作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏も毎朝チェックしている『あまちゃん』。滑り出しは好調だが先はまだまだ長い。山下氏が抱く一抹の不安とは。
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宮藤官九郎初の脚本で大きな話題を集めているNHK朝ドラ『あまちゃん』。初回の視聴率は20.1%と好発進、週を重ねるたびに右肩あがりに。最高視聴率も22%を超えと、快進撃を見せています。
岩手県を舞台に、能年玲奈演じる女子高生・天野アキが海女を目指す。やがて地元のアイドルへと成長していく物語。と、舞台も素材もクドカン的でユニークですが、『あまちゃん』には従来のNHK朝ドラには見られなかったある要素、これまでには無かった味付けがたしかに存在しています。
それは、サブカルチャーを取り込んだドラマの仕掛け。もっと言えば、「インターネット」というツールを物語の軸にきっちり組み込んだ、初めての朝ドラ。そう言えるのではないでしょうか?
海女になって海に潜り、ウニを獲るアキ。その姿を職員が撮影し、地元観光協会のサイトに動画でアップ。とたんに、カメラ抱えたオタクの大群が、アキに会おうと辺鄙な田舎の海岸へどっと押し寄せてくる。見ず知らずのオタクたちにとり囲まれてオタオタするアキ。地元の人たちも、そこまでネットに影響力があるとは想像だにしていなかった……。
いったんネットに情報が上がると、想像を超えた現象が現実の暮らしの中に生まれてくる。まさしく今の時代を描いてリアルです。
「ネットが、現実を変えていく」。「辺鄙な田舎に人を呼び、町が活性化していく」。
長い歴史を持つNHKの朝ドラとはいえ、こうした直近の今を写したシーンが描き出されたのは、おそらく初めて。さすがサブカルの旗手、クドカンの脚本。ネットに馴染みの薄い世代にとっては、かなり奇妙な現象に映っていると思いますが。
ただし。私自身、毎朝欠かさず『あまちゃん』を観てパワーをもらっているファンだけに、あえて辛口の意見を言わせてもらうとすれば……。