サイエンスカフェ:研究不正「病巣」どこに
毎日新聞 2013年05月02日 東京朝刊
47.7歳と5.9年。何の数字と思われるだろうか。答えは日本で研究不正が発覚した研究者の平均年齢と、論文発表から不正が見つかるまでの平均期間だ。まとめたのは、中央大など複数の大学で科学史や技術者倫理を教える菊地重秋さん(56)。98年以降の新聞報道をデータベース化して国内の研究不正の特徴を探っている。
ポスト別では「教授」が約34%、「准(助)教授」が約18%、「講師」が約6%。表面化した事件に限られている点は留意したいが、地位が高いほど不正が見つかりやすいらしい。不正の多くは内部告発がきっかけで発覚する。「偉い人」ほど、権力闘争や人間関係のこじれをくぐり抜けてきたと考えれば、何となく納得がいく。
菊地さんの貴重なデータベースでも、不正の理由までは考察できない。大学や学会などの所属組織は、不正の有無は調べても、動機までは踏み込まないからだ。処分の厳格化や倫理教育だけで再発は防げない。いま取材を続けるいくつかの研究不正問題では「病巣」までたどり着き、有効な治療法につなげたい。【八田浩輔】