所属学会のひとつから。
この時期に届く会報に「学会託児」について触れたものがあって。
私が大学院生になって間もなくして、
大学助手を務めていた時に上司にあたる女性研究者の先生が
「女はブランクだらけだから大変よね」とポロッとおっしゃったことがあって。
つまり、
結婚→妊娠→出産→子育て。
まずは、この期間だけでも、刊行論文数は激減。
学会出張、海外研修も控えることになり、
一気に研究者としてのブランクができる、とのことだった。
現在では男女ともに子育ては盛んになったように見えるけれども、
実際は女性が多くを担っていることは変わりなく。
そして、私の専門においては、女性研究者は年月を経てもやはり少なく、
結婚や出産は一大決心であるという意識がまだどこかにある。
因みに、私の先輩は未婚、他の先輩では結婚→出産を経て論文は一切書かず、
何もしていない、という状況の人も。
論文を書くこと。これがまずは人文系では第一の仕事。
どこに属するか、ではなく、何をしている(書いている)か、であることが
実は大きいようだ。
もしかして一番シアワセなのは、時間を自由に使える研究者であることかもしれない。
さて。そこで、この文書である。
出産、子育てを経るとしたら、人生のうちの大仕事のひとつであろうし、
学会出張も遠方となれば預けるしかなかった。
託児のシステムを利用する、というのはひとつ選択肢が増えたにすぎない。
このアンケートではどのくらいの料金がよいのか、
などの細かい部分はあるのだけれど、
「女性重視の姿勢を示すこと」を強調するあたり、
まだ意識の奥には、育児も女性のもの、という部分が強いのか。
男性研究者であっても、育児に積極的で学会出張でも連れて行く
ということは想定していない内容。そうは思いたくないのだけれど。
学会託児については賛成。
しかし、この文書の「表現(例:重視等)」については首を傾げてしまう。
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