あずまんが大王 第04話のプール表現。と、その先 
2013/05/04 Sat. 14:05 [edit]
(2002) あずまんが大王 第04話「楽しい職業/プールプールプール/りぼん/ふたりっきり/いいひと (プール!)」
プール作画というと有名なのはやっぱりこれです。
といってもさすがにもう10年以上経つので
若い世代には未見の方も多いかも
gifアニメだと落ちているコマも多いので
本当はビデオで見て欲しいのですが

突然プール内に現れた木村、ゆかりとにゃもがドン引きし固まるフィックス
三点パースで作られた奥行きのある空間の静寂を
絶妙なタイミングで溺れるちよが破る
・頭部が水をヘルメットのように被ったまま水面から持ち上がる
・沈んでいくときなど、水面の下で生じる泡

・さらに俯角、パースと後方に浮かぶ少女で不安定な重心と浮力を表現
・にゃもがゆかりに向かっていくときの水の抵抗まで考慮されている

・水際の静かなゆらぎ
・水中で浮力により両腕が身体から離れる基本姿勢
・中央左の人物は水位と身長の関係で顎が上がり気味になる。毛先も水に浮く
・ちよの胴体が水面に達した直後、手足が反動で開く
・スク水と水面の境界線の微妙なゆらぎ

ちよの周囲に大きな波紋があって、それとは別に小さな波紋が無数にありますよね
これは要するにちよが跳ね上げたしぶきが水面に落ちて別の波紋を作ってるわけです。
水面の下は撮影でゆらぎの処理がされていて
そのゆらぎは波紋の下ではより大きく歪んでいたりする。異様に芸が細かい。
当時は画面の大半を占めるようなテクスチャの出力できる環境も整ってないはず。
できることをギリギリまでやっているんだと思う。
でもこういうシンプルな線だけの表現のほうが
昨今よく見るフラクタルノイズのプールより
透明感も清涼感も優れているように僕には見えます。
まあ、そこは単に好みの問題でしょうか。
ついでにスライダーも作ってみました
この一連のパートを描いたのは岸田隆宏という人です。
作画寄りの見方をしない方でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。
ちなみに僕は作オタでは全然ないです。
岸田隆宏という人は、
簡単に言ってしまえば業界の宝、日本アニメ界の財産であります。
人となりまでは存じ上げませんが、多分性格は最悪だと思います。
こんな才能のある人が善人なわけがないです。
絵描きになってなかったら人殺しになってないとおかしい。
そのくらい凄い人です。いや、これは最上級に褒めてるつもりです。
で、これはもう10年以上前の作画なわけですが
多分今の若い人が見ても「これは凄い」と感じると思うんですよ。
でもそれじゃダメだと思うわけです。
たとえば「0080」の磯爆発を今の若い人が見ても
何がどう凄いのかわからない。ふつうに見える。
これはあの爆発が当時あまりに画期的だったために
膨大なエピゴーネンを生み出し、
結果としてその技法もクリシェと化し、陳腐化したからですよね。
でもおかげでその後の爆発表現は大きく発展を遂げたわけです。
磯光雄の凄さなんて僕らおっさんが理解してればいいんですよ。
どうせ彼は仕事してくれませんし。
で、10年前に岸田隆宏のプールを見た若いアニメーターたちだって
機会があれば参考にしたい、真似したいと思ったはずなんですよ。
でもその機会は奪われちゃったわけです。
アニメバブルに。
数年ごとに制作本数が倍になる狂乱に。

