99/09/30 第71回中央社会福祉審議会総会議事録 第71回中央社会福祉審議会総会 議 事 録  1 日 時 平成11年9月30日(木)14:00〜 2 場 所 厚生省特別第1会議室 3 出席委員 青木、江草、木村、袖井、高城、中村、長谷川、初山、堀、光田、八代、 山口、山崎 湯沢、有馬、板山、上村、永松、福武、桝本、三浦、村田、 吉村の各委員 4 議 事 (1)社会福祉基礎構造改革について (2)その他 委員長  それでは時間になりましたので、ただいまから「第71回中央社会福祉審議会総会」を 開催いたします。  委員の皆様方にはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。 本日の総会におきましては当審議会に諮問されました「社会福祉の増進のための関係法 律の整備等に関する法律案(仮称)制定要綱」について審議いたしますので、前回同様 社会福祉構造改革分科会に所属する臨時委員の方々につきましてもご出席いただいてお ります。  では、最初に本日の出席状況について事務局から報告をお願いします。 事務局  本日は23名の方がご出席予定でございますが、現在におきましても定足数を満たされ ております。二、三の委員、予め遅れるというご案内いただいておりますが、定足数を 満たしておりますのでよろしくお願い申し上げます。 委員長  ありがとうございました。それではまず最初に事務局に人事異動がございましたので 紹介をお願いいたします。 事務局  私、この8月末の人事異動でそれまでの施設人材課長から企画課長になりました河で ございます。何卒、よろしくお願い申し上げます。 隣におりますのが地域福祉課長になりました川井でございます。 事務局  どうもよろしくお願いします。 事務局  施設人材課長になりました森山でございます。 事務局  よろしくお願いいたします。 事務局  監査指導課長になりました脇本でございます。福祉人材確保対策室長の古都でござい ます。 事務局  脇本でございます。 事務局  古都でございます。 事務局  児童家庭局の企画課長、小林でございます。 事務局  よろしくお願いいたします。 事務局  あとは異動ございませんので何卒、よろしくお願い申し上げます。 委員長  ありがとうございました。それでは議事に入らせていただきます。まず、社会福祉の 増進のための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)制定要綱に対する答申案につい てご審議いただきたいと存じます。  本日中に答申を取りまとめたいと考えておりますので、何卒、よろしくお願い申し上 げます。本日、私の方で前回の議論を踏まえた答申案の作成を事務局に指示させていた だきましたので、事務局の方で配付をお願いいたします。 行き渡りましたでしょうか。それでは答申案につきまして事務局から説明をお願いいた します。 事務局  それでは今、お手元に配られました答申案についてご説明いたします。前回の議論を 踏まえたものを作成をするようにということでございましたので、これまでの経緯、審 議の経過なども踏まえながら案を作成いたしております。その上でこれを朗読すること によりまして説明に代えさせていただきたいと思います。朗読いたします。  社会福祉事業法等の改正について(答申)。平成11年8月10日付。厚生省発社援第219 号を以て諮問のあった標記については諮問案どおり了承する。なお、当審議会としては 本答申に沿って社会福祉基礎構造改革を早急に実施するとともに、実施に際しては、情 報提供、利用者の権利擁護など、利用者保護の仕組みの適切な実施に努めること、人材 の養成を含むサービスの質の確保を図ること、社会福祉法人の一層の活性化を図るため 社会環境の変化に応じた運営の弾力化を行うこと、多様な需要に応える多様な主体の参 入の促進のための環境を整備、地方公共団体等の実施体制や財源確保に支障を生じない ようにすること等の諸点に十分留意するよう強く求めるものである。  また、今後とも社会福祉基礎構造改革や規制緩和・地方分権の推進、介護保険の施行 状況などを踏まえつつ、介護保険サービスを行う社会福祉事業や養護老人ホームなどの 今回法改正の対象とならなかった社会福祉事業の在り方、介護保険制度の施行5年後を 目途とした同制度全般の見直しの際に障害者に対する介護サービスのあり方について見 当を加える必要があることを申し添える。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。ただいまの答申案につきまして何かご質問、ご意見等、ご ざいましたらお願いいたします。 委 員  はい。 委員長  はい、どうぞ。 委 員  非常によくまとまった答申案でございますので賛成でございます。ただ、なお書きの 4行目に社会福祉法人の一層の活性化を図るため、社会環境の変化に応じた運営の弾力 化を行うことと、これはもう社会福祉事業界の多年の念願してまいったことでございま すので、この際、思い切って運営の弾力化をお考えいただきたいということでありま す。以上です。 委員長  ありがとうございました。 委 員  はい。 委員長  はい、お願いします。 委 員  前回、私も発言させていただいたわけでございまして、この答申、ご尤もとこのよう に考えるわけでございます。  しかしながら、昨日の自自公合意の前文にもございますが、成長分野での一層の規制 緩和と制度改革を進め、福祉サービスの多様化等を実現することとという政治的な合意 もございますので、今後、こういう政治の流れも見ていただきましてどうかひとつ柔軟 な対応、時宜を得た対応をなお一層、お願いいたしたいと、かように思うわけでござい ます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。これで了承をいたしたいと思いま す。ありがとうございました。 委員長  ありがとうございました。他はいかがでしょうか。 委 員  事務局のご努力で大変大きな改善を見たと思いますし、私としても諸般の事情に鑑み れば今回、こういう形で答申を行うことについては賛成をいたします。  なお書きのところで大変いろいろな問題が盛り込まれていて、必ずしもこれだけで十 分に問題が言い尽くされているかどうかはよくわかりませんが、特にここのところで、 利用者の権利擁護など利用者保護の仕組みの適切な実施に努めることと、記述されてお ります。今後の政策運営、あるいは法改正にあたって特にご留意いただきたいのは、利 用者は単なる保護の対象であってはならないということでございます。利用者自身が制 度に積極的に参加する、ある意味では主体であると思います。このことについてぜひ、 関係各位の強くご留意をお願いをしたいと思います。 そのことは、その後にあります多様な需要に応える多様な主体の参入という、この主体 の中に利用者自身もカウントしていただきたいということと同義でございます。また、 それがあって初めて供給側と利用側との双方向的な意見交換、意思の疎通、その中で制 度の効率的な運営と、同時にニーズに対するきめ細かな対応というものが同時に達成さ れるだろうと思いますし、そのこと自身が今回の社会福祉事業法という基礎法の改正の 基本的な精神でありますいわゆる措置制度からの脱却ということの最も大きな意義では ないだろうかと思います。単に契約になったから措置制度からの脱却であるとかないと か、そういうことではなくて、基本的な意義を踏まえて今後のそれ以下に関わるところ についてのご留意を行政側の皆さんだけではなくて、関係者各位にぜひお願いをしたい と思いますし、私どももまたそういう立場で今後の政策制度運営に参画をしてまいるつ もりであることを表明したいと思います。  なお、用語の問題でございますが、下から5行目のところに規制緩和とありますけれ ども、最近は規制改革という用語に切り換えられているのかなと、特にこだわりません けれども、ちょっと大変技術的なところですけれども、最近の動向と合わせて若干の事 務的なご配慮だけ加えていただいた方がいいのかなと、これは感想でございます。以上 です。 委員長  ありがとうございました。 委 員  私もこの答申案については賛成でございます。ただ、なお書きのところの5行目、多 様な需要に応える、多様な主体の参入促進のための環境整備という文言は今回でも度々 申し上げましたけれども、今回の改正の中で最も重要なフレーズのひとつだと私は思っ ておりますので、そのことを特に強調しておきたいと思います。 と同時に、今回法の改正対象にならなかった社会福祉事業のあり方等々の文言も最後 の4行に書かれておりますが、この施行5年間というものの間にさらに見直すべきとこ ろはもっと見直していくということを確認しておきたいと思うのです。 と申しますのも、この高齢化社会におけるこの問題というのは厚生省だけの問題ではな くて国全体の問題でもあるわけです。省庁を超えて、特にもうしばらくすると省庁の再 編もあるわけですから、国家的な問題として省庁を超えた問題として力強く取り組んで いただきたいということ、強く申し上げておきたいと思います。 委員長  ありがとうございました。 委 員  最初、この社会福祉の基礎構造改革について、この審議会で議論が始まってからもう 本当に2年数か月経ちました。あれからしますと本当にいろいろなことを何回にも渡っ て議論してまいりました。