6番でアプローチショットを放つ松山英樹=名古屋GC和合で(榎戸直紀撮影)
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◇中日クラウンズ<第2日>
3日、愛知県東郷町・名古屋ゴルフ倶楽部和合コース(6545ヤード、パー70)▽快晴、気温19度、北西の風4.8メートル▽賞金(総額1億2000万円、優勝2400万円)▽出場選手104人(うちアマ3人)▽観客9541人▽共催 中日新聞社
トップとの3打差を逆転し、松山英樹(21)=東北福祉大=が単独首位に立った。松山はこの日、4バーディー、1ボギーの3アンダーでまとめ、通算でも唯一のアンダーとなる1アンダーで予選をトップ通過。1打差の2位に片山晋呉(40)が続き、さらに1オーバーでS・K・ホ(韓国)、ブラッド・ケネディ(オーストラリア)が追う。
気が付けば当たり前のように、リーダーボードの1番上には「松山英樹」の名前があった。上位陣が伸び悩む中、単独トップの予選通過。「ティーショットを曲げたりバンカーに入れたり大変だったけど、ミスしたところが寄せやすい場所だったので、その分スコアを伸ばせた」。喜ぶでもない姿には風格すら漂う。
前日苦しめられた難攻不落の和合で、この日はしっかりやり返した。2番パー5でラフからの第2打をバンカーに入れたが、リカバリーショットを80センチに寄せてバーディー。続く3番パー4こそボギーだったものの、6番パー4のバーディーですぐ取り返した。14番パー4では4メートルのバーディーパットを最後のひと転がりで沈め、思わず白い歯がこぼれた。
「(コースの)経験がないから打つしかない。怖さはあるけど、打たないと進まない」。幾度となくベテランをも苦しめたコースだが、初体験を逆手に自分のゴルフを貫いた。
自信の裏付けもある。この日は5度もバンカーに入れながら、ボギーは3番の1つだけ。「グリーンを外しても、バンカーからうまくセーブできた」。東北福祉大の阿部靖彦ゴルフ部監督も「小さいころから身に付いている天性もあるし、練習もしている」と話す、才能と努力のたまものだ。
その阿部監督から「10位、20位や予選通過でいいならプロじゃない。全試合優勝しろ」と壮大な全勝指令も下った。3年以内にメジャーで勝負という、夢ではなく現実的な目標へ、大会期間中も早朝のランニングなど体力づくりは欠かさない。目先の勝負にこだわり、将来も見据える戦いは始まったばかりだ。
新人での2週連続Vという前人未到(1973年のツアー制施行後)の快挙へ、視界は良好だ。「挑戦権があるのは自分だけなので、目指して頑張りたい」。口調は淡々と、野望は熱く、残り36ホールに挑む。 (川村庸介)
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