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(9時間58分前に更新) |
「諜報(ちょうほう)や秘密工作などを連絡する際はCAS(CIAの暗号名)を名乗ってほしい」「現地では見せかけの名称を使用して」。CIA(米中央情報局)が復帰前の沖縄で活動するにあたり、呼称を使い分けて真の身分を隠すなど秘密主義の徹底を指示する文書を作成していたことが5日までに分かった。米国民政府(USCAR)文書群の中から沖縄タイムスが見つけた。沖縄でのCIAの活動実態の詳細は謎が多く、米公文書に詳しい琉球大学の我部政明教授は「インテリジェンス(諜報)にかかわる公文書は少なく貴重だ」と話している。(吉田伸)
文書は県公文書館が米国国立公文書館から収集した文書群の中にあった。文書名は「CSGリポート1966」で、主題は「CASカバーセキュリティー」。1966年3月11日付で作成された「秘」指定のA4判2枚で、「沖縄のすべてのCAS部隊と軍の部隊を明確に区別」することが目的だった。発信人の名前はないが、宛先は高等弁務官やUSCAR首脳の民政官、米4軍の諜報関係担当司令官らになっている。
「CAS」は、コントロールド・アメリカン・サービスの略称で、CIAのコードネーム(暗号名)として使われていた。
文書では「CAS要員の真の名前と立場はいかなることがあっても秘密事項」と指摘。暗号名の「CAS」が一般に広まらないように、さらに別の名称を名乗って活動するよう求めている。
現地での活動では「CASという名称でなく、見せかけの名称を使用してほしい」とする一方、米本国との連絡を容易にするために「諜報や秘密工作、心理作戦、補給工作を行う際は、『CAS』を名乗ってほしい」と使い分けの方法を指示している。
さらに文書作成の方法も指南。文書が将来、機密解除されることを想定し、CIAと分かるような付属文書を外して解除されるよう注釈の明示を求めるなど、慎重を期している様子がうかがえる。
我部氏は「CASは米国でCIAの別の名前で知られており、沖縄で活動拠点を持っていたことを示す文書だ。タイトルの『CSGリポート』から、キャンプ知念を拠点にしていたといえる」と話した。
CIAは復帰前、旧玉城村の混成サービス群(CSG、キャンプ知念)や、読谷村の瀬名波通信施設(FBIS、海外放送情報サービス)で活動していた。