東京電力がフランスで保管していたプルトニウムを、ドイツが英国に持つ同量のプルトニウムと交換した。原発事故で行き場がなくなっていたプルトニウムをドイツに使ってもらうことで[記事全文]
NHKの朝の連続テレビ小説で1両だけの鉄道車両が軽やかに走る。岩手県沿岸で被災した第三セクター三陸鉄道がモデルだ。南北に分かれた路線を復旧中だが、間をつなぐJR東日本の山田線は手つかずだ。[記事全文]
東京電力がフランスで保管していたプルトニウムを、ドイツが英国に持つ同量のプルトニウムと交換した。
原発事故で行き場がなくなっていたプルトニウムをドイツに使ってもらうことで、国際的な減量に貢献する。
さらなる圧縮も期待できる新しい試みである。こうした国際連携の活用に、政府が中心となって取り組むべきだ。
世界には原発から生じた約260トンのプルトニウムが現存する。使用済み燃料を再処理した結果だ。うち約45トンを日本の電力会社が保有する。核爆弾数千発分に相当する。
核不拡散上、利用目的のないプルトニウムはもたないことが国際社会での約束だ。
再利用の手段だった高速増殖炉計画は破綻(はたん)し、普通の原子炉で使う道も原発事故で不透明になった。使うあてのないプルトニウムをどう処理するのか。各国の懸念に、日本は早急に答える必要がある。
今回の交換は帳簿上の処理となり、東電の在庫総量は変わらない。だが、英国の燃料工場の閉鎖で困っていたドイツが、フランスでの東電所有分を燃料として利用でき、欧州全体でプルトニウムの削減につながる。輸送リスクも軽減できる。
昨年夏には、英仏独の3者で同様の交換を実施してもいる。
こうした取り組みを、日本自身のプルトニウム削減にも結びつけたい。
例えば、今回の契約に関わった英国の原子力廃止措置機関(NDA)は11年末、他国のプルトニウムを引き取って英国で管理してもいいとする案を打ち出した。
実際に所有権を移すとなれば課題はあるものの、日本のプルトニウムを少しでも早く減らすための有力な選択肢となる。
ことは安全保障に深くかかわる。事業者任せでは限界もあろう。各国とも使用済み燃料の処理については、政府主導で解決策を模索している。日本も政府が前面に出るべきだ。関係者で情報を共有し、具体的な手法の検討を進めてもらいたい。
欧米を中心にプルトニウムの管理・削減が強化される背景には、北朝鮮やイランが核保有の動きを活発化させ、周辺国を含めた核ドミノが起きることへの懸念がある。
米韓の間で2年の延長が決まった原子力協定でも、「自国での再処理や濃縮」を求める韓国を米国が拒否した。
日本に注がれる目も、厳しさを増していることを忘れてはならない。
NHKの朝の連続テレビ小説で1両だけの鉄道車両が軽やかに走る。岩手県沿岸で被災した第三セクター三陸鉄道がモデルだ。南北に分かれた路線を復旧中だが、間をつなぐJR東日本の山田線は手つかずだ。
鉄路はつながって力になる。でもその費用をだれが出すか。過疎地に共通する難題である。
東日本大震災で、三鉄は線路などの300カ所以上を被災した。国費108億円によって来春に全通する予定だ。一方で、山田線はJRが線路をはがしてバスの専用道化する仮復旧の提案をしただけだ。不便だと地元は反対し、足踏みしたままだ。
鉄道軌道整備法という法律がある。被災した赤字の鉄道に補助できるが、そうでない鉄道には国費を使えない。三鉄は赤字だった。国土交通省によると、JR東日本は黒字企業だから自社復旧が原則だ。
三鉄線に接続するJR大船渡線、その先の気仙沼線は、すでにバス専用道になった。3線はJR東日本の67在来線のなかで営業が下位の路線だった。JRには、これらの路線を将来も維持できるかという不安がある。
地元に密着する三鉄でさえ、1984年の開業時に比べて、乗客は3分の1に減った。少子化に加え、公共施設、大型店、住宅地が秩序なく郊外に広がった。バス会社も経営が厳しい。これほどマイカーにたよる社会になったのは、大店法はじめ規制緩和政策の結果でもある。
その反省から、被災地は駅前などに公共施設や住まいを集めるコンパクトシティー構想を進める。鉄道は欠かせない。
山田線についてJRは、線路復旧などの140億円は自社負担の可能性を示し、街づくりにあわせた線路かさ上げなどの加算分70億円は公費負担を求めている。復興庁、国交省は早く議論を進めるべきだ。
そのとき、地元も山田線の三セク化や自治体負担を考えるべきだ。いくら切実でも、JRや国だのみは結局のところ、よその地方との分配の問題になる。将来にわたって守っていける保証はない。
震災直後、被災者を運んだ三鉄は再起への大きな力だった。過疎地の交通は効率だけで語れないし、経済を忘れても守れない。これは全国の問題だ。