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南海トラフ巨大地震 超高層ビルの対策を
5月1日 17時59分

南海トラフ巨大地震 超高層ビルの対策を
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東海から西の太平洋側にある南海トラフで巨大地震が発生した場合、東京では超高層ビルが20分以上揺れ続けるおそれがあるという最新の研究がまとまりました。
ビルによっては上層階の揺れ幅が3メートル近くに達し、構造が破壊されて使用できなくなる被害が想定されることから、専門家は、揺れを抑える耐震対策を進める必要があると指摘しています。

茨城県つくば市にある防災科学技術研究所の研究グループは、国の委託を受けて、南海トラフで巨大地震が発生した場合に超高層ビルなどを揺らす、「長周期地震動」と呼ばれる揺れを予測しました。
それによりますと、最悪の場合、東京や大阪、名古屋市では、地面の揺れが10分以上続くという結果になり、超高層ビルの上では揺れがさらに増幅し、継続時間も長くなるおそれがあるということです。
予測された揺れが超高層ビルに及ぼす影響を調べるため、建築構造に詳しい工学院大学の久田嘉章教授は、東京・新宿区にある29階建ての大学のビルをモデルにシミュレーションを行いました。
コンピューター上に柱と「はり」などの構造を再現して解析した結果、地震発生から3分余りで最上階のビルの揺れ幅は最大2メートル88センチに達しました。
このビルでは、揺れ幅がおととしの巨大地震の際の5倍近くに、揺れの継続時間は20分以上になるおそれがあり、柱と「はり」の接合部が想定を超えてゆがみ、壁や天井などが崩れるなどの被害が想定されるということです。
久田教授は「建物が倒れることはないが、揺れ幅が大きいため、棚などを固定してけが人を出さない対策を進めるとともに、建物の揺れを抑える耐震対策を進める必要がある」と指摘しています。

長周期地震動の実態と対策

気象庁などによりますと、2年前の巨大地震で、仙台市では体に感じる揺れが地面で6分以上続きました。
一方、東京では2倍近い11分も続いたほか、震源から770キロ離れた大阪でも7分近くにわたって揺れが続き、超高層ビルの上の階では揺れが増幅されて10分以上にわたって揺れ続けたところもありました。
超高層ビルなどを揺らす「長周期地震動」の揺れは、柔らかい地質に入り込むと増幅する性質があり、関東平野や大阪平野など堆積層で出来た平野は地質が柔らかいため揺れが増幅される傾向があります。
こうした長周期地震動の揺れ幅を抑え、揺れる時間を短くするためには、建物の柱と「はり」がゆがむのを抑えるダンパーなど、「制震装置」を取り付ける対策が有効だとされています。
今回、シミュレーションを行った工学院大学でも、巨大地震に備えて、今後、ダンパーを設置する予定です。
超高層ビルは全国におよそ2500棟あり、企業や行政の事務所や店舗、住宅などに使われ、1棟当たりで数千人以上が利用していることから、揺れで使用できなくなると都市機能への影響も避けられません。
シミュレーションを行った工学院大学の久田嘉章教授は「現在は建物が壊れても人の命を守ればよいという耐震基準だが、超高層ビルが使えなくなればビジネスなど全国や世界に影響する。今後は地震後もできるかぎり人々がビルにとどまることができるようにすることが重要で、その観点で耐震補強を行う必要がある」と話しています。

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