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国際
【湯浅博の世界読解】安保強靱化へ動く安倍政権 中国包囲、露印と共闘
オバマ政権がアジア回帰のピボット(軸足移動)政策を打ち出しても、中国は口先だけとみて南シナ海でも東シナ海でも「力による支配」を緩める気配がない。世界最強の米国もなめられたものである。そんな折に、安倍晋三首相はロシアから北回りの首脳外交を進め、日米同盟の土台の上に、もう1本の筋交いを通して安全保障の強靱(きょうじん)化をはかった。
安倍首相はすでに、今年1月にベトナム、タイ、インドネシアの東南アジアを歴訪して、中国が南シナ海でふるう腕力に対して「法とルール」で立ち向かう決意を示していた。
昨年末に国際NPO団体のサイトに寄稿した英語論文「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド」では、「豪州、インド、日本、ハワイ(米国)がダイヤモンドを形成してこれを守る」と宣言している。
日本にとり重要なのは、北のロシアと南のインドとの提携である。中国が心置きなく海軍力を増強してこられたのは、南北の大陸国家からの脅威が薄れてきたからである。
今回、安倍首相が訪露した背景には、ロシア側により大きな理由があった。極東アジアに対する中国の影響力の拡大である。2010年2月の「ロシア軍事ドクトリン」で、欧州で紛争の可能性は低下したが、極東アジアでは「一連の正面においてロシアへの軍事的脅威が増大している」と表現していた。「一連の正面」とは、4300キロの国境をもつ中国である。プーチン大統領の就任直後の大統領令でも、外交は「アジア重視」であり、軍事は「海軍重視」にシフトしていた。
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