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国際
【石平のChina Watch】本当に恐ろしい「民間版中国夢」
かの国では今、「中国夢」という言葉がはやっている。国家主席の習近平氏が就任以来、「民族の偉大なる復興の中国夢の実現」を盛んに唱えるようになり、この言葉がひとり歩きし始めたのだ。
「われわれの夢はただ、きれいな空気を吸いたいだけだ」と、微博(ミニブログ)などで白けた反応を示す国民も多いようだが、一方で、習氏の「中国夢」に輪をかけてより壮大なる「夢」を語りたがる人もいる。
たとえば、最近、ネットの世界で広く流布され、支持を得ている「民間版中国夢」には次のようなものがある。
8項目の仮想の「出来事」を取り上げ、「実現されれば中国夢がかなえられるのではないか」とする内容だ。
たとえば、「中国のサッカー国家代表チームがW杯で優勝する」というのがある。もちろん現実には中国の実力はアジアでも日韓両国より下と見られているから、「W杯優勝」はまさに夢のまた夢である。
次の項目の「中国夢」となると、それは「夢」というよりもむしろ「妄想」というべきものだ。
いわく、「国連は近く本部を北京に移す」と。もちろん、今の国連本部はニューヨークにあって北京に移そうとする気配はない。第一、深刻な大気汚染のなかで、北京から脱出したいと思っているのは、むしろ当の中国人自身なのである。
だが、くだんの「民間版中国夢」はやはり、こうした妄想を「中国夢」のひとつとして語りたい。多くの中国人はその心底において、「中国は世界の中心であるべきだ」と考えているからだ。習氏が掲げている「民族の偉大なる復興」はそれなりの民意の基盤もあるのである。
「中国夢」が挙げたもうひとつの想像を絶する「夢」は、「中国空母が遠征の帰りにハワイ補給基地に帰航」というものである。
いうまでもなくハワイは米国の領土であり、今は米軍第7艦隊の母港となっている。が、中国人が語るこの「中国夢」は、ハワイがいずれか中国の領土の一部、しかも解放軍の「補給基地」となっているのだ。
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