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 論説 :  憲法記念日/少数者の権利守る政治を
 日本国憲法施行から66年の記念日を迎えた。東日本大震災の被災地からは、復興完了の日に向けて、もっと力を注いでほしいという声が聞こえる。憲政本来の趣旨に立ち返り、被災者など少数者の権利を守る政治に期待したい。

 東日本大震災の避難者30万人は、まだ全国に散らばったままだ。東京電力福島第1原発事故処理と補償も先は長い。憲法25条ですべての国民に保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を、しっかり思い起こさなければならない。

 思想・信仰・言論の自由や生命身体の安全などの基本的人権は、多数決によって奪われることがあってはならない。それが立憲主義の核心だ。

 近代憲法の先駆けとなった米国憲法の本文自体には、基本的人権の具体的定めがほとんどない。奪われることのない当然の権利であるから書き込む必要はないという思想に基づく。書き込むことによって、権力が逆に権利の制限に走るのではないかという懸念を、起草時に持ったからだ。

 日本国憲法の起草にあたって当時の占領軍当局は当初、改正手続きを定める条項(現96条)に、基本的人権についての改正を禁ずると書き入れようとした形跡がある。

 安倍晋三首相は、その96条の改正を今夏の参院選の争点に掲げる構えだ。96条では、憲法改正には衆参両院で各総議員数3分の2以上の賛成が必要。その後、国民投票を実施して過半数の承認が必要だ。これを議員の過半数の賛成があれば、国民投票にかけられるようにしたいという。

 まず改正の手続きから着手し、9条改正など改正につなげるという意図が見えるが、なぜ手続き論から入るのか。正面から9条の議論を行わないか、ふに落ちない気持ちでいる人も多いだろう。

 憲法草案をつくった米占領軍が日本人を信用せず、改正手続きを厳しくして、憲法を変えにくくしたのだ、という説を言う人もいる。

 果たして、そうだろうか。残された資料によれば、当初は国会の3分の2以上の賛成で提案し、国会の4分の3の承認、さらに条項によっては国民投票で3分の2の承認も得なければならないとされていた。

 それが最終的には現行96条のように「緩和」されたのは、日本人自身が自由に制度を発展させることができるようにするためだったのではないか。

 確かに、米国憲法の改正には連邦議会両院の3分の2以上、さらに4分の3以上の州議会の承認が必要などとなっており、日本国憲法の規定より厳しい。憲法制定のための帝国議会の審議でも、96条はほとんど問題にされなかった。当時、この程度のハードルは当然とみたのだろう。

 安倍首相は3分の1超の国会議員の反対で国民に改正を問えないのはおかしいというが、果たしてそうだろうか。この程度厳しいのは普通ではないか。改正手続きの改正には、慎重になるべきだという主張もある。

 多数決の限界はどこにあるかという点を問う意味で、96条問題は「主権回復の日」や復興問題とつながる。じっくり考えてみよう。

('13/05/03 無断転載禁止)

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