5億で作ったポケモンがアメリカに持ってったら150億になっちゃった。
そら放送局もレコード屋も広告屋も目の色が変わります。
どんどん売れと。出せば売れるぞと。ないなら作れよと。
品数をしぼってマーケティングして良作を選んで送り出せれば良かったんですが
逆をやっちゃった。何しろ投資したいけどアニメは投資規模が小さいんで
カネを出すほうとしては、企画の数を増やすのが手っ取り早かった。
また、アニメ業界のほうでも先が見えなかったので闇雲にがんばっちゃった。
とにかく人手が足りないけど根性でがんばった。
でもCGに任せられる部分はやっぱり任せるしかなかった。
結果はご存知の通り。良作は膨大な凡作に埋もれて光が当たらず
量産され輸出された微妙なアニメの微妙な売り上げが微妙な新作の製作費に消え
けっきょく儲かったのは関係のない村上隆だけ。それがアニメバブル。
僕ら視聴者は沢山の作品を楽しめたのでメリットも大きかったけど
ヘトヘトになった制作現場に残されたのは

(2005) 灼眼のシャナ 第09話 「恋と欲望のプールサイド」

(2009) 咲-saki- 第24話「夏祭り」
技法としての寒天プールでした。
岸田隆宏の描いたプールから10年、なんでこうなったのかと言えば
これはもうこうなる他なかったとしか。
寒天プールが本当に恐ろしいのは
ほとんどの人が違和感を持たないところです。見るほうも作るほうも。
でももういいだろう。10年だよ。そろそろ変わろう。
ロトブラシでシリーズアニメが作れる時代になってるわけです。
将来的には若いアニメファンが「岸田?ゴミだね」と言うくらいであって欲しい。
原画さんからエフェクト、撮影部のほうに水の担当が替わっちゃったけれど。
僕としては、秋豚がイエーイクールジャパンだぜ~とか言いながら海外に持っていって
新興国の若手アニメーション作家あたりに
「日本アニメのプールは水に見えないねHAHAHA」とか思われるのは
ちょっとだけイヤだなあとか思ってたわけですが
ここ数回の記事を書くにあたり、色んな作品の水際をチェックしてて
少しずつ変化の兆しが見え始めてるというか、
「ああこの先は大丈夫かも」と思い始めてます。
素人の書いてる雑な記事なのに撮影屋さんからの反応があったりして
絵心のある撮影さんが多くいるのも驚きでした。現場は大変そうだけどね。
ということで水際の話はこのへんで。
楽しみですね、京アニの新作も。
プール作画というと有名なのはやっぱりこれです。
といってもさすがにもう10年以上経つので
若い世代には未見の方も多いかも
gifアニメだと落ちているコマも多いので
本当はビデオで見て欲しいのですが
突然プール内に現れた木村、ゆかりとにゃもがドン引きし固まるフィックス
三点パースで作られた奥行きのある空間の静寂を
絶妙なタイミングで溺れるちよが破る
・頭部が水をヘルメットのように被ったまま水面から持ち上がる
・沈んでいくときなど、水面の下で生じる泡
・さらに俯角、パースと後方に浮かぶ少女で不安定な重心と浮力を表現
・にゃもがゆかりに向かっていくときの水の抵抗まで考慮されている
・水際の静かなゆらぎ
・水中で浮力により両腕が身体から離れる基本姿勢
・中央左の人物は水位と身長の関係で顎が上がり気味になる。毛先も水に浮く
・ちよの胴体が水面に達した直後、手足が反動で開く
・スク水と水面の境界線の微妙なゆらぎ
ちよの周囲に大きな波紋があって、それとは別に小さな波紋が無数にありますよね
これは要するにちよが跳ね上げたしぶきが水面に落ちて別の波紋を作ってるわけです。
水面の下は撮影でゆらぎの処理がされていて
そのゆらぎは波紋の下ではより大きく歪んでいたりする。異様に芸が細かい。
当時は画面の大半を占めるようなテクスチャの出力できる環境も整ってないはず。
できることをギリギリまでやっているんだと思う。
でもこういうシンプルな線だけの表現のほうが
昨今よく見るフラクタルノイズのプールより
透明感も清涼感も優れているように僕には見えます。
まあ、そこは単に好みの問題でしょうか。
ついでにスライダーも作ってみました
