オーストラリア:国防白書「対中関係も重視」
毎日新聞 2013年05月05日 18時55分(最終更新 05月05日 20時56分)
【ジャカルタ佐藤賢二郎】オーストラリアのギラード政権は3日、新しい国防白書を発表した。米中両大国との関係が依然として国防戦略決定上の最大の要素と指摘。その上で「どちらか一方との関係を選択すべきではない」と強調し、同盟関係にある米国と経済関係を強める中国双方との関係を重視する姿勢を打ち出した。
ラッド前政権時代の2009年発表の前回白書では、中国の軍事的台頭に対する脅威を強調。大幅な軍備増強を盛り込み、中国政府が不快感を示していた。一方、今回の白書では「中国を敵対国とはみなさない」と明記。最大の貿易相手国で豪州経済に大きな影響力を持つ中国に対する配慮を示した。
ギラード首相は発表後の会見で「中国の影響拡大を歓迎する」と繰り返し発言。同時に「(中国の台頭は)地域の戦略秩序を変える」とも述べ、中国軍の近代化を注視していく姿勢を示した。
白書はさらに、インドの経済成長や軍備増強の影響で、豪州にとって戦略的に重要な地域がこれまでの「アジア太平洋」から南アジアを含む「インド太平洋」に拡大されると指摘。インド洋では中国海軍も活動を活発化させており、米中両大国による勢力争いが表面化している。