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阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか) 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)「裁判狂時代」「裁判狂事件簿」(河出文庫)、「被告人、もう一歩前へ。」(ゴマブックス)、「アホバカ裁判傍聴記」(創出版)。

遠隔操作事件は遠隔操作されているのか

13年5月08日 [16:49]

 今回は先週水曜に行われた片山祐輔被疑者の勾留理由開示の傍聴記。罪名は、脅迫と威力業務妨害。

 俗に言う、遠隔操作事件で、今回で勾留理由開示は3回目です。2月26日は、傍聴券36枚に対して傍聴希望者が179人なので、約5倍の倍率。3月21日は、傍聴券37枚に対して傍聴希望者が83人で約2倍。そして、今回は傍聴券38枚に対して傍聴希望者が29人だったので、初の定員割れでした。世間の興味は薄れてきてるんでしょうかね。一人の被疑者で3回も勾留理由開示が行われることが珍しいのに。

 被疑事実は二つ。一つ目は、平成24年8月27日17時22分~17時25分の間、被疑者が東京都内またはその周辺でパソコンを「したらば掲示板」にアクセスし、アイシスエグゼを用いて、女優を脅迫するメールを送信させる指示を書き込んで、遠隔操作ウイルスに感染していた福岡県内の男性のパソコンから脅迫のメールを送らせたという内容。

 もう一つは、同日17時38分頃、同所同手口で幼稚園を襲撃するというメールをウイルスに感染したパソコンから送信させ、幼稚園での企画などを中止させた、という内容。

 この公判は有罪無罪を問う手続きではなく、被疑者側が保釈を請求しているのに、保釈を認めない理由を裁判所に教えてもらう手続きです。なので、裁判官から勾留が続いている理由が朗読されました。その理由は「罪証隠滅と逃亡の恐れがある」からとのこと。簡単にまとめると、この二つが理由です。これだけマスコミに騒がれた事件だけど、今や29人しか傍聴券の抽選に集まらないから、保釈したら誰にも気づかれることなく逃亡してしまうと考えているようです。逮捕から3ヶ月以上経っているけど、まだ警察がみつけていない証拠があるのか、それを隠されたら捜査の邪魔になると考えているようです。

 裁判官が勾留理由の朗読を終えると、弁護人からの意見です。

弁護人「本件は、遠隔操作事件と呼ばれる一連の事件です。したらば掲示板の通信履歴で犯行時刻を特定したのだろうと思いますけど、先行する(2月26日と3月21日に朗読された被疑事実の)2件は、片山さんがどこにいるのか書いていなかった。しかし、今回は"都内またはその周辺"と書いてある。8月27日は月曜日で、片山さんは会社にいました。片山さんが犯人であれば、犯行場所は派遣先の会社になるはずで、なぜ、住所も使ったパソコンも特定されていないのか? なぜ、断定できないんですか!」
と、力強く言うと、
裁判官「弁護人のご主張はわかるのですが、これ以上は捜査の秘密にかかわることなので......」
と、裁判官が答えると、
弁護人「捜査の秘密? 犯行に用いたとされるパソコンが秘密なんですか?」
裁判官「あの......弁護人のご意見としては承っておきますが、まだ捜査の段階なので......」
弁護人「じゃあ、検察官に訊きます! 犯行場所やパソコンを特定できないんですか!」
と、質問の矛先を変更です。でも、勾留理由開示の公判で、検察官に直接訊いていいんだっけ? と、思った瞬間、
裁判官「検察官への質問は差し控えてください」
と、質問を制止しました。やっぱり禁止されてるっぽいですね。ルールを破って質問しようとするなんてダメな弁護人だなぁ、と思っていたら、
弁護人「(検察官に)答えないんですか!」
検察官「......お答えしません」
なぜか、ルールを破って答えてる検察官。

弁護人「答えないのは、答えられないからなんでしょ?」
検察官「答えられないのではありません、答えません!」
と、返答。やれないんじゃなく、やらないのだという、明日から本気出す的な意思表示ですね。

 でも、このやりとりは、「質問は差し控えてください」と注意されてからの質疑応答。さぞかし、怒られるだろうと期待したら、何のお咎めもなし。質問する弁護人もどうかと思うけど、答える検察官もどうなのよ? しかも、それを黙認する裁判官。なんか、変だな。

 次は、別の弁護人が裁判官に質問。

弁護人「勾留理由の一つが、罪証隠滅であると。裁判官は"罪証隠滅には様々な方法がある"と言いましたよね。では、罪証隠滅の方法を教えてください」
裁判官「それは罪証隠滅をそそのかす、すすめることになるので、お答えできません」
弁護人「それは、令状裁判官としては答えになっていませんよ! 東京地裁の刑事14部というのは......」
と、説教開始です。なんという弁護人だと思ったら、元裁判官という経歴の持ち主のようで、先輩として一過言あったようです。すべてを聞き終えて、
裁判官「弁護人のご意見として承っておきます」
と、先ほど聞いた言い回しで答えていました。

弁護人「客観的に検察が、収集された証拠を元に、犯人を立証するのに、どうやって証拠を隠滅すると言うんですか!」
裁判官「弁護人のご意見として承っておきます」
と、また決め台詞を言う裁判官。もしかしたら、余計なことを言わないようにと誰かに遠隔操作されているのかもしれませんね。辛い立場だこと。

 この後、やっと被疑者本人の意見です。

被疑者「まずは、この前に起訴されたのも、今回の被疑事実も身に覚えがありません。何のために意味のない逮捕が繰り返されているのか、これは何の罰なのかと思います。私としては、早く自由になりたいです」
と、述べ、前回と前々回に引き続き、無実を主張していました。そして、弁護人から端的に質問をして、意見陳述を終わらせ、閉廷でした。

 個人的には、何も知らないから、被疑者が真犯人なのに嘘を言っているのか、別に真犯人がいて、5人目の誤認逮捕なのかはわからないけど、なんでここまで小出しにするかんじで再逮捕が続くのか謎なんだよなぁ。もっと、謎なのは、撮影と録音をすれば取調べに応じるって被疑者は言ってるのに、撮影をしないことなんだけどね。

 この公判の翌日、東京地検は本件で追起訴をしたようです。初公判はいつになるのやら。

注目の裁判

5月9日(木)
被告人・佐々木明子(初公判10日も)
被告人・阿部彰夫(初公判)
被告人・菅原究(初公判)
被告人・角田宣彦、菅原啓之(判決)
被告人・大島健伸(10日も)
被告人・浅山克己(初公判)
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