裁判所トップページ > 裁判所について > トピックス > 憲法記念日を迎えるに当たって
平成25年5月
竹﨑最高裁判所長官談話
日本国憲法施行66周年の記念の日を迎えました。
この間,我が国を取り巻く世界の環境は大きく変化し,これとともに我が国の社会,経済情勢も,著しく変動しております。科学,技術は年々発展しておりますが,それが直ちに人類の繁栄,人々の豊かさに結び付いていないのではないかという思いを禁じ得ません。司法の場においても,多様な意見,利害の対立に根ざした複雑困難な紛争や,高度に専門化し先端的な科学の知見が必要となる事件が増加しております。
東日本大震災発生以来2年余りが経過しましたが,今もなお多くの方々が厳しい生活を余儀なくされています。被災された方々の生活の安定を確保し,復興,再生に向けて最大限の努力を尽くすことが必要です。
裁判員制度は,まもなく施行後4年を迎えます。裁判所では,昨年末,有識者の協力を得てこの3年間の実績について実証的な観点から検証を行いました。これまでの間,約5000件の事件が審理され,裁判員,補充裁判員として参加された人の数は約4万人に及んでいます。中には100日にも及ぶ審理を要する事件もありましたが,国民の熱心な協力のもとに順調に運営されてきており,今後国民の間に定着することが十分期待できると評価されております。そのためには,法律家の側で,さらに種々の点で努力を続けていく必要性が指摘されており,長期的な視点から改善に向けて取り組む必要があると考えています。
裁判所は,日本国憲法のもと,法の支配の確立に向けて努力を重ねてまいりました。この困難な時代に,憲法記念日を迎えるに当たり,その決意をあらたにし,最善を尽くしてまいりたいと思います。