警告
この作品は<R-18>です。
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3
「遅かったね」
にやりと笑う昭代の顔で、童司はすべてを悟られていることを知った。
麗華の姿はない。
昭代は会場の奥で、ひとりでグラスを傾けていた。
「ひとりで飲むのは、どうにも寂しくてだめだ――いっしょに飲んでくれるか?」
「もちろん」
給仕に、新しいグラスをふたつ頼む。
すぐに赤ワインがやってきた。
童司は渋みのあるそれを、味わうひまもなく飲み込む。
昭代はゆっくりと味を楽しんでから、その細い喉を鳴らした。
主役を引き立たせる黒いドレスが、よく似合っている。
すらりと背が高い分、ヒールは高くない。
日焼けした肩や腕が、シックな衣装と不思議に調和していた。
清廉な印象はない。
どちらかといえば、薄暗く、どことなく妖しい雰囲気である。
そうした雰囲気が、昭代にはよく似合うのだ。
「どうだった、あの美人の具合は?」
下卑た笑みもなく、昭代は言った。
童司はごまかすようにワインを飲みながら、
「あの子じゃないよ」
「ああ、そうだったのか。じゃあいったい、だれだ?」
「あの子をトイレまで案内したときに、出会ったひとだ――名前は、わからない。でもたぶん、お客さんのひとりだと思う。紫色のドレスを着た――」
「紫――ああ、私も見かけたよ。あれもなかなか美人だったし、なんとなくエロティックな雰囲気だったね。そうか、あの女か――で、大丈夫だったか?」
「なんとかね。昭代さんたちに鍛えられたおかげだ」
「ふふん、そうだろう――女の身体というのは千差万別で、これといった攻略法がない分、経験を積むことは大事だ」
童司の顔が赤い。
ワインのせいだと、童司は思っている。
昭代はくすくすと笑っていた。
「本当に、きみはかわいいな。それでいて、意外と強気なところもたまらないね」
「うう……なんか昭代さんが言うと、おれが女になったみたいだ」
「もし女でも、きみは素敵だっただろうな」
ごくりと、昭代もワインを飲み干した。
空のグラスを軽く振る。
赤い水滴が、ゆっくりとグラスの内側を滑った。
「そっちは、どうだったの」
童司のグラスには、まだワインが残っていた。
昭代はそれを眺めながら、
「明日の会談に向けて、いくつかのことで合意できたよ。敵対するより、友好でいこうと思う――きみは、どうするのがいいと思う?」
「おれも敵対はよくないと思うな。敵は、やっぱりすくないほうがいい」
「しかし、戦えば勝てるかもしれない。勝てば総取りだ」
「負ければ一文なし、でしょ?」
「臆病は、いざというとき裏目に出る」
「うーん、そういうものかな――」
「きみの判断が悪いと言っているわけじゃない。私も、友好のほうがいいと考えているし――それより、そのワイン、飲まないのか?」
「ああ、飲む?」
グラスを渡すと、昭代はうれしそうな顔で残っていたワインをごくりとやった。
その笑顔が、なんとなく子どものように無邪気で、童司は苦笑いする。
「昭代さんは、どうして友好のほうがいいと思うの?」
「まず第一に、敵対しても利益がない。とくにいまは重要な時期だ――世界中が、私たちの様子を見ている。敵に回すか、味方につくか、判断しかねているところだ。もし彼らが敵に回った場合、敵同士結託し、一斉に私たちを潰しにかかるだろう。そのときは一切の容赦もない――そんなことをしていては、自分の身が危険になる。敵が結託すると、余計に私たちの味方をしてくれる勢力は減るだろう。沈む船には乗りたくないからね。だからまず大切なのは、勢力の中心となる敵を作らないことだ。隣国との友好関係の発表は、こちらには平和的に外交をする意志がある、と世界中に表明することでもある。それには、となりの大国と手を結ぶのが最適だ」