そういう内容がこのなお書きの中に非常にコンパクトなこれ だけの文章によく収めていただいたなと、事務当局のご努力に敬意を表したいと思いま す。  なお、私が何回か発言をいたしました介護保険と今回の社会福祉の基礎構造改革との 整合性、こういうものについても、後半の方、特に最後の3行目には障害者福祉と介護 保険との整合性というものも非常に具体的にこうして書いていただきまして厚くお礼申 し上げたいと思います。  なお、第2点目ですが、今回の社会福祉事業法の改正というものは私はやはり21世紀 の我が国の少子・高齢化という非常に今まで我々の先達が経験したことない大きな試練 の中で、この社会保障問題というものをいろいろと云々する時代に突入すると思います し、介護保険だって今度の社会福祉の基礎構造改革だって私は同じだろうと思います。  そういう意味では、私は、やはり介護保険がちょうど5年後に見直しとなっておりま すので、今回のこの社会福祉事業法等の改正というものはそれに併せた第1歩ではない かなと、社会福祉の基礎構造改革の第1歩だというふうに捉えたいと思っております。  今後、厚生省におかれましても現場でのいろいろな問題点を踏まえながら、見直しと 言いますか、そういう時期が来れば積極的に国民サイドに立った見直しを図るべきだろ うと、そういうふうな印象を持っております。この答申案に賛成だということを申し上 げて、私の発言を終わります。以上です。 委員長  ありがとうございました。 委 員  私もこの答申案については賛成するものであります。 特に情報提供というところは一般の国民にとっては非常に重要なところでございまして 情報が十分にないところには需要も、十分な需要が望めないわけでございまして、今後 こういうことを進めるためには特に情報提供という部分でも十分に留意をしていただき たい。  それと人材確保ということでございますが、これは量だけではなくて、人材の質の問 題が非常に重要であろうと思います。特に多様な状況で参入をされるとすると、そうい う多様な組織に所属しておるすべての人たちの人材の養成というところへきっちり視点 を向けていきませんといけないというふうに思うわけです。  継続した研修を行うとか、その辺のところを十分、これからもご配慮を願って、これ が実質的に国民のためになるものになるようお願いをしたいと、このように存じており ます。大変いい委員長の指示の下に案を作成していただきましてありがとうございまし た。賛成をいたします。 委員長  ありがとうございました。 委 員  基本的にこの答申案に賛成させていただきたいと思います。 一言だけせっかくの機会でございますので、さきほどの多様な主体の参入というところ で一言だけ言わせていただきますと、先般の国会で、我が国でもいわゆるPFI法案と いうものが成立したわけでございます。ご案内のとおり、このPFI法案というのはい かに国民の税金を有効に使うかというのが基本的な発想でございまして、同じサービス を提供する場合でも税金をいかに安く、低くするかと、あるいは同じ税金を投入する場 合でもいかにサービスを高めるかと、そういう形で民間参入を促すというのがPFIの 基本的な精神でございまして、ぜひ、今後、具体的な検討に当たりまして、そのPFI の精神を、ぜひ、折り込むような形で進めていただければありがたいと思っておりま す。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。他はいかがでしょうか。 委 員  答申案はこのとおり、私も賛成したいと思います。 実は私、身体障害者福祉審議会の方の会長を務めさせていただきまして、実は去る9月 27日の日に身体障害者福祉審議会におきまして実は同趣旨の論議を行いまして、基本的 には身体障害者福祉審議会としましては同趣旨の形で賛成をしております。そのことを 申し伝えたいと思います。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。他によろしゅうございましょうか。よろしいようでしたら ただいま、皆様方、この案について賛成であるというご意見を賜りました。それではこ の案を審議会の答申として本日付を以て公表したいと存じますが、よろしゅうございま しょうか。 (「異議なし」と呼ぶ者、多数あり) 委員長  ありがとうございました。 委員長  予定ではここで事務次官がいらっしゃることになっておりますが、時間的にそれは3 時となっておりますので、その間を利用いたしまして報告事項の方を厚生省の方から先 にさせていただきます。 事務局  それでは事務局、平成12年度概算要求の概要ですね。これについてまず報告をお願い いたします。 事務局  それでは社会福祉関係の概算要求の概要、私ども社会・援護局から始まりまして障害 保健福祉部、老人保健福祉局、児童家庭局、それぞれの課長からご説明させていただき たいと思います。よろしくお願いいたします。座らせていただきます。 委員長  はい、どうぞ。 事務局  最初に社会・援護局の関係の平成12年度の概算要求、8月末に厚生省としての案をま とめまして大蔵省の方に要求するという形でまとめたものでございます。資料の4をお 目通しいただきたいと思いますけれども、平成12年度の概要要求として1兆3,961 億と いう額を要求させていただいております。 のちほどご説明申し上げますけれども、この大層の部分は生活保護に関するものでござ います。一番目に今、ご審議をいただき、また、答申案を取りまとめていただいたもの でございますけれども、社会福祉の基礎構造改革の推進ということで来年度、早速に事 業として行うことを予定させていただいておりますものを概算要求として3つあげさせ ていただいております。  一つは地域福祉権利擁護事業でございまして、今年の10月から地域福祉権利擁護事業 が実質的に前倒して始まっておりますけれども、それを12年度では半年度から満年度と いう形で1年間の予算を、1年分の予算という形にして要求するものでございます。  2番目にやはり構造改革の議論の中で苦情解決ということが必要であるというご指示 もいただきましたので、今のお話と併せまして苦情解決制度の整備ということで要求を させていただいております。  また、やはりサービスの評価というご議論もこの場で何回か頂戴いたしました。福祉 サービスの第三者評価の言わば作業を始めるという形で具体的なモデルと言いますか、 やり方を含めて進めさせていただきたいというものでございます。  2番目が社会福祉施設等に対する支援ということでございまして、社会福祉施設関係 の施設整備ということでございます。ここでもご説明させていただきましたけれども、 社会福祉施設整備につきましては、全体の2分の1というものを国庫で持たせていただ きまして、都道府県が4分の1ということで、全体で4分の3の公費によりまして施設 整備を進めさせていただいておりますが、これの言わば国庫分ということの要求でござ いますが、1,452 億ということを要求させていただいております。必要不可欠なものは この予算の中に何とか取り込まれているというふうに考えておりますが、なお十分であ るかどうかということについてはひとつの課題でございます。  2頁目をめくっていただきまして、2番目に社会福祉施設の運営ということで、いわ ゆるこれまでの言葉使いから言えば措置費にあたるものでございます。8,984 億という ことで、これは社会局だけではなくて4部局の総計を書かせていただいておりますが、 福祉職俸給表への対応、あるいは年休代替要員費の改善等々、改善事項という形で計上 させていただいております。  なお、全体の額が4分の3ぐらいになっておりますのは、星印に書いてございますよ うに介護保険制度への移行に伴いまして、平成12年度より特別養護老人ホームの保護費 負担金というものが、この中から、まさに老人保健福祉局の方の介護保険の報酬の世界 に変わりますので、その部分がなくなっているということでございます。  3番目に福祉分野における雇用対策ということでございます。中高年離職者の方々に それぞれの能力、あるいはさきほど委員からお話ございましたように、質を確保しつつ 福祉職場への就労や起業の支援ができないだろうかということで、都道府県の福祉人材 センター等を活用して、言わばこの分野に力を入れたいということでございます。  大きな3番目が低所得者等への支援でございますが、冒頭申し上げましたように生活 保護の動きということで、1兆1,740 億ということでございます。社会・援護局の予算 の大層を占めるのはこの生活保護の費用でございます。  3頁をめくっていただきますと、一番上にホームレス対策ということが書いてござい ます。これはのちほどまたホームレスの自立支援に関する研究会の報告等につきまして ご説明申し上げさせていただきたいと思いますけれども、ホームレス問題について必要 な施策ということをぜひ新たに起こしたいということでございます。  大きな4番目に地域福祉の推進でございますが、それぞれ必要とする額を計上し、要 求をさせていただいております。  5番目の地方改善対策というところでございますけれども、これもそれぞれ必要とす る額を要求させていただいております。  頁をめくっていただきまして、4頁でございますが、社会福祉・医療事業団につきま しては貸付原資の確保ということでございます。