東日本大震災:柏市人口、ピーク時に戻る 原発事故の影響で一時減、市「除染理解された」 /千葉
毎日新聞 2013年05月08日 地方版
柏市の5月1日現在の人口が、過去のピーク時のレベルに戻ったことが分かった。東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の汚染濃度が比較的高い「ホットスポット」地域とされたため、事故後に他県に移り住む人たちが出て、一時は1500人以上も減っていた。大きな課題だった人口減にブレーキがかかったことに、市関係者は安堵(あんど)している。
市が公表した1日現在の人口は40万5708人で、過去最も多かった11年8月の40万5786人に匹敵する数字となった。昨年2月以降40万4000人台で低迷していたが、今年2月以降4カ月連続で増加。特に5月は前月から759人と大幅に増えた。死亡が出生を上回る自然減が17人だったのに対し、転入が転出を上回る社会増が776人だった。
市情報政策課によると、国の研究施設や大学がある地域など市内3カ所で単身世帯が約60〜約90人ずつ増え、それ以外の3カ所でも、家族世帯が約50人〜約110人増えたという。市は4月の異動時期に、転勤や入学で多くの人が引っ越ししてきたとみている。
担当者は「人口減少は全国的な傾向なので、このまま単純に増加していくことはないかもしれない」と分析。だが、別の担当者は「市の除染の取り組みが理解され、汚染に対する正しい知識も浸透してきたのではないか」と「朗報」を喜んでいる。【橋本利昭】