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【北陸文化】【映画】名場面コレクション 会場の喝采 閉館して50年の福島県・本宮映画劇場を守る 田村修司さん
カナザワ映画祭では、閉館して50年近くなる現在も、映写機をメンテナンスしながら劇場を守り続ける福島県本宮市の本宮映画劇場館主・田村修司さん(75)が招かれた。 祖父の代から続き、町の社交場としてにぎわった劇場を継いだのは、父親が急逝した20歳の時。しかし日本映画は黄金期を過ぎつつあり、経営が厳しくなった1963(昭和38)年に閉館した。自動車販売の営業マンとなった田村さんだったが、当時活躍したカーボン式の映写機をメンテナンスし続け、再開する日を夢見てきた。 閉館から半世紀。その日は訪れることはなかったが、木造の劇場は取り壊すこともなく今も維持する。その間、田村さんは暇さえあれば、譲り受けたり、買い集めたりして保存したフィルムを編集し、名場面をつくってきた。 「上映する時にフィルムは指と指の間を通して点検する。ひっかかりがあるとそこで切れる」と話す田村さん。劇場閉館当時に、上映し始めだったピンク映画について「ピンクでも笑いがなくちゃ、暗くなっていけない」と。 映画祭では田村さん編集の「いい場面コレクション」の上映もあった。老映写技師の残した名作の名場面集がラストに登場する映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿(ほうふつ)とさせるフィルムは、会場の喝采を浴びた。 PR情報
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