これまで、どこの医療機関を受診しても、初診料、再診料・外来診療料は同じ価格で、患者は年齢や所得に応じて1~3割を自己負担すればよかった。たとえば、50歳のAさんの自己負担割合は3割なので、初診料は810円、再診料・外来診療料は210円だ(10円未満四捨五入)。
しかし、2013年4月から、大病院での初診料、外来診療料を見直し、高度な治療が必要ないのに個人の都合で大病院に通う患者は健康保険の適用範囲を狭めて、特別料金を徴収されるようになる。
対象になるのは、①高度な医療を提供する大学病院と国立病院機構、②入院用のベッド数500床以上の地域の大病院の中で、近隣の診療所や中小病院との連携がとれていなくて、患者の紹介率が低い病院だ。具体的には、初診時に他の医療機関からの紹介状を持ってくる患者数が40%未満で、地域の中小病院や診療所に紹介する患者数が30%未満の病院だ。
では、大病院での初診料、外来診療料はどのように変わるのだろうか。
●初診料
患者の紹介率の低い大病院を、他院の医師の紹介状を持たずにはじめて受診すると、初診料2700円のうち健康保険が適用されるのは2000円までで、700円分は保険が効かなくなる。そのため、通常なら810円ですむ自己負担額が1300円に増える(70歳未満の場合、以下同)。
●外来診療料
大病院での治療が終わって近隣の診療所や中小病院を紹介されたのに、その後も個人の都合で大病院に通ってくる患者は、外来診療料700円のうち健康保険が適用されるのは520円までで、180円は保険が効かなくなる。通常なら210円の自己負担額が340円に増える。
この変更によって、患者の自己負担は増えるが、医療機関の収入自体は変わらない。国は、なぜこのような医療費の変更を行ったのだろうか。