福島第1原発:汚染水漏れ 仮設対応、もう限界 現状に迫る

2013年04月29日

 「海には絶対に出さないように」。茂木敏充経済産業相は8日、地下貯水槽の汚染水漏れを受け、謝罪に訪れた東電の広瀬直己社長に厳しく言った。海洋流出は、水産資源の汚染や風評被害を招くからだ。

 汚染水は地上に保管するしかなく、これ以上増やさないことが不可欠だ。現在、汚染水が増えている最大要因は1日400トンも原子炉建屋に流れ込む地下水。IAEAの調査団も「地下水の流入を食い止めることが抜本的な対策になる」と分析する。

 東電は、地下水が建屋側に入る前にくみ上げる井戸12本を掘削した。1本あたり1日約40トンをくみ上げる能力を備えている。しかし、地下水をくみ上げすぎると、原子炉建屋内の汚染水が地下水に流れ込んでしまうリスクを抱えていて、難しい操作が迫られている。

 政府は19日、経産省資源エネルギー庁や原子力規制庁などで構成する「汚染水処理対策委員会」を設置。東電が「効果がない」として工事を見送った遮水壁(地下ダム)について、建屋の山側に設置することを再検討する方針を示した。工事が始まっている海側の遮水壁と併せて、地下水から原子炉を隔離する狙いがある。

 東電は貯水槽から地上タンクなどへの移送を、6月までにほぼ完了する計画だ。だが、夏までに地上タンクの空き容量が少なくなる時期は2回訪れる=グラフ。

 廃棄物処分場に詳しい小峯秀雄・茨城大教授は、7基ある貯水槽の容量(計5万8000トン)に注目する。「放棄するのではなく、現状の設備を補強して使うべきだ」と指摘する。分析では、貯水槽に敷かれた3層シートのうち、最下層の「ベントナイト」の厚さに問題があり、現状の6・4ミリから50センチ以上にすれば、1、2枚目のシートが破損しても100年以上漏れなくなるとしている。

 まもなく梅雨期を迎え、汚染水が増える恐れがあり、移送先には、5、6号機の原子炉建屋内にある「圧力抑制室」の活用も視野に入る。綱渡り状態を回避するため、あらゆる手段を総動員する状況が続いている。

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