(セ・リーグ、巨人2-3阪神=延長十二回、9回戦、阪神6勝2敗1分、8日、東京ドーム)高々と舞い上がった白球が、右翼スタンドに突き刺さる。その瞬間、若虎は右手でガッツポーズを決め、地鳴りのような大歓声が響いた。2年目・伊藤隼が先制となる今季1号2ラン。自らの誕生日を祝うバースデー弾で、左ひざ痛で抹消された福留の“代役”に名乗りを上げた。
「勝ってよかったです。投手にも桧山さんにも感謝したい」
試合後、帰りのバスへつながる通路。ホッと安堵の表情を浮かべた。喜びと不満が入り交じる内容だった。まずは0-0で迎えた八回二死一塁だ。「つなごうという意識」で打席に入ると、巨人先発・沢村が2ボール1ストライクから投じた4球目、127キロのスライダーを思い切り引っ張った。大きな放物線を描いた打球は右翼席へ着弾。今季初本塁打で息の詰まる投手戦に“終止符”を打ったが…。