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佐藤3度目防衛へ兄の強力援護を得た!

計量パスした佐藤はジュースをがぶ飲み(撮影・山崎安昭)
計量パスした佐藤はジュースをがぶ飲み(撮影・山崎安昭)

 今日3日にタイで3度目の防衛戦に臨むWBC世界スーパーフライ級王者佐藤洋太(29=協栄)に、心強い援軍が現れた。2日、前日計量が行われたシーサケットのホテルに、兄の千葉大樹さん(36)が姿を見せた。大樹さんは応援ツアーに参加せず、たった1人で現地にたどり着き、偶然にも前日計量の行われたホテルに宿泊していた。なお佐藤、挑戦者シーサケット・ソールンビサイ(26)ともに52・1キロのリミットいっぱいで計量にパス。あとは戦いのゴングを待つだけとなった。

 口では「普通にやるだけ」と言っても、敵地で気の抜けない戦いに臨む佐藤に、兄大樹さんの姿は勇気を与えた。大樹さんは佐藤に近づかず、遠巻きに弟を見守っていた。前日、佐藤は「1人で来るといったけど、会場までたどり着けるかどうか分からない。言い出したら聞かないから」と心配していた。それが前日計量の会場で出会い、思わず目を細めた。

 大樹さんは、世界王座奪取からこれまで3度の世界戦すべてに来場。弟の勝利を見届けている。地元岩手・盛岡市で銀行員として働く兄は今回、佐藤の母親が夫人の出産で上京。姉も仕事で行けず「誰か身内が1人でも行かないと」と連休を利用し、タイへ旅立った。航空チケットも予約なし。シーサケットに最も近いウボン・ラチャタニ空港からは、50バーツかけてバスで移動。たまたまネットで予約したホテルが、計量会場という奇遇だった。

 佐藤の7歳年上で兄弟ゲンカもしたことがない。末っ子の佐藤をじっと見守ってきた。世界王者になり地元に戻っても忙しく動き回る弟を「有名になるまでは休みで帰ってきたのに、今は仕事で帰って休まる暇もない」と思いやる。今回も「危ないから来るな」と佐藤に止められたが、いてもたってもいられなかった。

 計量を無事終えた佐藤は「とにかくほっとした」と、表情を緩めた。心配されたシーサケット陣営の妨害行為もなかった。兄の存在も確認した。東京をたつ当日の26日には新宿でバイクに乗っていて、またも警官に職務質問された。これから世界戦に行くと言うと「ユーチューブで見ます」と激励? されたという。世界王座獲得の翌日に職務質問を受け、2度目の防衛の前にも数回、警官に止められている。そして今回と、これも勝利への吉兆か。「ここまで何の苦労もなく来た。ここで負けたら意味がない。すべては勝つこと」。佐藤は気負いもなく言い切った。【桝田朗】

 [2013年5月3日9時21分 紙面から]

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