日本固有の領土にもかかわらず韓国の不法占拠が続く島根県隠岐の島町の「竹島」。県は竹島と隠岐諸島の深い関係を国内外に伝えるため、入念に資料収集を続け、今年に入って昭和初期の地図が相次いで見つかった。韓国の不法占拠から約60年が経過し、竹島の様子を直接見聞きした人が少なくなる中、地図は竹島と隠岐の人々の歴史的な歩みを示す貴重な“証人”と注目を浴びている。(坂田弘幸)
竹島は隠岐諸島の北西約157キロ沖の日本海上に位置し、2つの小島と周辺の数十の岩礁から成る。総面積(約0・21平方キロメートル)は日比谷公園(東京都)の1・4倍、東京ドーム5つ分の大きさで、アワビなどの水産資源が豊富だ。
サンフランシスコ講和条約が発効する3カ月前の昭和27年1月、韓国の李承晩大統領は竹島を韓国領とする「李承晩ライン」を国際法に反して一方的に設定。竹島周辺で操業をしていた漁船約300隻が拿(だ)捕(ほ)され、44人が死傷し、漁師約4千人が抑留された。
島根県によると、日本の竹島での漁は、韓国の沿岸警備隊が竹島を不法占拠する直前の29年5月に、隠岐島の漁民らが周辺海域でアワビやサザエを捕ったのが最後。周辺海域は日韓の漁船が操業できる暫定水域内にもかかわらず、現在も日本漁船がまったく近づくことができない。
一方で島根県は領土問題が解決されれば、竹島周辺ですぐに漁を再開できるよう昭和28年に漁業権を設定し、10年ごとに切り替えてきた。
漁業権は漁協などの漁を認める権利。現行の漁業権の期限は平成25年8月31日までで、地元漁協による隠岐島漁業協同組合連合会が取得している。
県は4月23日、今年9月以降の10年も現行の内容で切り替える方針を決めた。漁場は竹島の岸から500メートルの範囲で、対象はアワビ、サザエ、ワカメ、イワノリ、テングサ。同漁連が継続して交付を受ける見通しだ。