アルコールで、すこし熱くなった頭で童司は考え、うなずく。
「じゃあ、おれたちは運がよかったってことだな」
「本当に運がいいだけなら、なにも言うことはないが――」
「そうじゃない、ってこと?」
「向こうは、なにも私たちを救うつもりで来日したわけじゃない。向こうには向こうなりの思惑がある。こういうときは、自分の利益よりも相手の利益を考えるべきだ。こちらにとって都合がいいことが、なぜ相手の利益になるのか――それを見極めた上で、できるだけ条件をこちらの有利に引っ張っていく」
「はあ、なるほど――じゃあ、今回でいうと、向こうの利益としてはどうなるんだろう」
「まず第一に、きみの種子が、つまり精子が手に入る、ということだ」
むう、と童司はうなる。
「それから、向こうはこれからの世界情勢は、私たちを中心に展開していくと読んでいる。つまり、自分たちはいち早くそこに取り行って、いい地位を確保しようというわけだ。もちろん、リスクはあるが、大した問題じゃない。隣国がこちらの陣営につけば、勢力は一気に傾く――ほかの国が敵対を覚悟したときには、もうこちらの勢力が大きく敵を上回っている、ということになる。ほかの国がそう考えれば、その前に味方へ入っておこう、と判断するわけだ」
「結果的に、敵はいなくなる、か。複雑だなあ」
「そうでもないよ。人間のようなものだ。慣れれば、なんとなく相手の気持ちが感じ取れるようになる」
「じゃあ、向こうの国とは仲良くできるってことでいいんだな」
「もちろん、向こうは条件を出してきたよ」
「条件?」
「経済的連携の前提として、きみの種子を向こう側に受け渡す、という条件だ」
「それは、つまり……」
「向こうの女を、きみに抱かせて種付けをする、ということだ」
やっぱり、と童司はため息をついた。
「そういうことになるんだなあ……」
「安心していいよ。こちらからもひとつ条件を出しておいたから」
「こっちからも条件?」
「種付けに関して、最終的な決定は園道童司に任せる――きみが望まないなら、きみの精子は一匹たりとも渡さない」
「でも、それじゃあ友好的な関係を築けないんだろ?」
「きみの心を犠牲にしてまで築くべき友好関係なんてないよ」
昭代は、そっと笑った。
「きみが望むならどんな国とでも戦争をやろう――私は暴君だからな。国や、国民のことなんて知ったことじゃない」
「じゃあ、友好関係の方向で頼むよ」
童司は言った。
「おれは、それが望みだから」
昭代はうんとうなずく。
「きみがそう言うなら、そうしよう」
「ほんとは、はじめから友好関係以外は考えてなかったんでしょ?」
昭代は、空になったグラスを童司に返し、ふふんと笑う。
「私は狡猾な女だよ。それに、冷酷だ。敵に回すとやっかいだ」
「じゃあ、味方でいてもらうとしよう――それで、おれはどうすればいいの?」
「ホテルを用意してある。広々としたスイートだ。そこで酒池肉林を楽しむといい」
「酒池肉林か――できるだけおれの酒池肉林にできるようにがんばるよ」
「そう、何事も主導権が大事だ。流れと雰囲気を自分のものにすれば、自ずといい方向へ向かっていく」
ぽんと、昭代は童司の背中を叩いた。
「さあ、そろそろパーティもお開きだ。なかなか楽しいパーティだったな」
「昭代さんの場合、酒があればどこでもいい気がするけど」
「アルコールは偉大だよ。人類と自然が調和した証拠だ――なんなら、その酒池肉林、私も混ざろうかな」
「おれとしてもそうしてくれたほうがうれしいけど」
「よし、じゃあそうしよう。いざというときの警備のため、とでもいえば充分だろう。ふふん、楽しみだな」
昭代は上機嫌だった。
アルコールのせいばかりではないだろうな、と童司も気づいている。
ひとまず、目先の心配事が片づいて、気が楽になっているのだ。
