日本ハム・大谷翔平（１８）の二刀流調整にメジャーが興味津々だ。というのも「投手と野手の二つをやることで練習を含めた全体的な球数は減る。米国に比べて高校時代から投球過多の傾向にある日本人投手のリスクは減らせる」（大谷獲得に興味を示していたメジャー各球団のスカウト）からだ。

　今春のセンバツで米メディアからも注目された済美高（愛媛）・安楽智大投手（２年）の例を出すまでもなく、エースの２連投、３連投が当たり前の「ナショナル・ハイスクール・トーナメント（甲子園大会）」は米国人の目から見ると異常な光景。「リトルリーグから大学までがリーグ戦で、投手に十分な登板間隔と球数制限が設けられている」（前出スカウト）という米国の投手と比べて、プロで一線級クラスの投手はほぼ例外なく肩、ヒジに勤続疲労のリスクがあると考えられている。

　レンジャーズがダルビッシュ有と結んだ６年契約の中に、故障者リスト入りした場合に年俸から最大８０万ドル（約６３２０万円）が減額される“健康ボーナス”を盛り込んだのもこのリスクを回避するためと見られている。

　右足首の捻挫も癒えた大谷は「野手」として一軍復帰。黒木投手コーチが「焦っていない。デビューを急ぐことが目標ではないから」と話すように「投手」としての調整にはまだまだ時間がかかりそうだが、前出スカウトに言わせれば「二刀流では注目していない。基本的に彼の投手としての才能に期待している」。さらには「彼がもし日本流の投げ込み調整に染まらずに松坂やダルビッシュクラスの成績を残したら画期的」と、日本とは違った視点から大谷の挑戦に注目している。