特にこの中におきまして介護保険制度 移行時に特別養護老人ホーム等の運営にあたられておられます社会福祉法人の経営資金 というものが、ある面で支払い時期の違いによりましてつなぎ資金が必要になるという ことも想定されますので、必要な原資を確保するということをこの中に盛り込んでおり ます。  社会福祉・医療事業団の大きな2番目でございますけれども、社会福祉施設職員等退 職手当共済事業、これも今回のご議論の中に入れさせていただいたものでございますけ れども、これにつきましてはまた必要な額を要求するという形でございまして、183 億 の要求をさせていただいております。  7番目に福祉人材確保対策でございますが、さきほどの中高年の離職者のところでご 説明申し上げたことと重複する事項があるわけでございますけれども、福利厚生セン ター、あるいは社会事業学校経営、いわゆる社会事業大学でございますけれども、の経 営に必要な費用というものを要求させていただいております。  5頁に移りまして婦人保護関係、災害救助関係、それぞれ所要の要求をさせていただ いておりますが、この中の災害救助関係の一番上でございますが、災害救助費負担金の 中で兵庫の阪神淡路震災に伴う応急仮設住宅の解体撤去の費用が盛り込まれておりま す。  社会・援護局関係の概算要求、非常に要点だけになりましたことをお詫びしたいと思 いますけれども、以上でございます。 事務局  引き続きまして障害保健福祉部の予算についてご説明いたします。障害保健福祉部の 企画課長でございます。よろしくお願いいたします。  資料の4の(2)でございます。これも時間の都合上、要点だけということで最初の 1頁目に1枚紙のところで内容を要約してございますけれども、障害保健福祉部の要求 額として集計いたしますと6,210 億円余りでございます。対前年比で10.9%の増となっ ておりますが、実は介護保険の実施に伴いましてホームヘルプサービスなど、老人保健 福祉局の方で一括計上していたものを介護保険実施に伴って障害保健福祉部の予算とし て組み替えると、そういう内容が含まれておりますので、それを除きますと5.6 %の増 となっているところでございます。  主な内容として1、障害者プランの推進でございます。平成8年度から14年度までの 7か年計画を立ててございますが、その14年度の目標達成に向けまして一層のプランの 推進を図るということで、プラン関係の経費、2,794 億円余りとなっております。対前 年度比で9.7 %の増でございます。具体的な数字につきましては以下の詳細な資料でま とめてございますが、取り合えず全体の姿だけのご説明でご容赦願いたいと思います。 2番目に介護保険法施行に伴う障害者施策の充実でございます。介護保険法案の採択 の際に付帯決議が付けられてございまして、介護保険給付と遜色のないものとなるよう に施策の充実を図るべきとされております。ということで障害者施策におきましても ホームヘルプサービスなどの在宅の福祉サービスのさらなる充実を図るということと、 実際のサービスのメニューとして訪問入浴サービスですとか、住宅改修費の助成といっ たものがございません。そこで来年度の要求におきましては身体障害者デイサービス事 業の中で訪問入浴サービスを取り込んで行うとか、日常生活用具の給付事業の中で住宅 改修費についても支給対象とするなどの要求を行っているところでございます。  3番目に精神障害者の関係でございます。先般の国会で精神保健福祉法の改正が実現 いたしまして、その中で精神障害者の人権に配した適正な精神医療の確保、また精神障 害者の社会復帰の一層を推進していくということでの改正がなされたわけでございま す。  そこで来年度から実施されます緊急に入院が必要となる精神障害者の移送制度に必要 な経費を要求しております。また、平成14年度から精神障害者につきましても市町村を 中心にホームヘルプサービスやショートステイなどの在宅福祉サービスを全国的に実施 していくということにしておりますが、その平成14年度からの本格実施に向けまして ホームヘルプサービスなどの試行的事業をさらに充実してやっていくという内容も含め てあるところでございます。  第4点としましては、障害者の社会参加の促進事業をさらに推進していくということ で、例えばということで書いてございますけれども、盲導犬の育成事業ですとか、手話 通訳の派遣事業などをさらに充実していくこととしております。また、盲ろう者とござ いますけれども、視覚障害、聴覚障害、重度の障害を併せ持つような方について通訳兼 介助員を派遣する事業、これを都道府県・指定都市を中心に実施していくようなことで まずはモデル的な事業を来年度、実施することにしております。  また、国連障害者の十年記念施設というものを大阪府の方で現在、整備しております けれども、3年計画の整備でございまして、来年度が最終年次になりますので、来年度 竣工するようにということで必要な予算額を要求しているところでございます。  最後に労働省との連携事業でございます。労働省における障害者の雇用施策と緊密な 連携を図るということで、今年度から事業を実施しておりますけれども、来年度におき ましても、さらに新しい事業として、情報機器を活用いたしまして、重度の障害者に社 会参加の場を提供し、さらに、そこで情報機器のいろいろな技術について習得した方が 在宅で一般就労できるような、そこまで持っていくような事業を労働省と連携してやっ ていくという事業も新たに要求しているところでございます。  以上、概略のご説明で恐縮ですが、以上が障害保健福祉部の概算要求の関係でござい ます。 事務局  老人保健福祉局の企画課長でございます。お手元の資料番号の4の(3)、平成12年 度老人保健福祉関係予算概算要求の概要と、このペーパーに基づきまして来年度の予算 要求、ご説明申し上げたいと存じます。  来年度はご案内のとおり、介護保険制度の初年度にあたります。その関係で予算の大 幅な組み直しというのを行っております。全体の額は一番上の方の欄に書いてございま すが、12年度の要求額、3兆572 億ということで若干の11年度予算と比べますと減少に なっております。これはのちほどご説明申し上げますが、措置費等の関係で振り替え、 全体ございましたので、その関係で減っております。  全体はそういう額でございますが、これと別途、予算のシーリングの際の閣議了解で この四角の中の下の方に※で書いてございますが、介護保険制度の円滑な実施のための 体制に関する経費については予算編成過程において検討するということで、これは別途 また検討するという項目になってございます。 それぞれ4つぐらいの柱に沿いましてご説明を申し上げたいと存じますが、最初は今、 ご説明申し上げましたが、介護保険制度の実施の費用でございます。これは既に発表し てございますが、来年度の介護保険の関係の経費、これ約4兆3,000 億 円と、こうい うことで考えておりますが、そのうち5,000 億円が自己負担、保健給付で対象になりま すのが約3兆8,000 億円。その費用の半分を公費で見ると。残りを保険料。高齢者の保 険料と、いわゆる2号保険料と言いまして現役の40歳以上の方に負担をしていただくと いうことになっておりまして、そのうちの公費の半分の公費のうちのさらに半分を国費 で負担をすると、こういう関係になってございます。その経費が合計で9,495 億円と、 こういう数字になっております。  さらにその内訳で20%の介護給付負担金というものと、5%分のいわゆる調整交付金 と、傾斜的に配分をするという額でございます。それぞれ7,596 億円と1,899 億円と、 そういう数字になってございます。  財政安定化基金というものを県レベルで作りまして、そこで市町村の間の保険料の均 衡化を図ると、経年的な均衡化を図るための基金というものを設けます。そのための負 担金というものがございまして、これが初年度、220 億円ということで計上してござい ます。事務費の関係でございますが、要介護認定、明日からいよいよ始まるわけでござ います。その関係の交付金を計上いたしておりまして、それが260 億円。こういうこと でございます。  以上が介護保険制度の直接的な経費でございますが、次の頁、介護サービス基盤の整 備、介護サービス、保険あってサービスなしということで困りますので、この点につき ましても引き続き最大限の努力をして要求をいたしたということでございます。  全体的には2,283 億円ということでございますが、内訳は1番目がこれまでどおり、 特別養護老人ホーム、老健施設、あるいは痴呆性老人グループホーム等の整備をいたし たいということで、整備量、下の方に書いてございますが、特別養護老人ホームにつき ましては1万人分、その他、ここに計上しておりますような人数分の整備量を確保いた したいということを考えてございます。  2番目は特別養護老人ホームの中のさらに質的な面でございますけれども、整備形態 の多様化、ここに書いてございますが、グループケアユニット等の導入と。あるいは高 齢者生活福祉センター、これを少し機能を強化いたしまして、いわゆる特別養護老人 ホームで認定を受けられなかった方、そういう方々が徐々に5年間かけて他の施設、あ るいは他のサービスに移行していただかなければいけない。そういうような移行の受け 皿というような趣旨も含めまして高齢者生活福祉センター、これは従来は僻地、辺地中 心の施設というふうに考えていたわけですが、これを今年度から都市型のものに変えて いこうと。