昭代にも心労のない休みを与えてやりたいが、そればかりは童司にはどうしようもない。
なにより本人が、それを望まないだろう。
それならせめて、と童司は考える。
リラックスできる場では、精いっぱいリラックスさせて、満足させてやらなければ。
*
わずかに香の匂いがする部屋だ。
窓からは、東京の夜景が一望できる。
迎賓館からほど近い、外国の要人がよく宿泊するホテルの三十二階、最上級のスイートである。
リビングや衣装室を含む、全四部屋ある。
すべての部屋の窓から東京の町が一望できるようになっている。
空に、星はほとんどない。
薄ぼんやりと灰色に発光しているような空である。
月が孤独に浮かび、震えている。
代わりに星は地上でまたたいていた。
数えきれない光の粒子が、波のように揺れていた。
カーテンは開けられている。
しかし夜景に目を向けている人間はだれもいなかった。
広い寝室だが、十五、六人も集まると、手狭に感じられる。
キングサイズのベッドの中央に、童司がごろんと仰向けで寝そべっていた。
裸である。
そこに、女たちが群がっている。
美しく鮮やかな色のドレスが、するすると脱ぎ捨てられ、床に捨てられていた。
下着だけになった女たちは、裸で横たわる童司にふわりと覆いかぶさり、異国の言葉でなにかを囁いた。
ある女が童司にそっと口づけをする。
別の女が童司の胸板を撫で、ちいさな乳首に吸いつく。
童司の身体を、白く艶かしい指先が這いまわった。
激しくはない口づけである。
唇を重ねたまま、美しい女がふわりと笑う。
東洋的な美しさと妖しさを兼ね備えた女たちだ。
じゃれつくように、女が童司の唇を吸う。
甘く噛んで、むにと引っ張る。
そこに別の女が顔を寄せてくる。
赤く尖った舌が、童司の唇をちろちろと舐めた。
白い歯の表面を、つつき、舐めて、開いた隙間から口内に侵入する。
顔にふたりがかりなら、身体には五、六人が群がっていた。
両の乳首を、別々の女が舌で舐めとるように刺激している。
長い黒髪を背中に流し、ほほえみながら、女の舌が何本か、腹を這っている。
だれかの熱い手が童司の太ももを撫でていた。
剥き出しのペニスを、きゅっと握り、上下にしごく手がある。
別の女が、垂れ下がった睾丸を、舌先で突き回していた。
童司は大の字で寝そべったまま、しばらく女たちの愛撫を受ける一方だったが、不意に手を伸ばし、左右にいた女の尻肉をぐいと掴んだ。
「あんっ――」
すこし硬いような、引き締まった尻肉である。
選び抜かれた女たちだけあって、容姿も体型も申し分なかった。
全員が見とれるほどに美しく、つい抱き寄せたくなるような体型だった。
胸がちいさく、スレンダーな身体つきもいれば、肉感的で、ヴィーナス像のような体型の女もいる。
それらがすべて、たったひとりの男の身体に群がっている。
女のやわらかな乳房が下腹部に押し付けられていた。
尖った乳首が、へそのあたりをくすぐっている。
童司は手のなかでこね回した尻肉を、ぱちんと叩いた。
ふたりの女が甘く叫ぶ。
掴んだ尻肉の谷間にぐいと指を差し入れた。
菊門を、指でゆっくりとなぞる。
女の腰がぴくんと跳ねた。
別の女が、童司のペニスを頬張っている。
びんと勃起した陰茎を、できるだけ根本まで咥えて、眉をひそめ、ずっ、ずっ、と頭を上下させている。
女は四つん這いで、裸の尻を高く掲げていた。
そこに、後ろから覆いかぶさる女がいる。
褐色の肌の昭代だ。
ペニスを咥えた女の尻を撫で、背筋を舌でなぞった。
「んんっ――」
ぞくぞくと、女の身体が震えた。
昭代はそのまま女のうなじに口づけをして、下を向いたちいさな乳房を両手で鷲掴みにした。
ベッドには場所がなく、ドレスは脱いだものの童司に近づけなかった女を二、三人呼んで、昭代は自分のそばにはべらせる。
