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【編集局デスク】

「われら」の憲法

 昔、皇居そばの国立公文書館を訪ねたことがあります。取材で現行憲法の原典を閲覧するためです。白手袋の係員が絹布の包みを解くと、和綴(と)じの「日本国憲法御署名原本」が現れました。敗戦翌年の文書とあって紙質は良くなく、つつましげにも見えました。

 だからでしょう。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」という憲法前文に、「われら」国民の、貧しくとも思いは高くの姿を感じたものです。

 この憲法施行から六十六年後の今、自民党は「日本国憲法改正草案」を用意し改憲への動きを強めています。まず改憲をしやすくするため、改憲手続きを定めた九六条のハードルを低くしたいと訴えています。

 権力が濫用されることのないように、権力を縛る。それが憲法のそもそもの役割です。だから憲法のあり方は、国民一人一人が主役となって考えないといけないのでしょう。

 昨日は憲法記念日でしたが、参院選は九六条が争点になりそうな気配です。今後も憲法をめぐる動きを報じていきます。「われら」の憲法、の思いをもって。

 (名古屋本社編集局次長・臼田信行)

 

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