そういう受け皿を作っております。 ここもそういうような流れの中で多様な施設の形にするということで機能強化を図り たいと、そういうような予算もこの中で対応いたしたいと思っております。ケアハウス の整備促進のための定員の引下げというようなことも、それとの関連で同時に行いたい というふうに考えてございます。  その次の頁でございますが、在宅福祉の関係でございます。合計で231 億円計上いた しております。引き続き、在介センター、重要でございますので、その整備につきまし て所要の経費を、運営費等の所要の経費を確保いたしたいということでございます。  高齢者生活福祉センター、さきほど言いましたように施設整備の関係外に運営事業費 この辺の強化もいたしたいと。建設省、今、シルバーハウジングというようなことで公 団住宅、あるいは公営住宅につきまして高齢者中心とした集合住宅の整備した際には生 活援助員のための特別な施設をその中に設けると、こういうような事業をやってござい ます。それにつきまして私どもソフト面からバックアップをするということで生活援助 員を派遣するための経費を私どもの方で確保いたしております。これを今回、民間の住 宅まで拡大をするという動きが出ておりますので、それとタイアップをいたしまして予 算の確保を増大をしたいということでございます。 (4)の離島等の訪問介護員養成事業費ですが、ヘルパー、特に離島、僻地、ヘルパー の確保が非常に大変な課題でございますが、この辺につきましては特に養成関係、必要 な経費のバックアップをして養成がスムーズにいくようにと、こういう面から予算をつ けておるところでございます。  3番目の柱、生きがい対策、介護関係だけでございませんで、高齢者に生きがい・健 康づくりも私ども大変な大きな柱というふうに考えてございますが、これにつきまして もここに書いてございますが、480 億円計上いたしております。  その第1点では介護予防・生活支援事業の実施ということで、今年度、100 億円程、 既につけておりますが、そこをさらに拡充をいたしまして、在宅高齢者に対する介護予 防・生活支援、生きがい対策等々の総合的な実施をいたしたいと。特に老人クラブ等の 活用等も念頭に置きながら様々なメニューに対応できるような形で弾力的な運用ができ る形での予算ということで130 億円を計上いたしておるところでございます。 ヘルス対策、これも介護予防、あるいは老人医療の面から見ても大変な大きな課題で ございます。これにつきましても308 億円ということで特に老人保健事業の計画的な推 進ということで、来年度から新規計画に入ります。特に健康日本21ということで、こ れは保健医療局の方で今、取り組んでおりますが、特に高齢者の対応は重要でございま すので、その中の大変大きな柱ということで私どももこれの一環として取り組みたいと いうことで、特に5つぐらい疾病を重点化をいたしまして、糖尿病、高脂血症等々の疾 病に重点的な取り組みをいたしたいと、一次予防、一次レベルの段階から重点的な取り 組みをいたしたいということで新たな事業にも取り組むということで308 億円、計上い たしておるところでございます。  最後は老人医療の関係でございますが、さきほども申し上げましたけれども、介護保 険の導入に伴いまして約2兆円程がいわゆる老人保健制度の方から介護保険の方に医療 費ベースで移ります。その関連でこれに関する国庫負担がその分だけ減るというような 構造になっておりますので、ここは減額でございますが、約1兆9,000 億と、こういう 数字で計上いたしておるところでございます。簡単でございますが、以上でございま す。 事務局  続きまして児童家庭局の企画課長でございます。資料4の(4)というものをご覧い ただきたいと思います。児童家庭局概算要求の概要というふうにまとめました資料でご ざいます。  1頁目、ご覧いただきますとこれは局の概算要求の全体を数字的に整理をさせていた だいたものでございます。一番下の行をご覧いただきますと、児童家庭局計で12年度概 算要求額、Bの欄でございます。一番下に7,834 億円とございます。これは対前年度で 444 億円の増額要求でございます。6.0 %の伸び率となります。  児童家庭局の予算、大雑把に申し上げまして真ん中辺、真ん中よりちょっと上にござ います児童保護費、措置費、入所施設というものと保育所運営費、この2つがございま すが、これがひとつ大きな固まりでございます。保育所、あるいは児童養護施設等の入 所施設の運営費、運営に要する経費がまずひとつ。  そのちょっと下にございます児童扶養手当、あるいは児童手当。こういう手当関係の 給付に伴います国庫負担、これがもうひとつの大きな固まり。この2つでおおよね大層 構成をしております。今回の444 億円の増も児童保護費で314 億円、手当関係で130 億 円の増。この増の要因はこの2つで大きく占めております。  1頁おめくりいただきますと、もう少し具体的な事業毎の概算要求の概要をまとめま した資料でございます。児童家庭局の予算、大きく3つに保育対策の充実というものが まず1点。児童虐待防止対策というものが2点。家庭地域の子育て支援というものが3 点目。この大きくは3つのジャンルに分けて要求を出させていただいております。  以下、ポイントに絞ってご説明させていただきます。まず、保育施策の充実、2頁目 の真ん中から下のところでございますが、まずひとつは保育所の待機児童の解消という ことで、3,900 億円余りの要求をさせていただいております。これは基本的に想定され る保育所の入所児童に加えて待機児童というのが数万のオーダーでまだいるわけですけ れども、平成12年度におきましてこういう待機児童をすべて保育所に受け止めた場合に 必要とされる保育所運営費の国の持ち分、これを要求をさせていただくというのがこの 項目でございます。そういう意味では予算上、保育所の待機児童の解消を図る予算要求 というのが(1)でございます。  (2)保育需要の多様化に対応した保育環境の充実というところの中でいくつか出し ておりますが、2頁目の一番下でございます。延長保育の促進ということで、現在、11 年度、7,000 か所ということで予算を取っておりますが、12年度、これを1,000 か所、 増加いたしまして8,000 か所。こういうか所数の増に併せまして、その下に括弧書きで 書いておりますが、延長保育のさらなる推進を図るために延長保育促進基盤整備事業、 これは延長保育のための事業費の補助金でございますが、こういう補助事業と開所時間 延長促進事業というもうひとつの補助事業がございます。今回、この2つを再編統合い たしまして延長保育促進事業という形で新たに制度化、事業化を図ると、こういう前提 で1,000 か所の延長保育実施か所数の増を図ろうというのがこの部分でございます。  1枚、おめくりいただきまして、(3)保育所における地域の子育て支援体制の充実 という項目がございます。その一番上の丸で地域子育て支援センター事業の促進という のがございます。これは先の児童福祉法の改正に伴いまして地域の子育て支援に保育所 としても一生懸命関わっていくということで、そういう関係の事業として従来から計上 しておるものでございますが、この実施、子育て支援センターの実施か所数を1,500 か 所から1,800 か所にするということに併せまして、その下に選択事業に家庭的保育を行 う者、いわゆる保育ママへの支援を追加と書いてございます。  従来、施設における保育ということを中心に進めておりました。基本はそういう方向 でこれからもいくわけですが、そういうものと併せてこういう在宅保育というあたりを もう少し我々としても議論してみたいということから、今回、12年度の要求ではこうい う子育て支援センターにこういう家庭的保育を行う方への支援事業をやっていただく。 逆にこういう支援事業をやっていただけるところを子育て支援センターとして指定をす るというような内容での要求を出させていただいているのはこの部分でございます。  大きな2番目、児童虐待防止施策の充実というところがこの3頁目の真ん中以下でご ざいます。いくつか虐待防止関係での項目を出させていただいておりますが、特に (1)児童虐待防止市町村ネットワーク事業の実施というものは、ともすれば市町村と ちょっと距離がおき加減でございました、この児童虐待防止対策というものをもう少し 市町村レベルで取り組んでいただく、地域の目の届くところ、そういう意味では基礎的 な地方公共団体であります市町村でこの虐待の防止ということに取り組むきっかけづく りをさせていただけないかということで、市町村にそこにありますような保健、医療、 福祉、教育、警察、こういうような団体、組織等からなる虐待防止協議会というものを モデル的に設置をさせていただきまして、地域をあげてこの虐待防止に向けての早期発 見なり、早期対応ということができる、そういうネットワークづくりを支援をしたいと いうことで新たな新規要求という形で出させていただいているものでございます。  併せてその下の家庭支援体制緊急整備促進事業の丸2つございますが、その上の方は 全国の児童相談所、これは174 か所ございます。そういう児童相談所にケースワークを 担当する児童福祉司の方がいらっしゃるわけですが、そういう児童福祉司の方を側面か らお手伝いをいただくというような方として児童虐待対応協力員、イメージとしては児 童福祉司のOBの方というようなことをイメージしておりますが、そういう協力員を配 置をして、諸々の虐待防止対策の充実に寄与できないかというのがこれでございます。  