特集ワイド:製薬会社からの資金提供公開 医師ら異論で内容後退

毎日新聞 2013年04月03日 東京夕刊

 服用者に飛び降りなどが相次いだインフルエンザ治療薬「タミフル」や副作用で多数の死者が出た抗がん剤「イレッサ」では、薬のデータを分析・評価した医師らが企業資金を受けていた。

 海外では多数の医学研究を調べ「企業資金での研究は企業の好む結果が出やすい」などと分析した論文が多い。米国では10年に「サンシャイン条項」という法律が成立。医師や教育的病院への10ドル以上の資金や物品、サービスの提供を、一部例外を除き米政府に報告するよう製薬会社に義務付けた。その内容は来年9月末からネットで公開される。製薬協には外資系企業が多く本社が米政府に従い透明性を増せば日本の子会社も追従せざるを得ない。今回のガイドライン策定は国際的な流れで避けられない作業だった。

 しかし、企業と医師の思惑が入り組み、結果的に公開情報は減ってしまった。

 4者協議会の委員を務める宮坂信之・東京医科歯科大前病院長(膠原(こうげん)病・リウマチ内科)は「説明責任は果たしたいが、講師料などだけが公開され、大学教授選などで特定の候補者が(資金受領の報道などで)マイナスの影響を受けるのは困る」と話す。

 日本医師会の三上裕司常任理事も「我々は情報公開に消極的ではない」と言う。「ただ共同研究費は総額だけで、製薬会社にはあまり触れず学術的な話をする講師の謝礼は1円から公開というのはバランスが悪い。接遇費などの個別公開も必要なのか。(製薬会社と医師の)癒着だから公表するというのなら、他の民間同士の癒着も全て公表しなければならなくなる」

 「透明性向上に努力すべき医療界が公開に消極的な意見を出すのはおかしい」と憤るのは市民団体「薬害オンブズパースン会議」事務局長の水口真寿美さんだ。「元のガイドラインでさえ公開範囲が狭いのに、さらに後退した。経済的関係が研究や診療のゆがみを生むとの観点で、研究費や接遇など各項目とも個別金額を出すべきだ」と批判する。

  ■

 日本の医学研究は企業資金が頼りだ。文部科学省検討班の飯田香緒里・東京医科歯科大准教授らの調査では、全国の医学部を持つ大学などの研究費(10年度)は回答した46機関の合計で約983億円。その約4割、396億円が企業の提供だった。一方、米国立科学財団の調査では09年の全米の大学の研究開発費のうち66%が政府や州負担で、企業提供は約6%。日本の企業提供の割合の高さが際立つ。

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