◇J1第10節(6日) 大宮2−1広島
ストライカーの本能がリミッターを外した。一目散にボールに食らいつき、追い付く。大宮のルーキーFW富山が捨て身のダイビングで勝利を呼び込んだ。1−1の後半39分。ゴール前の浮き球に頭から突っ込み、ネットを揺らした。
NACK5スタジアムで史上最多1万3365人の観客は大興奮。その直後、ざわめき、静寂に包まれた。鮮血。そして、ピッチに突っ伏した。相手GK増田と互いに頭がぶつかり、負傷した。殊勲者は起き上がることはなく、担架で運ばれたが、これが昨季J王者を沈める一撃となり、J1記録の連続不敗記録を「21」に更新した。
大宮は中2日、ACL出場組の広島は中5日だった。それでも体力面での劣勢をはね返した。ベルデニック監督は「疲労した中でミスも予想していた。難しい試合を勝ちきったのは評価に値する」と胸をなで下ろした。GK北野は「ルーキーはアグレッシブで走力もある。ガッツをもたらしている」と賛辞を贈った。
先制点をアシストした大卒新人DF今井は言う。「トミ(富山)はさすが。きのう『きょうは点を取る』と言っていた。お互い刺激になっている。もっと、もっと成長して大宮を2人で強くしていきたい」。快進撃を栄養に若き才能が芽吹き、チームの幹へと成長しようとしている。
リーグ戦も7連勝に伸ばした。昨季王者を倒し、今井は「ハードワークが持ち味。1年目なので疲れているとか言ってられない。走り続けないと」と気持ち良く言い切った。大宮はルーキー2人のパワーを動力源に、首位街道を切り開いた。 (占部哲也)
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