左右の女の唇を交互に味わい、自分の唾液をとろりと流し込む。
余った女には、自分の丸く張り出した大きな乳房を舐めさせた。
女の繊細な舌が、昭代の乳房をちろちろと舐め、ちいさな乳首をつつく。
童司は、左右の女の膣に、指をぬるりと突き刺していた。
「あっ、んぅ――ああ、そこ――」
指の腹で、膣のなかをずるずるとこすり、出入りさせる。
指は、根本までしっかりと愛液でコーティングされていた。
胸板に、女の乳房がふわりと押し付けられ、潰れていた。
自分の乳房を下から持ち上げるようにして、童司の口元に近づける女もいる。
童司は薄茶色の尖った乳首を強く吸った。
身体中が、女の体温と匂いに包み込まれていた。
女の舌が童司のペニスを這う。
一本ではない。
左右から二本、陰茎を挟んで口づけをするように、唇を押し付けたり舌でつついたりしている。
裏筋にも舌が這っている。
睾丸を口に含んでいる女もある。
童司の太ももを舐めていた舌が、つつと股間に近づいていって、そこに深く顔をうずめた。
睾丸の、さらに奥、菊門に近いあたりをちろちろ舐める。
童司は女の乳房に溺れながら、腰をびくりと跳ねさせた。
「んっ、んぅ――はあ、本物のおちんちん、すごい――」
陰茎の表面を水滴となって滑り落ちるだれかの唾液を、別のだれかが音を立てて吸った。
「あっ、ああっ――」
童司の指が、女の膣を激しくかき回していた。
くちゅくちゅと水音が響くのも、ひとりではなかった。
童司は左右に女をいっしょに責め立てていたし、足元では昭代が、お気に入りの女を床に寝かせ、その股間に顔をうずめて、愛液をじゅるじゅると吸い立てている。
何人分かも定かではない女の吐息と嬌声が、部屋に満ちていた。
女の白い身体が、童司の身体にからみついて、アルビノの蛇のようにぬらぬらとうごめく。
だれかの舌先が、張り出したカリ首をちろちろとやっていた。
童司はそろそろがまんの限界に達して、身体を起こす。
「園道さま、ぜひわたしに――」
「わたしにもお願いいたします――」
女たちは期待のこもった目を童司に向けた。
濡れた瞳に、様々な欲望が浮かんでいる。
単純な情欲もあり、打算的な出世欲もあった。
起き上がった童司の身体にぴたりと乳房を寄せ、甘く囁くものもあれば、無言で童司の手を握るものもある。
童司はそれを選んだ。
ベッドに、四つん這いにさせる。
女は丸い尻を突き出し、童司を振り返った。
童司はその身体に覆いかぶさり、尻のあいだにペニスを差し込む。
「ああっ――」
女が、白い喉を晒してぐっと仰け反った。
童司はすぐさま腰を降りはじめる。
「あっ、あっ、んっ、んぅ――」
ぱん、
ぱん、
と、肉のぶつかる音が響く。
童司は左右の女を抱き寄せた。
女たちは、童司の乳首を左右から舐める。
もうひとり、女を寄せて、唇を味わう。
腰だけをかくかくと振って、あえぐ女の、濡れてよく締まる膣にペニスを叩き込んだ。
尻肉が、たぷんたぷんとよく揺れる。
床では昭代が、口元を愛液でべとべとに汚しながら女を責め立てていた。
「んっ、んんっ、ああっ、あんっ!」
クリトリスを舐め上げる舌が、素早く動く。
人差し指と中指が女の膣のなかをぐちゅぐちゅとかき回していた。
女は、自分の身体を抱きしめるように両腕を回し、腰をびくんと跳ねさせた。
ぴく、ぴく、と女の腰と、膣の入り口が痙攣する。
昭代は笑みを浮かべて身体を起こし、女の唇をやさしく噛んだ。
女が夢心地で舌を差し出すと、吸い取った愛液と唾液をいっしょに流し込む。
白い喉を震わせ、女がそれを飲み干すと、昭代は立ち上がった。
美しい女たちのなかでもひときわ魅力的な、鍛え抜かれた裸体である。
ベッドが、ぎしぎしと軋む。
童司に後ろから貫かれた女が大声で喘いでいる。
童司の身体には、ほかにも三人の女がからみついて、ふたりは胸板を長い舌で舐め上げ、もうひとりは後ろに回って、童司の背中を舐めていた。
