ、これで近距離、遠距離、中近距離の異能者が集まった。
後一人中距離か遠距離が欲しいところだ
「…あんた、もしかして断罪の来栖か?悪性吸血種の真祖を100人殺したって言う」
ジャックがおずおずと聞いてくる。
「まぁ間違ってないな、その断罪だ」
来栖は得意げににやりと笑う、愛華が円の後ろに隠れた…俺ってそんなに怖いか?
「すっげぇ…マジかよ、あんたのチーム入れるのか!感激だ!まさか十英雄の一人に会えるなんて!」
ジャックは感動のあまり来栖の両手を掴んで上下に振る、来栖はその行動に苦笑いを浮かべされるがままとなっている、円が首をかしげた。
「…円は知らないよな、俺は4年前星人を倒したメンバーの一人だ…お前ら内緒だぞ?せっかく身分隠蔽してここに入ってるんだからな」
バツの悪そうに来栖は頭をかきながらそう語る、俺が英雄などとばれたら生徒会の総攻撃が待っている、恐らくここまでするということは悪魔に浸食された奴がいるんだろう、異能者としては珍しい卑怯な行動だ。
「…そっか、来栖が英雄でも来栖は私のライバルの来栖だ!」
バシンバシンと背中を叩く円、いてぇっつーの…ついでに愛華…お前話さないと空気になるぞ?初日であつまった奴はみんな変な奴だった。
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