【緊急速報】J-PHONEがドメイン裁判に勝訴,初の賠償命令も
国内のドメイン名を巡る裁判で,ドメイン名の使用差し止め請求のほかに,初めて損害賠償の請求が認められたことが日経コンピュータの調べで明らかになった。ジェイフォン東日本(J-フォン東日本)が,食品等の輸出入販売会社である大行通商(東京都港区)に対して,「j-phone.co.jp」というドメイン名の使用差し止めなどを求めていた訴訟で,東京地方裁判所は4月24日,J-フォン勝訴の判決を下した。国内のドメイン訴訟の判決が出たのは,昨年12月にクレジットカード大手のジャックス(北海道函館市)が勝訴したものに次いで2件目。
東京地裁の三村量一裁判長は判決で,「被告である大行通商は『j-phone.co.jp』のドメイン名を使用してはならない。信用毀損による損害として200万円,弁護士費用として100万円の計300万円を(J-フォン東日本に)支払え」と命じた。J-フォン東日本は,ドメイン名の差し止め請求に加えて,信用毀損による損害500万円と訴訟費用450万円,計950万円の賠償金を請求していた。ジャックス事件では,原告はドメイン名の使用差し止めを求めただけで,賠償金は請求していなかった。
今回の判決によって,「ドメイン名は商標などに並ぶ知的財産権」という司法の判断が定着したと言える。「ドメイン名で信用を傷つけられたことに対する損害賠償金の請求が認められたことは意義深い」とインターネット関連の法律問題に詳しい森綜合法律事務所の横山経通弁護士は評価する。加えて,「前回のジャックス事件に次いで2件目の判例が出たことで,不正競争防止法を使ってのドメイン名差し止め請求が認められるということがはっきりとした」と続ける。
このドメイン紛争は,被告である大行通商が1997年8月29日,「j-phone.co.jp」を登録したことに端を発する。同社は遅くとも同年10月ごろから「http://www.j-phone.co.jp」にWebサイトを開設。1999年7月ごろから「J-PHONEのホームページへようこそ!」といった表示したり,J-フォン・グループ各社のWebサイトへのリンクを貼ったうえで,携帯電話関連用品を販売したりしていた。
一方,J-フォン東日本(当時の社名は東京デジタルホン)は,大行通商が「j-phone.co.jp」を登録する前の1997年2月7日から,「J-PHONE(ジェイフォン)」というサービス名称を使用していた。J-フォン東日本は,大行通商によるドメイン名の使用が不正競争防止法違反にあたると判断して,2000年4月に訴訟に踏み切った。
今回の判決についてJ-フォン東日本は,「今後のドメイン名の不正使用事件に関する先例という意味でも,非常に大きな意義を持つものと考えている。当社が著名だから差し止めを求めたのではなく,被告が不正な目的で当社の表示を使用し,当社の信用を悪用しているから差し止めを求めた。個人を尊重するインターネットの世界においても,他人の著名な表示を無断で使用して利益を上げたり,インターネットの利用者に無用の混乱を引き起こすことが許されているわけではない。被告は,遵守すべき最低限のルールに違反していたため,当社は裁判という手段で解決を求めた」(広報)と日経コンピュータにコメントした。
J-フォン東日本は,当初「株式会社東京デジタルホン」の商号を用いていたが,1999年10月1日付で「ジェイフォン東京株式会社」に商号を変更。さらに2000年10月2日付で現在の商号である「ジェイフォン東日本株式会社」に変更した。
(井上 理=日経コンピュータ)
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