福島第1原発:汚染水漏れ 仮設対応、もう限界 現状に迫る

2013年04月29日

 現在、東電は打開策として、62種類の放射性物質を取り除く能力のある浄化装置「アルプス」の本格運転を目指しているが、放射性トリチウムは技術的に分離するのが難しい。仮設タンクの老朽化は進み、敷地内の増設場所も限界に近付いている。二見常夫・東京工業大特任教授は「仮設施設による対応に限界が来ている」と話す。

 ◇原因、特定できず 事前調査も不十分

 地下貯水槽の水漏れを巡っては、施工ミスなど複数の原因が浮上しているが、特定に至っていない。

 貯水槽は地面を掘り、3層の防水シートを敷いている。内側から1、2枚目は厚さ1・5ミリのポリエチレン製、3枚目は厚さ6・4ミリの「ベントナイト」と呼ばれる粘土鉱物を素材にしている。貯水槽は計7基あり、いずれも同じ構造をしている。産業廃棄物の最終処分場やため池でも使われている。

 最初の漏水は5日に2号貯水槽で見つかり、3号でも発覚。いずれもほぼ満杯だったことから、東電は原因について、「貯水槽上部の縁にある漏水検知用パイプ周辺のシートが、水の重みで下に引っ張られ、パイプの根元付近に隙間(すきま)ができた」と推定。水位が8割以下ならば問題ないとみて、継続使用する予定だった。

 ところが、水位が5割しかない1号でも漏水していることが発覚。福島県などが懸念を表明し、東電は、すべての貯水槽から汚染水を地上タンクなどに移し、その後は使用しない方針に転換した。

 東電は19日、コンクリートの基礎固めが不十分な部分に水圧でひび割れが生じると、下にある防水シートも破れる可能性など四つの推定原因を発表したが、調査は高い放射線量で困難を極めている。

 水漏れが相次ぐ背景には、貯水槽が突貫工事で造られた経緯もある。

 増え続ける汚染水を保管する地上タンクの増設場所の確保に限界が見える中、東電は地下貯水槽に注目した。低コストで大量に水を保管できる上に、これまで利用してこなかった地下という場所を活用できる利点があるからだ。12年8月〜13年1月に順次完成させたが、東電は「仮設施設」として導入を急ぎ、破損事例の有無などを十分に調べなかった。

 「放射性物質を扱う以上、漏出防止にはより高度な管理が求められる」−−。24日、貯水槽を視察した福島県の「廃炉安全監視協議会」に参加した専門家は指摘した。

 ◇「地下水阻止」カギ 原子炉建屋に1日400トン流入

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