首都圏にある半導体設備メーカーのA社は先月初め、中国で考えられない経験をした。中国メーカーが発注した半導体設備の入札に参加したところ、A社の製品よりも日本の製品の方が25%も安く入ってきたためだ。A社の社長は「どうやって日本製品がそんなに安く入ってきたのか、いまだに理解できない」と首をかしげた。
1、2年前まで日本製品は韓国製品よりも10%以上高かった。韓国製品の性能は日本製品に比べてそれほど劣るわけではなかったが、何といっても値段が安く、コストパフォーマンスの高さが決め手となり、受注に成功してきた。
ところが今では状況が完全に逆転してしまった。昨年9月から円安が急速に進行し、わずか8カ月の間に円は30%以上も安くなった。そしてこれはそっくりそのまま日本企業の価格競争力へとつながった。「円安ショック」は本格的に韓国国内の輸出企業を直撃している。年初に専門家は「円安が国内産業に与える影響は限定的だ」と予想していたが、輸出現場では自動車や鉄鋼、電子部品、素材・機械産業などあらゆる産業で日本企業の逆襲が現実化している。
■日本と競合する輸出産業は打撃
世界市場で競争力を誇っている大企業にとって、円安による影響は現段階ではさほど大きくない。しかし、世界的な競争力を持ち合わせていない中小企業にとっては深刻な事態だ。
京畿道安山市にあるB社は、自動車部品の製造に必要な金型を生産し、欧州や日本への輸出で利益を上げている。同社の代表は「これまでの貯蓄を全て使い切る覚悟で『泣く泣く』輸出している」と厳しい現状について説明した。昨年下半期までは、韓国製の金型は日本製よりも20%ほど安かったが、その後円安が進み、今では韓国製が日本製よりも10%以上高くなってしまった。この代表は「今年に入って海外バイヤーが続々と日本のメーカーと契約を結び、新規の注文が30%も減った。バイヤーたちは、日本と同水準まで価格を下げるよう要求してくるが、価格を下げれば赤字は避けられず、だからといって値下げできなければ取引先を失う恐れがあるため、どうすることもできずに困っている」と話す。
輸出の「花形」だった金型業界は最近、どこも同じような苦境にあえいでいる。円安による注文の減少と採算性の悪化で、倒産の危機に直面している企業が続出している。