その下の協力体制整備事業の充実というものは、従来、20県でやっておりましたが、 これを全県、指定都市まで含めて実施をするというものでございます。中身は主任児童 委員の方々等に対する専門研修、これを実施をするということで、こういうことを通じ て地域のネットワークづくりに貢献するというところを目指したものでございます。  1枚、またおめくりいただきまして4頁目でございますが、3の家庭地域子育て支援 という項目、これは3つめの大きな柱でございます。国際シンポジウムの開催というも のが最初にございますが、これは11年度の予算で労働省との連携事業で10月の30日にシ ンポジウムを開催いたしますが、それに引き続いて今度は国際シンポジウムという形で 12年度は労働省と連携を取りながらのシンポジウムを打ってみたいという要求がこの部 分でございます。  (2)地域子育て支援というところの丸が3つあります3つ目、丸新と打っておりま す。産褥期ヘルパー派遣事業、これは新規事業としての要求をさせていただいておるも のでございますが、昨年、総理主催の少子化への対応を考える有識者会議というところ でいろいろご提言をいただいた中にこの産褥期ヘルパーのことも触れていただいており ました。今回、12年度の新規要求という形で出産後まもない、そういう心身の回復期に あるお母さん方のいろいろな身の回りの世話、あるいは育児の手助け、そういうような ことをするためのヘルパーさんの派遣を行うと、こういう事業を新規に要求をさせてい ただいているというのがこの部分でございます。  あと、母子家庭支援等、従来どおりの形でのさらなる施策の実施のための経費の要求 をさせていただいております。  また、5頁目は、これは母子保健、小児医療等の関係でございます。これは従来から いろいろかなり細かい事業も含めまして取り組みをさせていただいておるところでござ いますが、(5)の丸がいくつか並んでいるうちの3つ目、育児等健康支援事業の充実 というのがございます。これは乳幼児の健康診査、あるいは保健指導を休日に実施する 事業を追加したいということの要求でございます。共働き家庭が増えているという関係 で平日にこういう健康診査を受けるのはなかなかつらいというご家庭がございます。こ ういう方々への要請に対応するという意味で、取り合えず100 か所ということでござい ますが、こういう休日に実施する事業の追加をしたいというものでございます。  さらにその下に生涯を通じた女性の健康支援事業の充実というのがございます。これ は不妊治療に関する情報提供でありますとか、女性の各時期、ライフステージに応じた 健康問題に関してのリプロダクティブヘルスというような観点から、そういう諸々の情 報を掲載した女性手帳というものを作りまして、中学校1年生の女子に配付をする。こ ういう事業を盛り込んでおるものがこれでございます。  この頁、本当にいろいろ細々とした事業をやっております。下から丸が一番下のとこ ろに(8)で丸が2つございますが、その2つのうちの上、放課後児童健全育成事業、 放課後児童クラブの実施か所数を増加するというようなことも要求の中で入れさせてい ただいております。  1枚めくっていただきまして6頁目、(9)で児童手当国家負担金というのがござい ます。児童手当につきましてはご承知のようにいろいろ各方面からの議論がされておる ところでございます。今回の夏の概算要求のシーリング閣議の中で児童手当につきまし ては税制上の扶養控除制度と併せて年末の予算編成過程で検討を行うということで、概 算要求自身は現在の現行制度を前提とした要求のみを出させていただいておるところで ございます。年末に向けてさらなる検討が進められるという事項でございます。  非常にポイントだけで恐縮でございます。8頁目、9頁目は児童虐待防止施策の充実 という観点から虐待防止対策の事業のみを1頁にまとめたものを資料化させていただい ておるところでございます。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。ご意見、ご質問等ありましたらお願いいたします。 委 員  児童家庭局にちょっとお訊ねしてよろしいですか。民間の保育の分野にも参入という ことができるようになりましたが、その部分の予算についてはどこに計上されているわ けですか。 事務局  保育所の多様な経営主体の参入問題につきまして今、局内で最終的な検討をしている ところでございます。11年度中に所要の、これは省令及び通知の改正ということになり ますけれども、所要の改正を行うということで最終的な詰めをしております。  今回の12年度の概算要求に際しましてはこういう民間参入、新たな経営主体参入に伴 って必要な認可保育所が新たな経営主体によってできていくということになりますが、 予算的には保育対策のところの最初に申し上げましたような待機児童を完全に解消する ための運営費の要求ということで、必要な保育所の設置、運営に伴う経費をすべて、経 営主体の如何に関わらず運営費を認可保育所の運営費を補助するということで経費的に はそこの中に含まれておるということでご理解いただければと思います。 委 員  関連ですけれども、待機の子どもというのは何人ぐらいいるのですか。 事務局  10年の4月時点の数字で申し上げますと3万9,500 人。11年の4月の数字がもうじき 確定するのでありますが、各県、市町村から数字をいただいておるところでございます が、3万2,000 ぐらいのところに11年の4月時点ではなる。そういう意味では10年4月 からは7,000 人程度の減少はしますが、まだ3万人を超えるぐらいの数字になると、こ んな状況でございます。 委 員  全体を通じてですが、ひとつ要望しておきたいのは、障害者関係も高齢者関係も共通 すると思うのですが、介護福祉関係のサービスに従事する人たちの処遇の改善確保とい うことに特段のご留意をいただきたいと思います。  今、各地方自治体の職業訓練校で介護福祉関係の養成コース、かなり増えております が、そこの修了生に必ずしも十分な就業機会が保障されているわけではない。人材養成 といってもせっかくそういうふうに予算を使って養成した人材が一方でニーズがありな がら実際には働く場所が有効には見つからないという、そういうミスマッチが今、問題 になろうとしております。そこの点についてぜひ、ご留意をいただきたいと思います。  情報機器の利用という点についても、これは障害者のところで出ておりますが、高齢 者についても同じようにニーズは非常に高いわけで、これについて今、秋葉原でパソコ ンの叩き売りをやっておりますが、ああいうものが一方で供給過剰になっていながら、 他方ではいろいろなハンディキャップを負った人たちに対するサポートの機能をせっか く果たし得る技術的な条件がありながら、それが実際には製品として供給されていな い。このことは非常に大きなミスマッチだと思いますので、その辺についてはこれは通 産行政とも絡むのだろうと思いますが、ぜひ、今後、重点的な配慮を厚生省主導でやっ ていただくのがありがたいなと思います。  施設整備に関連する予算計上がいろいろありますが、これは従来のいわゆる箱もの行 政というものからどういうふうに脱却していっているのかという点についての検証が客 観的にできるような資料をぜひ、整えていただければありがたいと思います。  小委員会で横須賀地域の実態視察、参加させていただきました。あそこで小学校の児 童数が非常に減ったところの一部を高齢者のショートステイの施設に利用している、非 常に精神的な試みがまだ非常に端緒ですが、あって、その点で文部省との協力も含めて ぜひ、そういう意味での従来ある施設の多目的な利用によっていわゆる箱もので予算が 食われないように、この点では予算の有効活用、あるいは地域コミュニティの積極的な 整備ということも併せてご努力をいただきたいと思います。  子育てについて最近は少子化というといくらでも予算がつくみたいな雰囲気がどうや らあるかに聞いていますが、それほどでもないのでしょうが、実はこれは学校の問題を 抜きにして保育園や幼稚園のことだけを議論してもしょうがないところがあって、どう も児童虐待の問題とも関連いたしますが、就学前年齢と就学児童、またにかけたような 政策がないと、これはどうしてもうまくいかないところがあるので、ここでも文部省と の協力の問題が重要なのではないかと。  労働省の名前だけが他省庁では出ておりますが、何か省庁再編でもうじき一緒になる からというので労働省だけが出ているなんていうのはやはりおかしいので、行政目的に きちんと沿った省庁間の協力がぜひともこの点で望まれると思います。  健康づくりの問題が老人対策のところで老健局のところの頁、3頁目に出ております が、この健康づくりというのは高齢者になってから慌ててやっても遅い問題であって、 生涯を通じたというのは決して女性の問題だけではなくて、男女問わず、この健康づく りという点では大変重要な問題です。  ここのところでも学校教育の中における保健体育の保健教育というものは従来、体育 教育の添え物のようにされてきた面がありますが、体育教育なんていうのは逆に言うと 地域に開放しちゃったって構わないぐらいの問題だと思いますが、保健教育そのものは やはり学校できちんと教えていくべきテーマだと思いますので、そのあたりについて少 し前広の議論を省内で積み重ねていただけるように特に希望しておきたいと思います。 