◇WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
4回、パーラ(右)に立て続けにパンチをヒットさせる内山=6日、大田区総合体育館
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(6日、東京・大田区総合体育館)
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチは、王者内山高志(33)=ワタナベ=が同級9位ハイデル・パーラ(30)=ベネズエラ=に5回2分15秒、左ボディーアッパー1発でもん絶させKO勝ち。7度目の防衛に成功した。将来的にはWBC同級王者三浦高司(28)=帝拳=との統一戦の可能性も出てきた。同スーパーフライ級タイトルマッチは王者河野公平(32)=ワタナベ=が暫定王者リボリオ・ソリス(31)=ベネズエラ=に0−2の判定で敗れ、初防衛に失敗した。勝てば2階級制覇を狙う亀田大毅(24)との日本人対決も確実視されたが消滅した。
鬼のような一撃だった。内山が左のボディーアッパーのたった一発でベネズエラから来た挑戦者をもん絶させた。
5回だ。そこまでは静かな展開。しかし、内山が放ったボディーに、挑戦者が「ローブローだ」とアピールし、会場はにわかに騒然となった。レフェリーがインターバルを取って再開。その直後に、戦慄(せんりつ)のシーンが起こった。右のフックでガードを上げさせておいて、がら空きの脇腹を左のボディーでえぐった。挑戦者はそのままマットにうずくまって戦意喪失。「それじゃあ、視聴率とれねえぞ」とヤジも飛んだ会場も、一転して称賛の嵐となった。
「ドスンというより、バキッという感触。右フックからの左ボディーはスパーリングでは95%倒しているコンビネーション。狙い通り。左ジャブも当たり出して、後半に倒せるかなと思ってたんですけど。ま、当たれば、倒れると思ってましたから」と涼しい顔の内山。渡辺均会長は「あのパンチで何人ものスパーリングパートナーが肋骨(ろっこつ)を折られたり、選手生命を終わらされているんです」と、ニコリともせずに明かした。
試合直後、3度目の防衛戦の相手で、現在はWBC同級王者の三浦高司から再戦要求を突きつけられた。だが内山は「三浦君も数倍強くなっている。チャンスがあればやりたい」とサラリと答えただけ。その受け答えに、まだまだ余裕を感じさせた。
「スタミナ強化の練習をしてきたけど、成果を出す間もなく終わった。将来、もっときつい試合に勝つためにきつい練習をしている。きょうの点数は40点。相手の左ジャブをもらいすぎた」と辛口の自己採点。ポテンシャルを最大限に発揮させる相手との試合を、誰もが見たがっている。 (竹下陽二)
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