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井岡 進化のV1!右ボディーアッパーで一撃
WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ ○王者・井岡一翔 9回KO ウィサヌ・ゴーキャットジム● (5月8日 大阪・ボディメーカーコロシアム)
9R、右ボディブローでウィサヌ(右)をKOした井岡
Photo By スポニチ |
ダブル世界戦(スポニチ後援)が行われ、WBA世界ライトフライ級は王者の井岡一翔が挑戦者のウィサヌ・ゴーキャットジムを9回2分51秒、右ボディーアッパーで倒して初防衛に成功。世界戦は自身初の2試合連続KOとなった。
強烈な一撃を食らった挑戦者は起き上がることができなかった。ぼう然と天を仰ぐ敗者を横目に井岡は2時間ほど前に防衛に成功した宮崎の言葉をまねる余裕を見せた。「格好良かったですかー?」。場内は再び大歓声に包まれた。
サウスポーの挑戦者に序盤から苦もなく左ジャブを当て、地力の違いを見せつけた。ボディー攻めでガードを下げさせると、4回以降は一方的。前に出ない相手に左アッパーや右ロングフックで盛り上げた。決着は9回。右ボディーを叩き込みウィサヌを仕留めた。
進化した姿を示した。昨年6月のWBA・WBC王座統一を区切りにミニマム級(リミット47・6キロ)を卒業。ライトフライ級(同48・9キロ)に上げて生じた1・3キロの余裕を肉体改造に充てた。同年秋から筋トレを解禁し、パワーアップに努めた。重いパンチが成果の表れだった。ただ、世界戦で自身初の2試合連続KOにも自己採点は辛い。「出せた部分もあれば、出せなかった部分もある」。セコンドで指示を出した父・一法トレーナーも「(中盤に)足で追い込んでなかったし70点」と厳しかった。
父子そろって並々ならぬ情熱をボクシングに傾けてきた。父は直情径行型で妥協を許さないが、練習中に激しく叱責(しっせき)したのは息子がまだ中学時代の一度きり。ミット打ちで身が入らない姿に激高。前蹴りで仰向けに倒し「もう、ボクシング辞めぇ!」と怒鳴った。以後およそ10年間で同じシーンは繰り返されていない。朝夕のロードワーク、反復練習が基本のジムワークを黙々とこなし続けている。
高い目標があるから打ち込める。7戦目の世界奪取、11戦目の2階級制覇ともに国内最速で歴史に名を刻んできたが、本番はこれから。年明けにも3階級制覇に挑み、いずれは11年に掲げた4階級制覇を見据える。勝利インタビューの最後。井岡は「伝説のボクサーになりたい!」と高らかに宣言した。「観客にファンに、そう呼んでもらえる存在になりたい」。見ている者の胸を焼き焦がす熱いファイトを続けていく。
【井岡―ウィサヌ戦VTR】井岡が終始優勢で9回にKO勝ちした。左のジャブ、アッパー、フックと右ストレートを自在に組み合わせて有効打を重ねたが、深追いはせず慎重に試合を進めた。9回は連打で距離を詰めると、勝機を逃さず最後は右のボディーで挑戦者を倒した。ウィサヌは打たれても粘り強く手を出したが、攻撃が単発で王者を追い込めなかった。
◆井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪府堺市出身の24歳。中学から競技を始めて興国高で選抜、総体、国体の3タイトルを2、3年時に全て獲得して6冠達成。09年4月プロデビュー。10年10月の日本ライトフライ級王座決定戦でタイトル初獲得。11年2月にWBC世界ミニマム級王座を国内最速の7戦目で獲得。3度目の防衛戦はWBA同級王者・八重樫東と国内初の複数団体統一戦を判定3―0で制した。12年12月にWBA世界ライトフライ級王座を獲得し、国内最速11戦目で2階級制覇。1メートル65。攻守に優れた技術を持つ右ボクサーファイター。戦績は12勝(8KO)。アマ戦績は95勝(64KO・RSC)10敗。
[ 2013年5月9日 06:00 ]
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