平成24年度資源評価票(ダイジェスト版)

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標準和名 ホッコクアカエビ 魚種写真
学名 Pandalus eous
系群名 日本海系群
担当水研 日本海区水産研究所

生物学的特性

寿命: 11年
成熟開始年齢: 雄性先熟の雌雄同体で、雌としての成熟は6歳
産卵期・産卵場: 2~4月で隔年産卵、成長に伴い400~600mの深みへ移動した後、性転換と交尾・産卵を行う、産卵を終えた抱卵個体は次第に浅い方へ移動し、主に水深200~300mで幼生の孵出を行う
索餌期・索餌場: 主分布域と同海域
食性: 微小な甲殻類、貝類、多毛類およびデトライタス等
捕食者: マダラ、スケトウダラ等の底魚類

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漁業の特徴

沖合底びき網、小型底びき網、かご網によって漁獲される。漁場の中心は水深500mにあって、とくに能登~若狭湾を中心とする日本海中部海域が最も多く、ついで隠岐堆、新隠岐堆を含む山陰沖、および大和堆が主要な漁場となっている。このうち、大和堆周辺海域(沖合区)においては、沖合底びき網漁業が本州沿岸で禁漁となる夏場を中心に、本種を主な漁獲対象として3~4ヶ月程度操業される。

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漁獲の動向

漁獲量は1982年をピークに減少傾向にあったが、1995年以降は概ね2,000~2,200トン台でほぼ横ばいで推移している。近年では、2007、2008年には2,500トン前後とやや多かったものの、2011年の漁獲量(暫定値)は1,963トンで、やや低い水準に留まっている。県別では、沿岸に主要な漁場を持つ石川県の漁獲量が最も多く、次いで新潟県、福井県となっている。

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資源評価法

漁獲の50~60%を占める沖合底びき網漁業の資源密度指数(本州沿岸海域)およびCPUE(大和堆)を資源量指標値とした。また、その他の情報として、石川県と新潟県の小型底びき網漁業によるCPUE、能登半島以西の本州沿岸海域で行った調査船による採集結果の経年変化を考慮した。

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資源状態

本州沿岸域における沖合底びき網の資源密度指数は1990年頃から増加傾向にあり、比較できるデータが入手可能な1980年以降において、2002年以降は最も高い水準にある。石川県、新潟県の小型底びき網漁業のCPUEおよび、調査船調査結果から算出した資源量指標値も、2006年以降は概ね高位横ばいで推移している。また、沖合の大和堆海域も2007年以降、CPUEは90kg/網前後で高位横ばいに推移し、資源は良好に維持されていると推定される。したがって、資源水準は高位、動向は横ばい傾向にあると判断した。

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管理方策

本州沿岸、大和堆いずれの海域においても現在と同程度の漁獲努力量を投じても現在の資源水準を維持できると判断した。それぞれの海域について水準(いずれも高位)、直近3年間の平均漁獲量、資源量指標値(本州沿岸海域は沖合底びき網漁業の資源密度指数、大和堆海域は同漁業のCPUE)を基礎として、ABClimitを算出した。ABCtargetは、ABClimitに0.8を乗じて算定した。
  2013年漁獲量 管理基準 F値 漁獲割合
ABClimit 20百トン 1.0・本州沿岸Cave 3-yr・0.96
1.0・大和堆Cave 3-yr・0.98
ABCtarget 16百トン 0.8・1.0・本州沿岸Cave 3-yr・0.96
0.8・1.0・大和堆Cave 3-yr・0.98
  • 平成24年度ABC算定規則が改正され、ABCはABClimit=δ1・Ct・γ1、ABCtarget=ABClimit・αで計算した
  • γ1は、γ1=1+k(b/I)で計算をし、kは係数(標準値の1.0)、bとIは資源量指標値の傾きと平均値(直近3年間)である
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    資源評価のまとめ

  • 沖合底びき網漁業による資源量指標値から、系群全体として資源水準は高位、動向は横ばいと判断した
  • 小型底びき網漁業および調査船調査結果でも、本州沿岸の資源水準は高位で動向はほぼ横ばいだが、2011年はやや減少傾向が見られた
  • 本種を主対象とする大和堆漁場の資源は高位水準にあり、2007年以降の動向は横ばい
  • 管理方策のまとめ

  • 現状程度の漁獲努力量を維持しても、資源水準は良好に維持される
  • 大和堆のABCは、夏季の底びき網漁業のみの操業という前提である
  • 石川県沖合の採集調査結果から卓越年級群と認められる2010年級が加入してくる2013年以降、小型個体の保護が重要である
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    執筆者:養松郁子

    資源評価は毎年更新されます。