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2013年05月08日 世相を斬る あいば達也
昨夜のNEWSウォッチ9は、連休明けの7日東京株式市場の円安基調とアベノミックス幻想の株高を、鬼の首でも取ったように持ち上げる経済特集と見間違うほどの構成で安倍自民プロパガンダ報道に徹していた。腹立たしいので直ぐに消したが(笑)、日経平均が486円上がったのは事実だ。しかし、当然のことだが、国民の実体経済には、何ら影響しない。円安で、物価上昇が先行する筈なのに、現実は一部商品を除くと下がっている。理屈上は、日常的生活物価が先行上昇し、企業収益が上がり、賃金等に波及する筈なのだが、まったくその気配を見せていない。総体的に、物価がデフレからインフレに切り替わる理屈が機能していないようだ。マクロ経済理論の何かが狂いだしているのだろう。
この調子だと、自由主義資本主義経済の中で、異次元の体験を日本人が味わうことになりかねないようだ。その味わいが、吉なのか凶なのか、それすらも予測できないのである。安倍晋三と麻生太郎が2時間も、ふたりでネチネチと話し込んだようである。NHKなどのTVや新聞を読む限り、安倍自民には、2時間も総理と副総理が話しこむ悩みなどない筈である。世耕広報部長の活躍もあり、一見元気を装う安倍自民なのだが、あきらかに悩みを抱えているのだ。その悩みが何なのか、想像の枠を超えることは出来ないが、かなり深刻な問題のように思える。
安倍自民の奇妙な現象は幾つかある。マスメディアの報道にもかかわらず、奇妙な現象がある。ひとつは、上述のアベノミクスの効果が、思っていた方向とは異なる方向に動いている珍現象に、二人とも首をかしげているのだろう。安倍が公邸に引っ越さないのも奇妙だ。健康不安説を払拭しようと躍起になっている姿も、妙に白々しい。TPP交渉参加、7月からの会議出席も頓挫しているようだし、米国議会の承認に暗雲がたちこめているのかもしれない(悪い事ではないが)。TPP交渉参加の際にオバマに呑まされた幾つかの不平等条件が、そろそろ公になるのかもしれない。
19日のさいたま市長選の選挙情勢も捗々しくなく、東京都小平市、兵庫県宝塚市、青森市に続き、市長選の敗北の兆しが届けられたのかもしれない。マスメディアがはじき出す内閣支持率が、妙に高いことに、この二人は、歓ぶどころか不安に苛まれているのかもしれない。本当に70%の支持なんてあるのだろうか?もしかすると作り物ではないのか?珍しく時事の田崎が安倍晋三の慢心に警鐘を鳴らしている。有力情報として、内閣支持率と投票行動が一致しない怪現象が、いま政界で起きている可能性がある。
≪ 参議院比例区の候補の嶋大輔?!安倍政権の不安は「慢心」にあり
首相・安倍晋三のロシア・中東3カ国歴訪は連休中でニュースが少ない時期と重なったこともあって、その成果が大々的に報道された。連休に入る前、安倍が閣僚の靖国神社参拝に中国、韓国が反発したことに対し「どんな脅かしにも屈しない」と発言し、さらなる反発を招いたことは、外遊によって上書きされたかたちだ。
とはいえ、この発言に潜む危うさは記憶に残るだろう。ほかにも、政権の気が緩んでいると思われることが相次いでおり、気を引き締めなければ順風満帆の政権運営に狂いが生じる可能性もある。
首相の問題発言
問題発言は4月24日の参院予算委員会で飛び出した。質問者は民主党の徳永エリ。徳永は閣僚の靖国参拝に関連して「拉致被害者の家族の方々は、実 は非常に、まあマスコミベースの話ですから、落胆をしているという声が聞こえてきています」と、拉致被害者と絡めて質問した。
これに対し、拉致問題担当相の古屋圭司が「いや、それは、それは全く、ちょっと聞き捨てならぬ話ですよ。是非それお名前を言ってください、どなたか」と激高。この後に安倍が答弁した。
安倍は、閣僚の靖国参拝に中国、韓国は以前はそれほど問題にしていなかったのに近年、抗議するようになったという変化を説明した上で、こう述べた。 「そういうことをしっかりと頭に入れながら対応していく必要があるんだろうと思うし、国のために尊い命を落とした英霊に対し、尊崇の念を表するのは当たり前のことであり、わが閣僚においてはどんな脅かしにも屈しない、その自由は確保していく。これは当然のことだろう、と思う」
安倍はおそらく、徳永の「拉致家族が落胆している」という言葉に反応したと思われる。しかし、質問は報道されず、答弁のみ、なかでも激しい言葉だけが報道されるのは、首相として覚悟しておかねばならないことである。
また、歴史認識の問題について、安倍が昨年9月に自民党総裁に選ばれた後、年末に首相に就任する約3カ月の間に、官房長官に就任した菅義偉や外務省などと意見交換を重ね「踏み込まない」ことを確認している。安倍の発言はこの確認を踏み外している。
発言に対して官邸内からも「徳永さんの挑発に乗ってしまった」「内閣支持率や経済指標が好調なので気の緩みが出たのではないか」と、いぶかる声が上がった。
自民党の気の緩み
ほかにも「慢心」と受けとめられてもやむを得ないことが起きた。まず、参院選比例代表にタレントの嶋大輔らを擁立する動きだ。この背後に有力議員がいると聞く。だが、政党がタレント候補を立てる意味は、その政党で獲得できない票を集めてくることだ。言い換えるなら、その候補が知名度が高い有名人か、全国的な組織を持っている人物というのが条件になる。嶋はこの条件に合致しているのだろうか?