以上です。  委員長  ありがとうございました。事務次官がお出でになりましたので、さきほどの続きをさ せていただきます。その前にちょっと委員長として一言、ご挨拶させていただきます。  今回の社会福祉基礎構造改革につきましては平成9年の11月の社会福祉構造改革分科 会の設置以来、概ね2年の間、審議会で4回、分科会で18回に渡りまして審議が行われ ました。審議会及び分科会の各委員の方々、大変に精力的なご審議を賜りまして誠にあ りがとうございました。ここで改めて厚く御礼を申し上げます。  現在、全世界的に文明の大きな転換期に来ております。幸せについての物差しが大き く変わりつつあり、かつてのように国なり地方自治体なり、あるいは力のあるエネル ギーのある人がそうでない生活困窮者とか、あるいは身体障害をお持ちの方々に施しを すると、こういうあり方から今、根本的に変わりまして、誰もが今、21世紀を見つめな がら期待と同時に大きな不安を抱えている時ではないかと思います。  最近、中高年の方々が自ら命を絶つケースが多く、それが平均年齢それ自体、平均寿 命それ自体も今、引き下げているという状況の中で、前回もちょっと申し上げましたよ うに、措置から契約へという今回の一大改正はバナナとかリンゴのやりとり、売り買い とは違いまして、サービスを与える方もまたサービスを受け取る方も共にお互いに相手 にご奉仕しながら幸せを得ると。かつてのお接待というのが江戸時代にございましたが あのように人さまにご奉仕しながら自分も幸せを得ると、そのような時代がやってきた のではないか。さきほど委員もそういうことをおっしゃいましたが、ではないかと思い ます。  このような大きな時代の転換期の中で社会福祉それ自体もこの50年のあり方を根本的 に変えようとしており、その場に私ども立会うことができましたことは大変に大きな喜 びであり、また幸せでもあったと思っております。  ということでございまして、今回、厚生省におかれましては今回の諮問答申に対する 福祉関係者の要望とか、審議会での審議の状況を十分踏まえられまして、法案の国会提 出、法案成立にご尽力くださいますよう、ここで私からもよろしくお願い申し上げま す。  それではこれから事務次官に答申書をお渡しすることになると思います。署名が必要 だそうで、ちょっと署名させていただきます。  それでは社会福祉事業法等の改正について答申書をお渡し申し上げます。何卒、よろ しくお願い申し上げます。(拍手)  それでは一言、事務次官からご挨拶をお願いいたします。 事務次官  本日は8月10日に厚生大臣からご諮問を申し上げました社会福祉の増進のための関係 法律の整備等に関する法律案制定要綱につきまして了承する旨のご答申をいただきまし て誠にありがとうございました。  厚生省といたしましても答申に向けて行われました審議を趣旨を十分に踏まえまして 臨時国会を含め法案の早期国会提出に向けまして全力をあげてまいりたいと考えており ます。本来でございますと、今日、厚生大臣が出まして答申を頂戴をするわけでありま すけれども、よんどころのない用事によりまして出席をできませんので、恐縮でござい ますが、私が事務次官の羽毛田でございますけれども、答申を頂戴をいたしました。大 臣には審議会のご答申の模様を、審議におけるご趣旨を十分お伝えし、さきほど来のこ とで努力をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 委員長  羽毛田次官さん、誠にありがとうございました。次に、この2年間に渡りまして私ど もと苦楽を共にしていただきました社会・援護局長の炭谷局長さんから一言ご挨拶をお 願いいたします。 社会・援護局長  本当に平成9年11月からこの審議会でご議論いただきまして本当にどうもありがとう ございました。私自身、非常にこの審議会に出るのが楽しみでございまして、非常に建 設的な議論が交わされ、それによってこのような立派な答申が出されたものと思ってお ります。  委員の先生方の中には平成9年の8月から2年以上に渡ってこれに参画していただい た先生方もいらっしゃいますけれども、本当に長い間、ありがとうございました。また 木村先生、本当にどうもありがとうございました。また、委員の先生方、本当に厚く御 礼申し上げたいと思います。 委員長  ありがとうございました。それでは次官さん、ご退席になります。どうもありがとう ございました。 事務次官  どうもありがとうございました。(拍手) 委員長  それではさきほどの続きでございますが、他に何かご質問等、ございますでしょう か。はい、お願いします。 委 員  ちょっとお聞きしたいのですが、児童虐待というのは予算ついているのですが、例え ば老人虐待というのはそれに入ってないのでしょうか。ということと、もうひとつ、母 子家庭、児童家庭局ですが、母子家庭への援助というのがあるのですが、これは父子家 庭は入らないのですか。一人親家庭というカテゴリーではないのか。ちょっとその辺、 2点お聞きしたいと思います。 委員長  ではお願いします。老人虐待。 事務局  老人虐待につきまして特段、そこに着目したような予算というものは特に計上してご ざいません。なかでお話するようなことがあると報道に接しておりますけれども、着目 して今回、そこでのための特段のということは措置をしてございません。 事務局  2点目の方のご質問でございますが、一人親家庭対策としてやっているものと母子家 庭ということで捉えているものと2通りのものが、一人親家庭対策という意味では父子 家庭も対象になるというものがちょっと併存しているという状況でございます。  ちょっと今、手元にそのちゃんと識別したものが今、ちょっと持ち合わせてございま せんで、全般的にはそういう2種類のものがあると。 委 員  そうすると父子家庭でもヘルパーさんの派遣はあるわけですね。あるのですか。 事務局  あるということでございます。失礼をいたしました。 委 員  ありがとうございました。 委 員  よろしいですか。 委員長  はい、どうぞ。 委 員  ただいまの児童虐待にだけ着目してございますけれども、私どもがいたしております 今、家庭内暴力を含めて女性に対する暴力は急速に増えておりまして、ここ4〜5年、 東京都内のすべての福祉事務所の調査をしておりますけれども、大幅に増えておりま す。  今度、母子生活支援施設は契約型になりまして、民間のボランティア団体、NPOが シェルターをかなり今、急速に伸ばしておりますが、できればそういう女性に対する暴 力も含めた、児童だけではなくて家庭に対する暴力へもこの事業が広がりますと大変あ りがたいと思います。子どもさんを連れて一緒に虐待の夫から逃げている女性たちのた めにもご支援がありますようにお願い申し上げます。 事務局  一言、委員、ご指摘のように最近はドメスティック・バイオレンスというような形で そういうかなり母子世帯の方に対してのいろいろな対応するニーズの有り様が最近、ど うもだいぶ変わってきておるというのは私どもも承知をしております。 母子生活支援 施設、従来、母子寮と言っておった施設でございますが、こういうあたりでもそういう 家庭内暴力、あるいはそういうあたりから逃避してくる人たちの受け皿になるような母 子生活支援施設の運営、こういうあたりにももう少し考えをめぐらした対応ができるよ うなということも含めて、今、母子生活、母子家庭対策というような中で全般の中での 対応ぶりを検討させていただいているところでございます。 委 員  ちょっと関連してよろしゅうございますか。児童虐待というのがあるのですけれども もう児童という年齢は超えてケースが多いと思いますが、子による親の虐待というのが あるのですよね。家庭内暴力について言うと。  これはとにかく今の中学生ぐらいになっちゃうと容易に起こり得る事態で、そういう 意味で今、出されたようないろいろなケースですね。加害、被害という言葉を仮に使う とすれば、その両方の主体がいろいろである。これを包括的に児童家庭局で扱えるので すか。行政的には。 事務局  基本的に児童福祉法という基本法の体系で動いておりますもので、確かにそういう意 味では児童という範疇に捉え難い。ただ、家庭という観点からそういう問題をどういう ふうにアプローチができるのかというあたりにつきましては、今、既存の児童家庭局行 政でこういう形での対応だと。いろいろ相談の形では児童相談所というような行政機関 がある。こういうところでそういう家庭の中の問題も含めて現実にどのぐらい対応がで きるのか、正直、私ももう少し勉強させていただきたいと思っておりますが、いずれに しても新しい問題というような感じがいたしております。児童家庭局の中でどこまでで きるのか、そういう限界も含めましてちょっと検討させていただかなければならないだ ろうと思っております。 委 員  積極的にお願いします。 委員長  それでは続きましてホームレスの自立支援方策に関する研究会についてご説明をお願 いいたします。 事務局  地域福祉課長でございます。恐縮ですけれども、座ってやらせていただきます。  資料の5ということで資料入れてございますので、お開きをいただければと思いま す。