その輪に入れなかった女たちが、うっとりと昭代に見とれて、寄ってくる。
昭代はそれらを拒まず、寄ってくる女の乳房をぐにと握り、抱き寄せながらベッドに上がった。
「童司くん、手伝おうか」
振り返った童司の唇を、昭代はちゅっと音を立てて吸った。
互いに、ほかの女の味がする唇だった。
童司が、後ろから貫いている女の両腕を掴み、ぐいと身体を反らせる。
ペニスがより深く膣のなかに沈み込んで、女は低く、獣が喉を鳴らすようにうめいた。
昭代が、その前に回り込んだ。
ぐっと引き伸ばされ、平らに近づいた女の乳房に手を添え、手のなかでやわらかに潰れる感触を楽しみながら、薄ピンクの乳首に舌を這わせた。
「あんっ、んんっ――」
下から突き上げられ、女の身体が上下に揺れた。
それに合わせて波打つ乳房を、昭代がぐっと押さえ、つんと硬くなった乳首を舌先で弾く。
童司は、子どものように丸く膨らんだ女の尻を両手で揉んだ。
昭代が顔を上げる。
片手で乳房をゆっくり触りながら、唇を吸う。
女の喘ぎ声を塞ぎながら、童司が一層激しく腰を振る。
女はぎゅっとまぶたを閉じ、声も出せぬまま、絶頂に達した。
童司が腰を引くと、愛液に濡れたペニスがびんと反り返って、女の膣から飛び出した。
女たちが、うっとりとそれを見る。
果てた女はベッドに倒れ込んだ。
その身体の上に、別の女がまたがる。
童司に尻を向け、白く引き締まった尻肉を、両手でぐっと開いて見せた。
わずかに黒ずんだ小陰唇の内側は、充血したように赤く、しとどに濡れている。
童司はそのまま、その深い裂け目にペニスを当てた。
短髪の女だった。
ペニスがぐっと入り込んだ瞬間、女はうれしそうに笑い、喘いだ。
童司は女の腰を強く掴み、一切の自由を奪って、独善的に腰を振る。
女の歓喜が、わずかに焦ったような、本物の快感にすり替わった。
女は自分の国の言葉でなにかを素早く口走る。
童司は容赦なく女を突いた。
昭代がにたりと笑い、女の乳房を強く鷲掴みにする。
それほど大きくはない白い乳房が、ぐにと潰れて、指のあいだからわずかに肉がはみ出した。
ぬちゃぬちゃと、ペニスでもって愛液が混ぜ合わされる。
女のひとりが、後ろから童司の股のあいだに入り込んだ。
前後に揺れ動く睾丸を、きゅっと咥える。
舌と唇でやさしく転がし、引き締まった童司の尻を撫でた。
童司はさらに腰使いを速める。
飛び散った愛液が、股ぐらに顔をうずめた女に降りかかった。
貫かれた女が悲鳴のような声を上げる。
童司は力いっぱいに女を貫き、せり上がってくる射精感をそのままにさせ、女のなかにどっと精を放った。
女はくびれた腰をびくんと跳ね上げ、昭代の身体にもたれかかって、深い息をついた。
ベッドの横で、女のひとりが床に屈みこんだ。
長い黒髪の女だ。
ゆらりと、立ち上がる。
白い裸体が、射精したばかりでぐったりとした童司に近づいていく。
天井の照明にぎらりと刃物が光った。
昭代は獣のようにベッドから飛び上がり、女に踊りかかった。
女は、あっと声を上げ、床に倒れる。
鋭く磨かれたナイフが床に転がった。
裸の女は、じたばたと暴れる。
乳房が激しく波打って揺れる。
昭代が四肢を押さえ込み、ようやくおとなしくなった。
「なんだ――どうした?」
童司がのそりと立った。
ほかの女たちはなにが起こったのかわからず、汗ばんだ身体をじっと直立させ、青白い顔をしていた。
「どうも、敵が紛れ込んでいたらしい」
しなやかな筋肉を躍動させ、昭代が呟いた。
女の長い髪を掻き上げる。
美しい女である。
顔を背け、頬をひきつらせている。
昭代はほかの女たちを振り返った。
「知り合いか? きみたちの仲間か」
女たちは一斉に首を振った。
いっしょに飛行機でやってきた女ではなかった。