また、参院環境委員会が自民党の委員長・川口順子が海外出張から帰国せず、取りやめになったことは与党としてあってはならないことだ。
自民党は先月28日投票の参院山口補選で公認の江島潔が民主党推薦の平岡秀夫に「圧勝」した。江島が287,604票、平岡が129,784票 だった。その差は2.2倍。しかし、全国有数の自民党地盤が固いところであり、安倍の地元。安倍が選挙戦中、応援に入ったことを考えれば、自民党が内々狙っていたように3倍の開きが出ても不思議ではなかった。
この原因は無党派層の動向になる。読売新聞の出口調査によると、無党派層は「5割弱が平岡氏支持、江島氏に投票した人は3割強」だった。時事通信の出口調査では、平岡が48.6%で、江島の41.0%を上回った。
政党支持率や参院比例代表投票先政党率に関する全国世論調査では自民党が民主党を圧倒している。にもかかわらず、出口調査結果を見ると、投票行動となった時、無党派層は民主党支持に回る人の方が多いということだ。無党派層はもともと、反権力指向が強い。
気の緩みが続くならば、参院選は意外な結果になるかもしれない。(敬称略)≫(現代ビジネス:ニュースの深層・田崎史郎)
今夏の参議院選の肝は、無党派層が決起するかどうかである。決起と云うのは大袈裟だが、昨年末の野田の自爆テロ解散は瓢箪から駒のような事件だし、金融緩和と円安効果が、ここまで劇的に株高を演出するとは思ってもいなかった。内閣支持率も非常に高い。参議院選で負ける筈がない。しかし、地方選の実績を見る限り、高支持率が幻想に思えてくる。これはどう云うことなのだ?安倍と麻生が悩んでいるのは、その事だ。夏の参議院選では先の衆議院選より、投票率が上がるのは確実だ。5%アップなら大丈夫だろうが、10%近くアップされると、逆転現象、揺り戻しの原理が働く。
そのリスクは充分にある。昨年、突如の師走選挙は投票率が下がるのは当然で、今夏の参議院選は5%上がるのは、常識だ。後3カ月の間に、安倍内閣には、良い面よりも悪い面が露呈する可能性の方が大きい。そもそも、昨年末の衆議院選挙のような結果を、国民は予期していなかったので、修正しておかないと、と云うバランス感覚が働く。現在、話題にのぼっている“成長戦略”の内容如何では、無党派が一気に動き出すリスクも大きい。
おそらく、自民党は派手な動きの割には、地味な守りの選挙戦術を取らざるを得なくなっているのかもしれない。巷で語られる「0増5減」で違憲状態脱出“衆参W選狙い”の安倍晋三の思惑が、無理だと麻生が説得しているような気がする。このような状況は、野党も一定の範囲で知っている筈なのだが、どうもまとまる勢いが弱い。それが、自民党の一番の寄り処なのだ。特に、民主党のバラバラ度は見るに堪えず、小沢が公言したように、サッサと分党してしまえば、意外な風が吹きそうな雲行きなのだが、期待出来そうもない、党幹部の顔ぶれだ。
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