報告いたしますのはホームレスの自立支援方策に関する研究会ということでござい ますけれども、これに至ります経緯がございまして、基本のホームレス問題の当面の対 応の問題がございますので、そちらの方から少しご説明を申し上げたいと思います。  ご案内のとおりでございますけれども、最近、大都市を中心としましてホームレスが 非常に増えてきておるという状況がございます。資料の最終7頁でございますが、お開 きをいただきますと、全国の状況が入れてございまして、全体で1万6,000 を超すよう な数字が把握をされておる状況にございます。  下の表を見ていただきますと非常に急激に増えている状況が出ておりますので、調査 時点から考え併せまして相当増えておる状況になっているのではないかというふうに思 います。  そういう中でホームレスの方自身もでございますけれども、地域の住民の方々も非常 に日常生活周辺の問題等もありまして不安な状況に陥っているというような問題がござ いまして、大きな社会問題になっているという状況がございます。  また、一方、こういった方々に対しましては従前から地方自治体がそれぞれいろいろ 工夫をいたしまして対応してきたわけでございますけれども、なかなか決め手がないと いうような状況もある中で、対象者の方が非常に増えてきたということもございまして 財政的な事情も発生してきているという状況がございます。  そういった状況を踏まえまして、今年の2月でございますけれども、小渕総理の方か ら関係の行政機関が連絡を図りながら総合的な取り組みを一層進める必要があるのでは ないかというご指示がございまして、実は関係省庁からなります連絡会議を設置をした という経緯がございます。11年の2月に内閣内政審議室のご協力もいただきながら厚生 省の他、労働省でございますとか、警察庁、建設省、自治省、労働省、その他に東京都 他、関係の地方自治体も入っていただきまして対応策について検討をいたしました。  今年の5月にその結果がまとめられたわけでございます。資料といたしまして2枚め くっていただきますと3頁に当面の対応策ということで要旨を入れてございます。基本 的にはさきほど申し上げましたような状況の中で国、地方公共団体が適切な役割分担を しながら、一体となって取り組む必要があるという基本的な認識の下で対策を講じてい こうということでございます。  ホームレス問題に対応する基本的な視点としては、現状をそのまま前提としてやると いうことではなくて、自らの意思によって自立した生活へなっていただくという、そう した支援を基本としながら、老齢や健康上の理由などによって自立が難しいという方に ついては既存の制度を活用して適切な対策を講じていくという考え方で基本的にまとめ られております。  ホームレスの問題、いろいろニーズ、あるわけでございますが、検討するにあたりま して3つのタイプがあるのではないかということで、それぞれ分類をいたしまして今後 の対応を考えるという手法を取ったわけでございます。  ひとつは、勤労意欲はあるけれども、仕事がなくて失業してホームレスになってお る。こういう方々については就労対策ということで自立に結びつけられるのではないか という考え方でございます。  また、アルコール依存症でございますとか、精神的な問題でございますとか、医療、 福祉等の援護が必要な方が2つめのタイプとしてはあると。こういう方々については福 祉のそれぞれのサービスを提供するということによって自立を支援をしていこうという ことでございます。  3つめのタイプとしては社会的な束縛を嫌うというようなことで、いろいろ事情もあ るわけでございましょうが、そういう方がお出でになると。そういう方々については社 会的な自立を支援するグループの方に各種の相談事業等を通じて誘導していくような対 策を取る必要があるという3つのタイプを考えまして、それぞれ対応を考えたわけでご ざいます。  その結果、次の頁をお開きをいただきますと、施策の具体的な方向ということで、 (1)から次の頁の(5)までございます。5本柱ということでございまして、それぞ れさきほどご説明したような3つのタイプを想定しながら必要な対策を整理をしたとい うことでございます。  その内容につきましては6頁をお開きをいただきますと、それぞれのタイプ別にどう いうふうにもっていくかというようなことで整理をしたものがございます。この6頁の 表を見ていただきますと一番上に就労による自立に向かって支援をできる対象者という ことで、そういう方々を対象に自立支援事業というものを新たに立ち上げようという考 え方でございます。  この自立支援事業というものはここに書いてございますが、各種の相談でございます とか、生活指導でございますとか、健康管理というようなことを施設でやりながら、就 労に向けまして職業安定所と連携の下で職業相談でございますとか、職業訓練でござい ますとか、そういうことを連携をしてやることによって就労による自立に結びつけてい こうという考え方でございます。これにつきましては平成12年度の予算で運営費を新た に要求をいたしておるところでございます。  以上のようなことでそれぞれ当面の対応策ということで、それぞれの各省、持ち分に 応じましてそれぞれ対策を講じているということでございます。これらの対策につきま しては1頁に返っていただきますと当面の対応策については施策のフォローアップをし ていくという話が書いてございますが、これらの施策の実施状況については随時、点検 をしながら必要な見直しをするという問題。あるいはホームレスの動向・ニーズ等の詳 細な分析、効果的な自立支援方策に関する学際的な調査研究、こんなようなことをこれ らの対策をやることと併せてやっていこうということにいたしております。  そういうようなホームレスの当面の対応策を踏まえまして、実は本年の7月に社会・ 援護局長の私的研究会ということで本日、ご説明をすることになっておりますホームレ スの自立支援方策に関する研究会というものを設置をしたところでございます。  研究項目につきましては施策のフォローアップというようなお話をさきほど申し上げ ましたが、ここに書いてありますようにホームレスの動向・ニーズ等を把握するための 調査内容の検討及び実施、自立支援事業の効果的な進め方などを中心にしながら今後の 有り様について研究をしていただこうということでございまして、2頁に研究会の先生 方のリストが整理をしてございます。  実は7月の19日に第1回の研究会を開催したわけでございますが、その後、3回まで やっております。今後、月に1回ぐらいの頻度で研究をしていただいて、年度内にはそ の成果をひとつまとめていただきたいというふうに考えまして、現在、進めているとこ ろでございます。随分はしょらせていただきましたが、説明に代えさせていただきたい と思います。 委員長  ありがとうございました。ただいまのご説明に対して何かご質問、ご意見等、ござい ますでしょうか。はい。 委 員  これとの関連でありますけれども、ホームレスの3つのタイプのうち、2、3は別と して1のタイプについて言えば、就労機会というものは当然のことだと思いますけれど も、例えば雇用保険の受給期間が切れた後の人はどういう形で保障されるかというと、 本来、それは生活保護の役割のはずなわけですね。 ですから、基本的に言えばこの審議会でも繰り返し各委員がおっしゃっていましたけれ ども、今、生活保護というのが実に使えないシステムになっていて、例えばそういう雇 用保険とのリンクが実際にないというか、そういう生活保護の問題をやはりきちんと議 論するということが間接的にこのホームレス対策にも貢献する面があるのではないか と。なぜ、ホームレスにならなければいけないのかというときに、果してその人が生活 保護を受給して断られたというようなことがあるのかどうか。そういう面からもぜひ、 この委員会では研究していただきたいと思います。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。はい。 事務局  ご指摘がございましたとおり、ホームレスの問題は生活保護の問題もすぐ隣にある話 という認識はいたしておるわけでございます。ただ、現地もそうでございますけれども それぞれ居住地が特定しないとか、本籍がわからないとか、名前もちょっとよく本人は 言っていることはよくわかるわけですが、資産の問題でございますとか、生活保護をス トレートで適用するにはいろいろ問題もあるというようなことがございます。  ただ、窮迫している場合の対応等の問題については現にやっておるわけでございます ので、生保の問題みたいなことも周辺の問題が起きながら今後考えていかなければいけ ないというふうに思っておるところでございます。 委員長  ありがとうございました。他に。はい、どうぞ。 委 員  先般もちょっとお話申し上げたと思うのですけれども、今回の事業法の一部改正の趣 旨の中にもありますように、つまり対象者のウェルビーイングに機能する社会福祉とい う高邁な理念を持っているわけです。その場合、やはり物的なものと同時に心の豊かさ というものにどう機能させていくか。ソーシャルワークをですね。  ここが非常に大きい私は課題だと思っているのですが、最近、社会福祉系の大学にお きましても福祉心理とか、福祉文化とか、こういう研究が盛んになったことを大変喜ん でいるわけでありますけれども、例えば障害者とか、高齢者、児童について文化という 視点で見た場合には、どの省庁が所管するかよくわからないのですが、特に生きがいづ くり、あるいは自立性、心の豊かさと絡んで欧米に見られるような、例えば演劇とか、 ダンスとか、ムーブメントとか、あるいは文学的な活動等々、それらを促進普及する ハードとソフト。