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中国漁船が宮古島と久米島近海の漁場で宝石サンゴを乱獲している状態にありながら、日本の法令では取り締まりができず、中国の自由操業を黙認せざるを得ない状況であることが7日、分かった。1997年の日中漁業協定締結の際、当時の小渕恵三外務大臣が沖縄近海の水域で中国が操業する際、日本の関係法例を適用しないとする書簡(小渕書簡)を中国側に提出していた。赤土の流出やオニヒトデの影響で宝石サンゴが減少している中、県内漁業者は海洋資源が奪われてしまうと反発。協定の見直しを求めている。(仲田佳史)
沖縄総合事務局によると、中国漁船の宝石サンゴの採取は、2005~06年ごろから始まったという。当初は中国大陸から沖縄近海にまで延びる大陸棚の斜面で1~2隻が年間を通じて採取していたが、11年には久米島南方の「北大九曽根」で約20隻、12年には宮古島北東の「宝山曽根」で約40隻が確認され、宝石サンゴの採取は年々、活発化しているという。
日中漁業協定では、(1)北緯27度より北側の日中暫定措置水域(2)北緯27度以南の沖縄近海の水域-での操業が認められている。
(1)は、毎年開かれる日中漁業共同委員会で許可隻数や漁獲量、操業期間などを制限している。だが、(2)は、「小渕書簡」で日中両国が海洋資源の維持が過度の開発によって脅かされない協力関係にあることを前提として、日本は関係法例を適用しない意向を表明。以降、日中漁業共同委員会で協議事項から除かれる状態が続いている。
関係者によると、当時、尖閣諸島の領有権問題を「棚上げ」する代償として、日本政府が認めたという。
中国漁船の採取の活発化を受け、水産庁は一昨年、中国にサンゴ漁船の操業を照会。だが、中国側からは操業実態が把握できないとの回答があったという。関係者によると、サンゴ採取は中国で違法だが、中国政府はサンゴの陸揚げルートが不明確で証拠がつかめないとして、事実上、黙認しているという。