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政治
【主張】東電の再建計画 国の応分負担へ見直しを
東京電力の経営再建が厳しさを増している。原発の稼働停止や賠償費用の増加などで平成25年3月期決算は、3年連続の大幅赤字となった。
今年度中に黒字化するとした経営再建計画は、その達成が極めて困難な状況にある。
東電の経営が揺らげば首都圏に対する電力供給や福島第1原発事故の賠償にも影響が及ぶ。東電に賠償や廃炉などすべての責任を押しつけた現行の再建計画を早急に見直し、新たな支援の枠組みを検討すべきだ。
東電と政府が共同で策定した再建計画は、政府が1兆円を投じて東電を国有化する一方、賠償費用の支払いを一時的に肩代わりする内容だ。東電は長期にわたり事業収益から政府に返済するため、国民負担は生じないとしていた。
だが、賠償費用の増加に加え、原発停止に伴う火力発電用燃料の輸入増と円安で、東電の収益は想定以上に悪化している。計画では今年度中に柏崎刈羽原発4基を再稼働する予定だが、泉田裕彦新潟県知事の反対もあり、めどは立っていない。
東電は昨年11月、「5兆円とみていた賠償などの費用が10兆円規模に拡大する可能性がある」として政府に支援の見直しを求めている。今回の決算をみても再建計画は行き詰まりを露呈しつつある。このままでは電気料金の再値上げも避けられない。
まずは東電一社に全責任を求めた再建計画について、原子力政策を進めてきた国も応分の負担をするなど、現実的な案に修正する必要がある。その前提として、電力会社に原発事故の無限責任を求めた現行の原子力損害賠償法の改正を急ぐべきだ。
東電が経営を再建し、電力を安定的に供給するには原発の再稼働も欠かせない。原発1基が稼働すれば、年間800億円の収支改善が見込めるという。もちろん、東電自身がリストラを徹底することも求められる。
国内では関西電力の大飯2基を除き、原発停止が長期化している。東電と同様に各社とも発電コストの急増で軒並み大幅な赤字を余儀なくされ、電気料金の引き上げも相次いでいる。
今夏も電力供給は綱渡りを強いられそうだ。電力不足を解消し、日本経済を再生させるためにも、政府は原発の再稼働を主導しなければならない。
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