
産業能率大学客員教授 西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は産業能率大学の客員教授として教鞭をとるとともに、新聞・雑誌などで執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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相次ぐ創業家社長の再登板
「家電量販大手ヤマダ電機は4月30日、業績不振の責任を明確にするため、全取締役を降格させるとともに、創業家の山田昇会長(70)が社長に復帰する人事を発表した。」と記事が出ていた。
それだけ、今、転換を迫られているということなのかもしれないが、仮に責任を明確にするのであれば、今のトップが辞任し、新しい人が社長になるということも考えられただろう。しかし、一線から一度退いた山田氏が社長に就任する。新社長ではなく、再登板ということだ。再登板して、うまく行かなければ山田氏も責任を問われることになる。これは、新社長を検討したが、やはり渦中の栗を拾う腹を括れるのは、創業者である山田氏しかいなかったのかもしれない。
このところ、過去のトップが再登板するケースがいくつか見られる。自分が会社を拡大し後任に譲ったが、窮地に陥ったため、もう一度、最前線に戻ってくる。過去にファーストリテイリングも、柳井氏が玉塚氏に後を任せたが、再び戻ってきて今でも社長を続けている。会社が順調なときは良い。しかし、業績が悪化し、窮地に陥ったときはどこまで覚悟を決めてやれるかが重要である。そういう意味では、創業者であるか、そうでないかは大きな差なのかもしれない。会社に対しての思い入れが違うからである。
ヤマダ電機は多くの社員と取引先とお客様を抱えている。2兆円近い売上を誇る大企業の責任は計り知れない。もう一度山田氏が復帰したことで、ヤマダ電機の業績が回復することを期待する。最新号のメルマガでは、なぜ山田氏が復帰することになったかを分析し、今後どのような展開になるかを予想している。
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