伊吹太歩の世界の歩き方:「カネのためなら何でもやる」――中国人がアフリカで嫌われている (4/4)
中国との貿易で国内産業が育たない
アフリカ南東部のマラウィでも反中感情が国内に広がっている。マラウィの法律では、外国の小売業者はマラウィ国内の3つの都市でしかビジネスが出来ないと規定されている。にも関わらず、中国による莫大な投資を背景に、中国企業は好き放題に各地で商売を行い、政府もそれに目をつぶってきた。それに対するマラウィ人の怒りが6月、最高潮に達し、デモが繰り広げられた。
こうしたアフリカでの反中意識の背景にあるのは、中国からの輸出。例えばアフリカ諸国では中国に天然資源などを輸出しているが、逆に衣料品や電化製品などの安価な商品を中国から輸入する。そのせいで、国内の産業が成長しない状況が生まれているのだ。
つまり、仕事を奪われる人たちが出ているのだ。例えば南アフリカでは、ここ10年で8万ほどの製造業の雇用が、安価な中国製品によって奪われた。こうした輸入は年々増加しており、近い将来には、アフリカ人と中国人の大規模な衝突が起きる可能性もある。2012年7月に北京で行われた中国アフリカフォーラムで、南アのジャコブ・ズマ大統領が、「この貿易パターンは、長期的には維持できない」と断言している。
これまでになく世界での影響力が高くなった中国。経済成長により強気の姿勢はさらに強くなり、尖閣問題でも大胆に対応している気がしてならない。もちろん日本が完全に手玉に取られているとの見方も否定はできないが。
そうした強気に出る中国の対外政策に、恐怖心や不快感を示す形で、日本、アメリカ、欧州、東南アジア、アフリカでシノフォビアは広がっている。ミャンマー人の言葉を借りるなら、中国が自らの利害のために「何でもやる」限り、シノフォビアはどんどん強くなることだろう。
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