この一連のパートを描いたのは岸田隆宏という人です。
作画寄りの見方をしない方でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。
ちなみに僕は作オタでは全然ないです。
岸田隆宏という人は、
簡単に言ってしまえば業界の宝、日本アニメ界の財産であります。
人となりまでは存じ上げませんが、多分性格は最悪だと思います。
こんな才能のある人が善人なわけがないです。
絵描きになってなかったら人殺しになってないとおかしい。
そのくらい凄い人です。いや、これは最上級に褒めてるつもりです。
で、これはもう10年以上前の作画なわけですが
多分今の若い人が見ても「これは凄い」と感じると思うんですよ。
でもそれじゃダメだと思うわけです。
たとえば「0080」の磯爆発を今の若い人が見ても
何がどう凄いのかわからない。ふつうに見える。
これはあの爆発が当時あまりに画期的だったために
膨大なエピゴーネンを生み出し、
結果としてその技法もクリシェと化し、陳腐化したからですよね。
でもおかげでその後の爆発表現は大きく発展を遂げたわけです。
磯光雄の凄さなんて僕らおっさんが理解してればいいんですよ。
どうせ彼は仕事してくれませんし。
で、10年前に岸田隆宏のプールを見た若いアニメーターたちだって
機会があれば参考にしたい、真似したいと思ったはずなんですよ。
でもその機会は奪われちゃったわけです。
アニメバブルに。
数年ごとに制作本数が倍になる狂乱に。
5億で作ったポケモンがアメリカに持ってったら150億になっちゃった。
そら放送局もレコード屋も広告屋も目の色が変わります。
どんどん売れと。出せば売れるぞと。ないなら作れよと。
品数をしぼってマーケティングして良作を選んで送り出せれば良かったんですが
逆をやっちゃった。何しろ投資したいけどアニメは投資規模が小さいんで
カネを出すほうとしては、企画の数を増やすのが手っ取り早かった。
また、アニメ業界のほうでも先が見えなかったので闇雲にがんばっちゃった。
とにかく人手が足りないけど根性でがんばった。
でもCGに任せられる部分はやっぱり任せるしかなかった。
結果はご存知の通り。良作は膨大な凡作に埋もれて光が当たらず
量産され輸出された微妙なアニメの微妙な売り上げが微妙な新作の製作費に消え
けっきょく儲かったのは関係のない村上隆だけ。それがアニメバブル。
僕ら視聴者は沢山の作品を楽しめたのでメリットも大きかったけど
ヘトヘトになった制作現場に残されたのは
(2005) 灼眼のシャナ 第09話 「恋と欲望のプールサイド」
(2009) 咲-saki- 第24話「夏祭り」
技法としての寒天プールでした。
岸田隆宏の描いたプールから10年、なんでこうなったのかと言えば
これはもうこうなる他なかったとしか。
寒天プールが本当に恐ろしいのは
ほとんどの人が違和感を持たないところです。見るほうも作るほうも。
でももういいだろう。10年だよ。そろそろ変わろう。
ロトブラシでシリーズアニメが作れる時代になってるわけです。
将来的には若いアニメファンが「岸田?ゴミだね」と言うくらいであって欲しい。
原画さんからエフェクト、撮影部のほうに水の担当が替わっちゃったけれど。
僕としては、秋豚がイエーイクールジャパンだぜ~とか言いながら海外に持っていって
新興国の若手アニメーション作家あたりに
「日本アニメのプールは水に見えないねHAHAHA」とか思われるのは
ちょっとだけイヤだなあとか思ってたわけですが
ここ数回の記事を書くにあたり、色んな作品の水際をチェックしてて
少しずつ変化の兆しが見え始めてるというか、
「ああこの先は大丈夫かも」と思い始めてます。
素人の書いてる雑な記事なのに撮影屋さんからの反応があったりして
絵心のある撮影さんが多くいるのも驚きでした。現場は大変そうだけどね。
ということで水際の話はこのへんで。
楽しみですね、京アニの新作も。
category: アニメ
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