電動車いすで日本縦断に挑戦している韓国人の重度障害者、崔(チエ)昌鉉(チヤンヒヨン)さん(37)が、名田庄村のNPO法人の招待を受け、京都府美山町から福井県入り。七日は朝から地元の障害者と車いすで約二キロを併走するなど、同村や上中町で交流を深めた後、滋賀県に向けて出発した。
崔さんは先天性脳性まひで手足が不自由。故郷大邸市に自ら設立した「明るい独立生活センター」の所長を務めるとともに、障害者の自立と福祉の向上を訴え、口にくわえた棒で電動車いすのハンドルを巧みに操作しながら、国内外で積極的に活動している。一九九九年には韓国全土約千五百キロを走破、二○○一年には米国横断に成功した。
今回は以前から交流があった隣国日本での挑戦を決定。先月十日に鹿児島県を出発、約二カ月かけ北海道稚内市を目指している。この活動を知った名田庄村のNPO法人「多目的サロン夢(ドリーム)」の広畑有希子理事長(36)が「障害者への理解と国際交流を深めてほしい」と、崔さんを招待した。崔さんは六日夕に到着。NPO会員や小学生ら十五人が旅の苦労話などに聞き入った。
七日は、同会員で下半身不随の岩崎皓昭さん(61)=同村納田終=が同町三重までの約二キロを伴走。途中、村役場を訪れ、下中昭治村長らの歓迎を受けた。岩崎さんと別れた崔さんは小浜市から上中町へ向かい、福祉施設を訪問した。
「福井はとてもいいところ。障害者も努力すれば不可能はないことを自分の体で示したい」と話す崔さん。各地での温かい歓迎を思い出に、滋賀県へ向かった。