憲法記念日:96条議論、各党活発
毎日新聞 2013年05月04日 00時28分(最終更新 05月04日 09時32分)
憲法記念日の3日、与野党が改憲、護憲双方の立場から論戦を繰り広げた。憲法改正の発議要件を定めた96条改正への賛否を巡り、自民党や日本維新の会、みんなの党、新党改革は推進する立場を表明。一方、民主党や共産党、生活の党、社民党、みどりの風は反対姿勢を強調し、公明党は慎重論を展開した。安倍晋三首相は7月の参院選の争点として96条改正を掲げる方針で、各党の憲法論議が活発化している。
憲法96条改正に賛成する自民党、日本維新の会、みんなの党の代表者は3日、東京都内で開かれた改憲派の公開討論会に出席した。自民党の中谷元・憲法改正推進本部事務局長は96条改正について「実現に全力を尽くす」と強調。発議要件に必要な賛成を衆参で「3分の2以上」から「過半数」に引き下げるべきだとの認識を示した。
維新やみんなも足並みをそろえた。維新の山田宏筆頭副幹事長は参院選をにらみ、「96条改正を前面に掲げ、憲法を自分たちの手で変えられるようにすべきだ」と主張した。
みんなの江口克彦最高顧問は「参院選は憲法改正に向けた大一番だ」と支持を訴えた。
一方、与党・公明党の山口那津男代表は3日、都内のJR有楽町駅前で街頭演説し、「96条だけ変えてしまうというのは、国民になじまない」と述べ、96条の先行改正に慎重論を展開した。その上で「憲法の大事な性格を考えれば、高いハードルを保っていくことは重要」と表明。一般の法律よりも厳格な改正要件を持つ「硬性憲法」を維持すべきだとの考えを示した。
一方、民主党の前川清成・憲法調査会事務局長は3日のNHK番組で、96条改正について「多数決で何でも決めてもいいのか」と強調。党内に96条改正に前向きな議員を抱えるものの、大型連休後に開く党憲法調査会で、96条改正に反対する方向で意見集約を図る考えを示した。
共産党の志位和夫委員長と社民党の福島瑞穂党首は3日、都内で開かれた改憲反対派集会に出席した。志位氏は「発議要件の緩和は憲法が憲法でなくなる禁じ手」と強調。福島氏も「発議要件を過半数にすれば、時の政府の都合の良い時に改憲を発議できる」と懸念を表明した。
生活の党の畑浩治・総合政策会議副議長はNHK番組で「過半数の賛成で憲法を改正できるならば、政権与党だけで発議が可能になる」と反対の意向を示した。【横田愛、光田宗義、阿部亮介】