ハードは施設その他使えばいいと思うのですが、ソフトの開発、ある いはその普及というようなことで夢を持って生きていける。あるいはそれが身体的な健 康にも機能するような、そういう方向の施策というのを予防的福祉の面でも私は必要で はないかというふうに考えております。  これはどこの省庁にまたがるのがよくわかりません。教育、文部省、厚生省の共同作 業になるのか、高齢者の方で生きがい対策というのがありますけれども、それとも絡む と思います。ちょっと一言、ぜひ、今後の課題としていただきたいと思います。 委員長  ありがとうございました。今、委員がおっしゃったように心の福祉という問題はこれ から非常に大きな課題になってくるだろうと思います。  この際、何か言っておきたいことがあればそれをお願いいたします。はい、どうぞ。 委 員  今度の社会福祉の基礎構造改革の審議の途中でも少し申し上げさせていただいたので すけれども、厚生省の様々な施策、今日の予算の説明にもございましたように、非常に それぞれの分野でよくなさってこられていると思います。  しかし、さきほどから様々なご指摘がございましたように、時代が動いているという 中で福祉の考え方も動いているし、おそらくは対象と言いますか、が非常に広がってき ているというふうなことも踏まえまして、ぜひ、お願いしたいのはさきほどから諸先生 方がおっしゃっているような連携ということだろうと思うのです。  様々なアクターが、例えば今までの社会福祉事業を担ってこられた、ご苦労されてこ られた方々に加えてボランティアの方とか、NPOの方々が出てきておられる。そうい う方との連携というのを今後、行政はどういうふうに考えていかれるのかということを どこかでご検討いただきたいということがひとつでございます。  それとの関連なのですけれども、同時にやはり審議の途中で申し上げさせていただき ました取り上げるべきテーマというものも変わってきている。さきほどもご指摘ござい ましたような家庭内暴力の問題とか、様々なことが広がってきておりまして、そういう テーマについても非常に広がりと言いますか、動きがあるという、そういうことへのご 対応もぜひ、様々な制約がおありでしょうけれども、やはり関連をさせながら考えてい ただければというふうに思います。以上でございます。 委員長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 委 員  この際、何でも言っていいということなので申し上げます。実はいろいろ私も参加さ せていただいて、厚生省の担当の方々も大変苦労されたわけですね。その中で私たちも 民間として多様な参入ということを、言い方をしていますけれども、特に民間企業の参 入ということに関しては現実の壁はなかなか高いように思うのですね。  この原因は何かということ、我々も考えてみたのですが、多分、それは憲法89条の問 題が多分あると思ったのです。ご案内の憲法の89条というのは公の支配下にないもの、 教育とか、慈善福祉の分野においては公金を出せないという基本的な大原則があるわけ ですね。特に施設整備費というようなものに関して民間に対して多分、なかなかそれは 難しいと思います。これは個人に渡すということによって所得移転という形でそれは対 応できるのが今、精一杯。その辺は社会福祉法人というものも本来、その憲法問題をク リアするために出てきたような状況も私はあるのだろうと思うのですね。  そういった面でも現在の成熟化した社会における基本的な枠組みというものは、そう いった部分においても今後の検討に私は厚生省の方々も頭に入れておいていただきた い。そうしないと逆に言えば、厚生省の担当官の方々がいろいろ国民のために考えてお られるのだけれども、そこの問題でどうしても突き当たってしまう。それは結果的に大 変予算が厳しい中、予算の使い方ということの問題についても大きな課題を残すという ような状況になっているのではないかなということを、この2年間、私も参加させてい ただいて最終的にはその問題になるのかなということを大変感じましたのでちょっと申 し上げておきたいと思います。 委員長  ありがとうございます。さきほど他の委員もおっしゃいましたが、公と私が限りなく 滲み合う時代ですね。峻別できなくなってきている。大事なご指摘だと思います。はい ありがとうございました。 委 員  よろしいですか。今の問題、もう少し言いますと、例えば施設整備においては厚生省 の予算のみならず、例えば建設省の予算等も活用して高齢化社会における基盤整備とし ての住宅、あるは住居というような考え方も私はまだまだ十分考えるように思うので す。  そういったこともぜひ、国民の福祉というものを厚生省、あるいは建設省、他の官庁 とも併せて、よく省庁間の壁とよく言われるのですけれども、ぜひとも、この基礎構造 改革を突破口としてそういったコミュニケーションと言いましょうか、話し合いをして いただくことを望みたいと思います。 委員長  ありがとうございました。他。どうぞ。 委 員  ちょっと緊急の課題になっております、昨日、国民生活審議会というのがございまし て、そこで中間法人の検討会が行われて、今度、法制として出していくということにな りますね。NPO、つまり非営利活動促進法につきましては前進させていただくことが できましたが、今度は税制の優遇処置の問題をめぐりまして前に出てまいります。  国際ボランティア年というのが始まりまして、内閣もこれにということになっており ますが、外務省と経済企画庁はその委員会にも倍席してくださるのですけれども、ボラ ンティアの大半は75%が福祉の領域で、特に今度の介護保険が始まりますと横だしサー ビスの問題は非常に重要な側面を持ちます。そういう意味では企業の枠組みとしての問 題の他に、ボランティアからさらにNPOへとして、いわゆる市民参画型社会を構成し ていくためには、やはり福祉領域を生活全般に広げたような形でかなりNPOは今、各 都道府県で認証して、少し流れが緩やかになるかなと思いましたが緩やかになりません で、特に最近は福祉関連のNPOが申請に前へ出てきております。  そうしたことを踏まえますとやはり国際ボランティア年のところにもやはり厚生省も 絡んでいただくことができないのでしょうか。今までずっと福祉はどらかと言えば厚生 省で大きく先導してくださっておりますので、外務省やら経済企画庁だけではなくて厚 生省もこれに参画していただきながら、このNPO、つまりボランタリーアクションの 領域にも、いわゆる3つのセクターですね。いわゆるボランタリーセクター、企業セク ター、パブリックセクター、この3つのセクターが健全に育ちますことへの参画をぜひ 私、お願いしたいと思います。全社協は入ってきてくださっております。この推進協議 会に。これはこれから先の市民社会を構成する上でやはり特段のご配慮を賜りたいと存 じます。 委員長  ありがとうございました。 事務局  さきほどの委員からのお話、私ども重要なことだと考えておりまして、さきほどの構 造改革の方のお話がご答申いただきましたけれども、その中で地域福祉計画という概念 の中で多くの方々が参加できるような地域社会にできないだろうかと。それと福祉の仕 事等をうまくつなげられないだろうかということを盛り込ませていただいております。  さきほどちょっと説明を省略させていただいて申し訳ございませんでしたけれども、 来年度の予算要求におきまして都道府県のボランティアセンターで組織化を、ボランテ ィアグループの組織化を応援しようと。具体的に言いまして組織化というのはいろいろ な形態があると思いますけれども、その主要なことのひとつにNPOの資格を取れるよ うな形のお手伝いができないだろうかということも盛り込ませていただいております。  それから今の経済企画庁等でのご議論の中には私どもも関係課、あるいは全社協を含 めて参加させていただきまして、円滑な形でまさに進められるようにという努力はして いるつもりでございますけれども、多少努力が足りないとしたら、またこれから一層、 頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。 委員長  ありがとうございました。だいたいこれでよろしいということでございましたら、本 日、これで閉会とさせていただきたいと存じます。  なお、お手元に前回の議事録が、今、配っておりますが、議事録が今、配付中でござ いまして、これをご覧いただいた上で、もし修正がございましたら今週中に、事務局に 申し出てください。その上で公表の扱いとするということになっておりますので、よろ しくお願い申し上げます。また、本日の議事録につきましては事務局から各委員にご確 認の上、各委員に確認させていただいた上で公表の扱いということにいたしたいと存じ ます。  本日、誠に有益なご意見を、また頂戴いたしました。お蔭様で答申、無事に済ませる ことができました。皆様方のご協力に心から厚く御礼を申し上げまして、この委員会を 閉じさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。 −了− 照会先 厚生省社会・援護局企画課 03-3595-2612