名古屋グランパスは7日、トヨタスポーツセンターでJ2のFC岐阜と練習試合を行い、2−0で勝利した。前半39分にFW矢野貴章(29)が先制弾。後半36分にはFWチアゴ・ペレイラ(19)が加点した。矢野にとってはスタメン復帰をアピールする1発だ。
人数合わせの大学生まで入れたFC岐阜を攻めあぐねた前半39分。嫌な流れを、矢野が一撃で振り払った。中盤の底からMF田口が相手DFラインの裏を狙ったロングパスに反応。右サイドからダイナミックに走り込む。GKと1対1を作ると、冷静に右足ループシュートでネットを揺らした。「泰士(田口)のけったタイミングも、自分の動き出しも大事」。中盤と前線が呼吸を合わせて生んだゴールに、一筋の光明が見えた。
チームは前日(6日)の仙台戦で敗れ、リーグ戦ここ4試合で3敗。グランパスの攻撃は足元へのパスばかりとなり、前線は硬直している。無得点の矢野自身もここ2試合はベンチスタート。「結果も内容も良くない。開幕のときに戻ったような感じ」。チームを覆う閉塞(へいそく)感を感じている。
そんな状況を打ち破るプレーこそが、裏への飛び出しだ。「今は相手の前でボールを回していることが多いけど、それだけでは…。動きだすことによってスペースができる。そこに走り込む選手がいたり、マークがずれたり、何かが起こる」。スピードとパワーを兼ね備える矢野がダイナミックな動きでスペースを突き、中盤からパスを引き出せれば、攻撃に連動性が生まれる。停滞する前線に躍動感を呼び込めるのだ。
11日には中4日でホームに2位・横浜Mを迎え、さらに6月のリーグ中断までアウェーの鹿島、C大阪と、上位との対戦が続く。何かを変えなければならない状況。ならば、ゴールに飢えた矢野の飛び出しに賭ける価値はある。 (宮崎厚志)
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