特集ワイド:憲法96条改正すれば民意は反映されるか 得票率と獲得議席数の関係を試算

毎日新聞 2013年05月07日 東京夕刊

 そのシミュレーションによると、無効票などを除く全政党の得票数の合計は小選挙区5962万6567票、比例代表6017万9888票、計1億1980万6455票だ。うち自民党は計4226万7766票(小選挙区2564万3309票、比例代表1662万4457票)で得票率は35・28%。自民党は、この35・28%の票で480議席中294を得た。ならば逆算すれば、過半数の241議席は得票率何%に相当するか−−わずか28・92%だ。

 「国会の過半数」という建前の裏で、得票率に換算して実に71%もの民意を無視して改憲発議ができるということなのだ。

 もっとも現在の「3分の2以上」のままでも自民党と16・03%の維新、6・72%のみんなの得票率の合計は58・03%にしかならない。それでも切り捨てられる民意は過半数より小さく、ずっとましだ。

 なぜ、このようなことが起こるのか。

 上脇さんは「根本的な原因は選挙制度の欠陥にある」と強調する。「昨年の衆院選では小選挙区の総得票数中56%の3730万票が当選に結びつかない死票だった。つまり44%の民意しか反映していない。自民党は小選挙区の定数300の79%、237議席を得たのに、得票率は43%。1票でも多い候補が当選し、負けた候補の票は無視されるという制度の弊害です」

 比例復活などを考慮しない乱暴な計算ながら、衆院480議席を先のシミュレーションではじいた得票率に応じて配分すると、35・28%の自民党は169議席。改憲をうんぬんする勢力には程遠い。

 参院選も同様の欠陥を抱えている。思い出されるのは10年の参院選だ。自民党の得票率は選挙区33・38%、比例代表24・07%で、民主党の38・97%、31・56%を下回ったにもかかわらず、議席数は51で民主党の44を上回る逆転現象が起きた。これも改選数121のうち29を占めた1人区で大量の死票が出たことが大きいとされる。

 上脇さんは憤る。「改憲要件が民意とかけ離れている、国民の権利行使の機会を奪っていると言うなら、まず第一歩として民意を反映しない国会議員の選出方法を改善するのが当たり前。それこそ国民主権の侵害ですよ」

 「何だかんだと言っても国民投票があるじゃないか」。そんな声もありそうだ。両院の賛成後、国民が直接、意思表示する機会があるのだからいいじゃないか、と。

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