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<弁護士収入>増えた人数、業務は減 事務所維持で借金も

毎日新聞 5月8日(水)10時31分配信

 国税庁の統計で、所得格差が大きくなっている傾向が判明した弁護士業界。業務の需要が思うように増えないまま弁護士だけが急増し、生活するのが精いっぱいだったり、事務所を切り盛りするために借金をしたりする弁護士も出ている。

 2009年に弁護士登録した大阪弁護士会所属の男性弁護士(32)は、総所得金額等が100万円以下だ。同居の母親が事務員を務め、「母の給与と合わせて何とか生活できている。採算に関係なく、困っている人の訴訟などを受け持ちたいが、余裕がない」と嘆く。

 愛知県のベテラン弁護士(57)は、12年の総所得金額等が前年の約1000万円から約350万円に激減した。払い過ぎた利息を消費者金融から取り戻す「過払い金返還請求事案」を取り扱っていたが、返還請求がピークを過ぎ、反動に見舞われたという。

 弁護士と事務員を1人ずつ雇うが、資金が底を突きかけ、金融機関から約500万円を借りた。現在の手取りは月約15万円。不況の影響で、勝訴しても相手側からお金が取れなくなっていることも響いているという。「弁護士が増えて仕事を取り合っている状態だ。このままだと、皆がじり貧になる」と話す。

 大阪弁護士会の別の弁護士(54)は、収入のうち顧問料などの固定収入は2割程度しかない。「安定収入がある事務所は少数だ。事務所の家賃や事務員の給与など支出は毎月あり、やり繰りが厳しい所が多い」と明かす。日弁連の08年発表の調査によると、全国の中小企業の63%が「顧問弁護士は必要ない」と回答した。この弁護士は「事件を抱えるかどうか不確定なのに、不況の中、お金を払ってまで顧問を依頼する人はなかなかいない。今後も業務拡大が進むとは思えない」とし、「若手弁護士の状況は改善されず、一生懸命仕事をしても普通の生活水準を得ることすら困難だろう」と指摘する。【渋江千春】

最終更新:5月8日(水)11時43分

毎日新聞

 

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