ふうん、と昭代はうなずき、童司に、シーツを外すように指示する。
それで手首を縛り上げ、床に転がす。
椅子の下にすべり込んだナイフを取り上げ、昭代はそれをじっと見下ろしたあと、童司に言った。
「私たちの敵は、どうやら本気できみを殺すつもりだったようだな」
「おれを?」
「狙いは、きみだ。私じゃなかった。さあ、だれの差し金か吐いてもらおうか」
「言うつもりはありません」
女は震えた声で言った。
顔は青白く血の気を失い、汗ばんだ身体は、指先から氷のように冷えはじめていた。
ふうん、と昭代はうなずいて、ほかの女たちに、寝室から出ていくように言った。
「大丈夫、きみたちに落ち度はまったくない。となりの部屋で待っていてくれ。もし報告義務があるなら、上々だったと言えばいい。それ以外のことは、きみたちには関係のないことだ。報告する必要はない」
裸の女たちは、恐る恐るという顔で部屋から出ていった。
童司はベッドに腰掛けている。
女は裸で、後ろ手に縛られ、床に転がされていた。
「さて」
昭代はナイフをぽんと捨て、女を見下ろした。
女の青白い顔を、恐怖がさっと走り抜けた。
昭代は安堵させるように女の頭を撫で、髪を背中へ流してやる。
「安心してくれ、きみを傷つけるつもりはない。血は、あまり好きじゃなくてね。まあ、女の悲鳴は好物だが――」
「昭代さん。安心させるのか、怖がらせるのかどっちかにしないと」
「ふむ、別に怖がらせたつもりはなかったんだが――ともかく、言うつもりはないんだな?」
女は硬く唇を結んでいた。
意地を張るように、ぎゅっと寄せられた細い眉まで、美しい。
昭代は改めて女の身体を見下ろした。
乳房は薄く膨らんでいる。
染みひとつない白い肌がなだらかに盛り上がり、その先端に、薄茶色のちいさな乳首がつんと立っていた。
乳輪は乳首と同じ程度しかなく。幼いような印象があった。
胸の下から腰にかけて、女らしい曲線を描いている。
ほっそりした太ももの奥に、薄い陰毛の茂みが見えた。
二十歳前後の女である。
表情は厳しかったが、性格までそうはいかない様子が、わずかに震えた唇やまつげから表れていた。
「きみは、自分の立場がわかっているかな」
昭代は女を見下ろしながら、ほほえんだ。
恐ろしく冷徹な笑みだった。
「きみは捕らわれた暗殺者だ。発見されたスパイだ。そういう役回りの人間がどうなるか、映画かなにかで見たことは?」
女の、澄んだ瞳がさっと揺れた。
いまや気弱な性格があらわになっている。
「なぜきみのような女が暗殺者の役目を引き受けたのか知らないが、捕まってしまったからにはそれなりの罰を受けなければならない。さっきも言ったように、私は血があまり好きではない。ただ――美しい女は大好物だ」
昭代は、女の閉じた足を掴んで、力任せに開かせた。
女がちいさな悲鳴を上げる。
ベッドに腰掛けた童司の目にも、女の開いた股ぐらに、黒い茂みと、わずかに茶色くなったヴァギナが見えた。
昭代は無造作に女のヴァギナを撫でた。
女がぐっと声を殺す。
指先が、ヴァギナの裂け目をもぞもぞと弄った。
女は身をよじった。
薄い乳房が、胸の上でぷるぷると揺れた。
昭代が指を引く。
その指先が、じっとりと濡れている。
女は羞恥と恐怖が入り混じった目で、昭代の指先を見た。
「雰囲気に当てられたのか、それとも知らないうちに私か童司くんに愛撫されて感じてしまったのか――まあ、なんにしても同じことだ。どうせ逃げられないんだから、きみも楽しむか、それとも早急に黒幕を吐いてしまうかしたほうがいいよ」
にやりと笑って、昭代は女の膣に、ずぶりと指を突き刺した。
女の背中がぐっと反り返る――快楽の拷問がはじまったのだ。
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