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第五集 ほっかいどう百年物語

 

 

 

第五集 ほっかいどう百年物語

 

STVラジオ編
定価:¥1,260(税込)
ISBN4-89115-134-X  C0021
四六判/402頁/並製
[2004年12月刊行]

 

内容

北の大地、北海道で繰り広げられた先人たちの壮絶な人間ドラマ「ほっかいどう百年物語」シリーズ、第5弾。戦前・戦後の時代劇大スター月形龍之介、ベストセラー「石狩川」を書いたプロレタリア作家本庄睦男、南極犬タロ・ジロの育ての親、犬飼哲夫ら32人の物語。

 

目次

坂本直寛(さかもとなおひろ)/北海道に理想郷を目指した坂本龍馬の甥
月形龍之介(つきがたりゅうのすけ)/戦前・戦後の時代劇大スター
柳川熊吉(やながわくまきち)/明治初め函館で任侠に生き、碧血碑を建立した男
余市リンゴ物語(よいち)/旧会津藩士たちの忠義の結晶
関場不二彦(せきばふじひこ)/北海道医師会の創設者
藤田市五郎(ふじたいちごろう)/北海道初の西洋野菜栽培の先駆者
浅井淑子(あさいよしこ)/北海道初の洋装学校の創設者
原田與作(はらだよさく)/冬季オリンピックを札幌に誘致した第6代札幌市長
宣教師ニコライ(イワン・カサートキン)/ハリストス正教会3代目司教
本郷 新(ほんごうしん)/人間の純粋な感情を表現し続けた、記念碑「氷雪の門」の制作者
留岡幸助(とめおかこうすけ)/北海道家庭学校の創設者
吉野 勲(よしのいさお)/「春高バレー」全国制覇・妹背牛商業高校監督
今井篁山(いまいこうざん)/北海道民謡の父
本庄陸男(ほんじょうむつお)/ベストセラー「石狩川」を書いたプロレタリア作家
かにめし・いかめし物語 北海道の味覚代表する駅弁
山本多助(やまもとたすけ)/阿寒アイヌコタンの長老
犬飼哲夫(いぬかいてつお)/南極犬タロ・ジロの育て親
西村計雄(にしむらけいゆう)/北海道が誇る世界的洋画家
野口吉次郎(のぐちきちじろう)/「北の誉」の創業者
佐野文子(さのふみこ)/旭川で廃娼運動に取り組んだ女性
本間 保(ほんまたもつ)/オホーツク水族館 館長
宮部金吾(みやべきんご)/北海道大学植物園の生みの親
飯田常雄(いいだつねお)/えりも町・緑化運動の立役者
村田丹下(むらたたんげ)/「写実の鬼」知られざる大雪山画家
金井五郎(かないごろう)/「秀岳荘」の創業者
伊藤一隆(いとうかずたか)/鮭のふ化事業の功労者
原 胤昭(はらたねあき)/免囚保護の父−−教誨師
板東陶光(ばんどうとうこう)/陶芸大国北海道の功労者
富田ユキ(とみたゆき)/富良野ラベンダーの母
田中利明(たなかとしあき)/紋別出身の卓球世界チャンピオン
近藤重蔵(こんどうじゅうぞう)/首都札幌の生みの親
会田久左ェ門(あいだきゅうざえもん)/凌雲閣の創設者

 

前書きなど

坂本 直寛( さかもと なおひろ)
1853〜1911

 現在、人口11万人を擁するオホーツク地方第一の都市・北見は今を遡さかのぼること107年前の明治30年5月6日、四国の高知県で組織された北光社移民団の入植によってその第一歩が記されました。その北光社の中心人物が坂本直寛です。幕末の風雲児・坂本龍馬の甥にあたる直寛は明治維新後、土佐自由民権運動の代表的な理論家となり、また敬虔なクリスチャンでもありました。坂本直寛は故郷高知を捨て北の大地・北海道に豊かな理想郷を建設しようとしました。




 「自由民権運動だけでは本当に貧しい人々を、到底救うことはできんちゃ!」
高知県会議員・坂本直寛は強い憤いきどおりをどこにもぶつけることができません。
「ご一新の世の中と言ったってにわか政治家たちは私利私欲だけを追い求め、腐りきっちょる。そいでて上士だ郷士だと、意味の無い身分制度や古いしきたりに振り回されているこん土佐ではもう一歩も前には進めんわ!」
 「こうなったらこの地を捨てるしかない。違う土地でわれらの理想とする町を作っちゃろう!」
 明治29年8月。北海道が実りの秋へと季節を変える頃、44歳となった坂本直寛は、仲間を移住させるため、視察に訪れたクンネップの原野に一人佇たたずんでいました。
 「ここが新天地・北海道か。美しい、実に美しい風景だ。抜けるように青い空、草花が黄金色に輝き、何者にも荒らされておらん。生きとし生けるものの魂の原点がここにある…。おいたちの新たな生きる道が…」
 幼い頃から自由を愛し、自由民権運動へと身を投じてきた直寛。しかし、彼の思いとは裏腹に、金にまみれた政界に行く手を阻はばまれる日々でした。
 「身分も地位も、何もかも捨てて新天地ば切り拓くんじゃ。古い慣習に縛られ、しがらみん多い土佐を捨てるんじゃから、まるで明治の脱藩じゃ」
 どこまでも続くオホーツクの豊かな大地で坂本直寛は決意を新たにしました。
 1853年、10月5日。坂本直寛は、父・高松順蔵と、坂本龍馬の姉・千ち鶴づの次男として、かつての土佐藩・安田村に生を受けました。直寛が幼い頃の高松家には、文武の教育に努める父のもとへ、叔父の坂本龍馬をはじめ、中岡慎太郎など将来を有望視される血気盛んな若者が集まっていました。日本の将来を憂い、次々にこの土佐から巣立っていく若者達を見つめながら少年期を過ごした直寛は、正義を愛し自由への憧れがひときわ強い若者へと成長していきます。…………… (本文より)

著者プロフィール

STVラジオ制作スタッフ


ナレーター   三上 勝由
        岡田 雅夫
        工藤 みき
        藤原 俊和
        奈良 愛美
構成作家    佐々木信恵
ディレクター  永井 茂夫
プロデューサー 坪内 弘樹
  

上記内容は本書刊行時のものです。