校閲と校正の違い

 

 閲覧者から「校閲」と「校正」はどう違うの? という質問をいただいたので、お答えします。

 簡単に説明すると「校正」は、元原稿と試し刷りを見比べ、明らかな字句の間違いを直すことです。

例えば、「EIN(教育に新聞を)のホームページは98年7月12日に開設された」という元原稿があったとして、これが試し刷りの段階で「EIN(教育に新聞を)のホームページは98年7月12日に解説された」となっていたら、赤字の部分をきちんと直すのが校正マンの業務。元原稿の尊重を前提とする仕事です。

 一方「校閲」は上記のような字句の誤りに加え、元原稿に書いてある内容の事実関係にまで踏み込んでチェックします。校閲マンは赤字部分の直しはもちろん、EINというホームページが本当に存在するのか、EINはNIEの間違いではないのか、「教育に新聞を」でいいのか、さらには開設年月日が本当に正しいかを調べます。そしてEINは「新聞に教育を」の略で、開設年は98年ではなく、97年であると間違いを指摘し、直すことが業務として求められます。「校閲」は「校正」より一歩進んでいるんですね。

で、正しくは、「EIN(新聞に教育を)のホームページは97年7月12日に開設された」となります。

 

 では「いい国(1192)作ろう江戸幕府」という元原稿があったとして、それが「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」になっていたとしたら、両者はどうするか。校正マンは業務として鎌倉を江戸に直します。でも明らかに歴史的事実に反しているので、ちょっと気持ちが悪い。筆者に問い合わせをし、「元原稿に江戸幕府とありますが、鎌倉の間違いでは」と聞くでしょう。一方校閲マンは、事実関係では鎌倉が正しいものの、筆者に何らかの狙いがあるのではと考え、「原稿に江戸とありますが、このままでよろしいですか」と問い合わせるでしょう。

 まあ「校正」と「校閲」は定義こそ違いますが、突き詰めていけばどっちもおんなじ仕事。一流の校正マンはえてして、校閲のプロでもあります。

戻る