原発:警報の中、線量計外し汚泥除去 「工期優先、被ばく隠し」元作業員、実名証言 離職・闘病、実態伝える
毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊
今は月6万3000円の生活保護費をもらい、弘前市内のアパートで暮らす。狭心症の発作や重度の糖尿病で寝込む日も多い。こうした疾患と被ばくの関連性を指摘する専門家もいるが、相談した医師からは「因果関係は分からない」と言われた。
そんな日々を送りながらも、ふるさとの仲間と今年3月、原発事故による避難生活が続く福島県双葉町民の苦悩や県内の除染の状況などをフェイスブックに書き込むグループ「双葉町ネット」を結成した。4月22日には東京都内で活動報告会も開いた。
「苦労をかけた家族も福島で避難生活を送っている。罪滅ぼしも兼ね、ふるさとの苦境を全国に発信し少しでもよくしていきたい」
◇東電広報部「確認できない」
石澤さんが証言する労働実態について、東京電力広報部は「調べたが、現時点ではそのようなことがあったという事実は確認できていない」としている。
==============
■ことば
◇被ばく線量限度
原発作業員や病院の放射線技師らについて、労働安全衛生法の規則は「1年間で50ミリシーベルトかつ5年間で100ミリシーベルト」と定める。一般人については法令の定めはないが、国は「年間1ミリシーベルト」を基準としている。99年のJCO臨界事故で死亡した作業員2人の被ばく線量は16〜20シーベルトと6〜10シーベルト(1シーベルト=1000ミリシーベルト)とされる。