東芝:今期純利益予想29%増、テレビ黒字化やメモリー好調で
5月8日(ブルームバーグ):データ記憶用半導体のフラッシュメモリーで世界2位の東芝 は今期(2014年3月期)純利益を前期比29%増と予想している。テレビ事業の黒字化やメモリーの収益拡大を見込む。
8日発表の純利益予想は1000億円。ブルームバーグ・データによるアナリスト22人の予想平均 1715億円を下回っている。営業利益見通しは同34%増の2600億円で、市場予想は3464億円。売上高見通しは同5.2%増の6兆1000億円。想定レートは1ドル=90円、1ユーロ=115円。
東芝は企業向けビジネスに注力する構造改革を進めており、中期経営計画で来期の営業利益4500億円を目指している。佐々木則夫社長は6月下旬の株主総会を経て退任し、後任には田中久雄副社長が昇格予定。
前期営業利益は同4.1%減の1943億円。8日付の日本経済新聞朝刊が、ドル建てで部品を輸入しているテレビやパソコンの不調などから、会社側の従来予想を下回る2000億円程度になったと先行して報じ、株価は大幅に下落していた。終値 は前日比5.0%安の512円。
久保誠・代表執行役専務は東証での会見で、2年連続の赤字となったテレビ事業の前期損失は500億円弱だったと説明。国内でのスリム化やアジアでの富裕層向け商品投入などで「7-9月期には黒字確保を目指す」と語った。今期販売目標は前期の約1100万台と同程度。テレビやパソコンの国内価格に円安の影響分を転嫁する意向も示した。
市況悪化で昨年7月から減産してきたNANDフラッシュについては、現在はフル稼働に転じていることを明らかにした。ただし「市況を見ながらいつでも減産できるようにしている」とも語った。
同社の減産と並行してNANDフラッシュ市況は改善。昨年8月末に2.2ドル強だった容量32ギガバイト(ギガは10億)品のスポット価格 は8日時点で3.98ドルとなった。大口顧客向けのコントラクト価格 もこの間、2.18ドルから3.14ドルに上げている。
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更新日時: 2013/05/08 17:04 JST