これを書いている時点で、アルカナハートは多くのファンに愛されて、実質6作目となるLOVEMAX!!!!!も発表され、私としても心から嬉しく思っています。
最初に企画を立ち上げた時には、ここまで愛されるシリーズになるとは想像もしていませんでした。
ここで、アルカナハートを立ち上げた頃を振り返って見るのもいいかなと思い、ブログを書き始めてみました。
開発の話なのでキャラのファンにはあまり面白くない内容かもしれませんが、開発に興味のある方には楽しんで頂けるのではないでしょうか。
このブログでは、立ち上げから完成までの経緯や思ったことを綴るつもりですが、あくまで私視点ですので、当時のスタッフからしたら、それは違うだろ!と言われたり、私の記憶違いもあるかもしれません。
数年前のことですし、出来事には多面的な視点があるので、そのあたりはご理解の上読んでください。
では、アルカナハート回想録、始めまーす。
【企画の立ち上げ】
アルカナハートの企画が立ち上がったのは、天下一剣客伝のアーケード版の開発が一段落した頃でしょうか。
アーケード用の商品を販売している大手販売代理店から「新作アーケードゲームを作って欲しい」ってオーダーがあったんですね。その時点で何本か格闘ゲームの企画を進めてはいたのですが、次の仕事が決まっていなかったので、これはチャンスだと思い打ち合わせに赴きました。
話を持ちかけてくれた会社は「サムライスピリッツ零」の販売も扱っており、これが思いがけずヒット商品となったことで次の商品を自社で扱いたいって話が出てきたわけです。
「それならば、いくつか格闘ゲームの企画を作ってみます。」というわけで、当時の開発スタッフを3つのチームに分けて、3本の企画を立ち上げました。
それぞれの企画にリーダーを決め、私が担当したのは「古代遺跡格闘」でした。
で、3つの企画を持ってクライアントへ打ち合わせに行くと、当時「メルブラ」や「鉄拳4」が流行っていたので、とにかく似たようなゲームを作って欲しいって言うんですよ。
クライアントは営業の会社で一枚20万以上もする基盤を何百枚と売らなければいけない。そうすると当然「売りやすい」見た目や、店舗に説明がしやすい売り文句が必要になる。一番、売りやすいのが「儲かった○○みたいなゲーム」の一言です。そうすると、当然、市場には似たようなゲームが溢れるわけですが、売り手買い手がいないとゲームを作れないわけですよね。
鉄拳のような3D格闘は機材もなければ、スタッフのスキルも向いていない。そういうわけで「全員女性キャラ」と言うコンセプトの企画が、メルブラに似ていて非常に売りやすいということで採用となり、アルカナハートの原型になりました。
(以前、サムスピを手掛けていた事で「ナコルルが出る女性だけの格闘ゲーム」と言う無茶な注文もありましたが、さすがにそれは版権を無視し過ぎていると苦笑いで断りました...)
続く